『1ヵ月半ぶり高値更新後に反落。心理的節目8.00トライに失敗』
〇トルコ円、インフレ懸念緩和によるトルコ買い、円の対ドルでの急落に週央7.96まで上昇
〇週末にかけては、円独歩安の巻き戻し等に7.82円前後まで値を崩す展開
〇テクニカルの上値余地は乏しく、ファンダメンタルズもトルコ売り要因多い
〇円独歩安収まり次第急落の恐れあり
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.60ー8.00
今週のレビュー(9/5−9/9)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.70円で寄り付いた後、早々に週間安値7.66円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@トルコ8月消費者物価指数(結果80.21%、予想81.22%、前回79.60%)が24年ぶり高水準を記録しつつも市場予想を下回ったことや、Aトルコ8月生産者物価指数(結果143.75%、前回144.61%)の前回を下回る結果、Bインフレ懸念緩和に伴う安堵のリラ買い、C対主要通貨での円独歩安の流れ(ドル円が約24年ぶり高値となる144.99まで急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.96円(7/18以来、約1ヵ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、心理的節目8.00円をバックに伸び悩むと(戻り売り圧力が強まると)、DパウエルFRB議長によるタカ派的な発言(対ドルでのリラ売り再開)や、E円独歩安の巻き戻し(本邦通貨当局による介入警戒感や政策変更の思惑でドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/10午前5時30分現在)では、7.82円前後まで値を崩す展開となっております。
来週の見通し(9/12−9/16)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、週央にかけて、約1カ月半ぶり高値7.96円(7/18以来の高値圏)まで上値を伸ばすも、心理的節目8.00円に続伸を阻まれる形で、週末にかけて反落しました。8/2安値7.24円をボトムに短期上昇トレンドが継続しているものの、上方より強力なレジスタンスとして市場参加者に意識されている200日移動平均線が垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(円独歩安の流れが収まり次第、トルコリラ円が急反落に転じる恐れ)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコと西側諸国の関係悪化懸念(エルドアン大統領のロシア接近を背景に西側諸国との関係性が急速に悪化。
エルドアン大統領はロシアがノルドストリームを停止していることについて「欧州の自業自得」と発言)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(パウエルFRB議長はブラックアウト期間突入前最後の講演でタカ派的なスタンスを再強調→トルコから米国へ資本流出懸念)、Bトルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが歴史的高水準を記録しているにも係わらず8/18に100bpの大幅利下げを実施→エルドアン大統領によるインフレを利下げで退治するという独特な金融政策理論が継続→トルコリラの実質金利に低下圧力)、Cトルコ経済の先行き不透明感、D双子の赤字(経常赤字・財政赤字)とそれに伴う構造的なリラ売り圧力など、トルコリラを巡る悪材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(ドル円上昇が一服したため、来週は円安以上にトルコリラ安が進むシナリオを想定)。尚、来週は9/12に予定されているトルコ7月経常収支や、トルコ7月失業率、9/13のトルコ7月鉱工業生産、トルコ7月小売売上高、9/15のトルコ8月財政収支に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.60ー8.00
トルコ円日足
注:ポイント要約は編集部
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