トルコリラ円見通し ドル円と共に急伸一服の調整局面、ドル/トルコリラは安値試し続く(22/9/9)

トルコリラ円の9月8日は7.93円から7.86円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.90円で8日終値の7.88円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円と共に急伸一服の調整局面、ドル/トルコリラは安値試し続く(22/9/9)

ドル円と共に急伸一服の調整局面、ドル/トルコリラは安値試し続く

〇トルコリラ円、ドル円が急上昇一服に入ったことで調整安に入り、9/8夜7.86まで安値を切り下げる
〇その後ドル円が揉み合う中、7.92まで戻してから7.90を挟んだ揉み合い
〇対ドル、終値ベースでの史上最安値更新、取引時間中の史上最安値18.36へ迫る状況続く
〇昨日発表の週次外貨準備高は増加、9/12発表の経常収支にも注目
〇7.95を超えないうちは一段安余地ありとし、7.86割れからは7.80台序盤への下落を想定する
〇7.93超えからは7.95試しとし、7.95超えからは8.00前後を目指すとみる

【概況】

トルコリラ円の9月8日は7.93円から7.86円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.90円で8日終値の7.88円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラではドル高リラ安基調が続いているものの、7月後半からはドル円の変動が勝っているためにトルコリラ円はドル円の動向を見ながらの展開を続けており、9月7日夜にドル円が145円へ迫ったところで7.95円まで高値を切り上げたが、ドル円が急上昇一服に入ったことでトルコリラ円も調整安に入り、8日夜にドル円が143.30円まで安値を切り下げた局面でトルコリラ円も7.86円まで安値を切り下げ、その後はドル円が144円を挟んで揉み合う中で7.92円まで戻してから7.90円を挟んだ揉み合いとなっている。

9月8日はパウエル米FRB議長の討論会での発言があり従来からの物価抑制への強い決意が示され、シカゴ連銀総裁が0.75%利上げ支持発言をするなど9月FOMCでの0.75%利上げの可能性が高まっており、ドル円は145円手前でいったん急上昇にブレーキがかかっているものの高値圏を維持した状況で確りしており、トルコリラ円もドル円を見ながら7.80円台後半を維持している。

【ドル高リラ安基調は継続、終値ベースでの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの9月8日は18.24リラから18.20リラの取引レンジ、9日早朝の終値は18.23リラで前日終値の18.22リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
8月18日にトルコ中銀が予想外の利下げを強行したことで1ドル18リラの壁を超えてリラ安が進行し、12月23日以降の取引時間中の安値更新及び日足終値ベースでの史上最安値更新が続いているが、9月8日も9月2日につけた取引時間中の安値18.26リラを超えていないものの終値ベースでの史上最安値をわずかに更新しており、徐々に取引時間中の史上最安値である昨年12月20日の18.36リラへ迫る状況が続いている。

9月8日はECBの0.75%利上げによるユーロ高や下落基調の続いていたポンドや豪ドルが下げ渋ったものの南アランドは昨年6月以降の安値を更新するなど中長期的なドル高基調は継続している。
9月6日に豪中銀が0.50%利上げ、7日にカナダ中銀が0.75%利上げ、8日はECBも0.75%利上げを決定して主要国の利上げ攻勢が続いており、来週は英中銀、再来週は米FRBによる利上げが想定される中で新興国通貨への売り圧力も徐々に強まり、高インフレ下で利下げしたトルコ金融政策の異様さが目立つ状況だ。

【外貨準備高が増加】

9月8日夜に発表された週次の外貨準備高は9月2日時点のグロスが723.0億ドルとなり8月26日時点の708.2億ドルから増加した。ネットでは140.8億ドルとなり8月26日時点の126.2億ドルから増加して8月19日時点の138.8億ドルを若干上回った。
トルコ中銀はトルコ国内銀行とのスワップ取引を使ってドル売りリラ買いによるリラ安抑制策を採っており、9月7日時点のスワップ取引残は445.2億ドルとされてネットの外貨準備高は大幅な過少状態にある。

【9月12日の経常収支にも注目】

9月12日にはトルコの7月経常収支の発表がある。6月の経常赤字は34.58億ドルだったが7月の経常赤字も36億ドルと予想されている。

ドル円と共に急伸一服の調整局面、ドル/トルコリラは安値試し続く

昨年10月から12月までは3か月連続の経常黒字を実現したもののその後は赤字が続いている。エルドアン政権は輸出拡大と海外からの観光客収入の拡大により経常収支の改善を目指しているが、高インフレとリラ安の進行により目論見は実現できずにいる。海外からの観光客はコロナ規制が緩んでいることでパンデミック発生前の水準を回復し、輸出も過去最大となっているもののリラ安による輸入急増で7月の貿易赤字は106.9億ドルとなっている。経常収支が予想よりも悪い場合はリラ売り材料となりやすいと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月6日午後に9月2日高値を超えてから急伸したため、9月7日午前時点では9月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への上昇を想定した。
9月7日夜に一段高した後も7.90円割れを買い戻されていたために8日午前時点ではまだ上昇余地ありとし、8日早朝安値7.88円割れからは弱気サイクル入りとしたが、8日夜に8日早朝安値を割り込んだため、7日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は9日午前から13日午前にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、7日夜高値を上抜き返すところからは新たな強気サイクル入りとして12日夜から14日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月7日夜高値から調整安にはいったことで遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンの上限に若干潜り込んだところで下支えられている。9月7日夜高値を超えないうちは一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、7日夜高値超えからは新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月8日夜に40ポイント台序盤へ低下した後は50ポイント台を維持できずにいるのでまだ30ポイント前後への一段安余地ありとみるが、60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台を目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.86円を下値支持線、7.95円を上値抵抗線とする。
(2)7.95円を超えないうちは一段安余地ありとし、7.86円割れからは7.80円台序盤(7.83円から7.80円)への下落を想定する。7.80円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、7.88円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)7.93円超えからは7.95円試しとし、7.95円超えからは8.00円前後を目指すとみる。7.99円以上は反落警戒とするが、7.93円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月12日
 16:00 7月 失業率 (6月 10.3%)
 16:00 7月 経常収支 (6月 -34.58億ドル、予想 -36億ドル)
9月13日
 16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 15.2%)
 16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 8.50%
 16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.7%)
 16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 5.5%)
9月15日
 17:00 8月 財政収支 (7月 -640億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 9/9時点 グロス (9/2時点 723.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/9時点 ネット (9/2時点 140.8億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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