欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表
昨日ECB金融政策会合後に要旨の記者発表がありました。政策金利に関しては事前の予想通り、0.75%の利上げを実施しました。また今後も継続利上げを想定しています。
相場は発表前に1.0020付近で推移していましたが、ラガルドECB総裁が今後の利上げも0.75%である必要はないとして、ユーロは0.9931まで売られましたが、結局パリティ付近まで戻しで引けています。
以下は昨日の金融政策に関する記者発表要旨です。
(記者発表要旨)
本日、運営審議会は3つの主要ECB金利に対し0.75%の引き上げを決定した。この大きな一歩は、インフレをECBの中期2%目標に対し、タイムリーに引き戻すことを確信する水準に向けて、現行の高度な緩和政策水準からの移行を前倒しするものである。現在の査定に基づき、今後数回の会合で、運営審議会は需要を抑制し、絶え間ないインフレ期待の上方シフトのリスクから守るために更なる利上げを予想している。運営審議会は入手する情報や進展するインフレ見通しに照らし、政策の道筋を定期的に再評価していくつもりである。運営審議会の将来に亘る政策金利決定はデータに依存し、会合ごとのアプローチに引き続き従うつもりである。
本日の運営審議会の決定を受け、更なる利上げを予想している。と言うのもインフレはまだ非常に高いままであり、更に長期間、目標を越えて推移するであろう。ユーロスタットの速報によれば、インフレは8月に9.1%まで到達した。エネルギーと食品価格の高騰、経済再開による幾つかの部門での需要圧力、そして供給のボトルネックがインフレを押し上げている。価格圧力は経済全体に強まり広がっている。インフレは短期的に一段と上昇するかもしれない。現在のインフレを駆るものが時間経過と共に消え、金融政策の正常化が経済と価格設定に浸透するに連れて、インフレは下がっていくだろう。この先、ECBのスタッフはインフレ予想を著しく上昇修正しており、そのインフレ予想は2022年に平均8.1%、2023年に5.5%、2024年に2.3%としている。
2022年の上半期の経済反発後、最近の指標はユーロ圏経済成長が相当に減速していることを示し、その後の経済は年後半と2023年第1四半期に停滞すると予想される。非常に高いエネルギー価格は人々の所得の購買力を減じており、供給のボトルネックは緩和してきているけれども、依然として経済活動を制約している。加えて、特にロシアのウクライナに対する不当な侵略の様な、不利な地政学的状況が企業と消費者の信頼感に重く圧し掛かっている。この見通しは、経済成長に関するスタッフの最新予想に反映されており、今年の残り期間、及び2023年を通して大幅に下方修正されている。スタッフは現在、経済が2022年に3.1%、2023年に0.9%、2024年に1.9%になると予想している。(注:6月時スタッフ予想:GDPは2022年2.8%、2023年2.1%、2024年2.1%)
パンデミックにより引き起こされた継続的な脆弱性は、金融政策の円滑な伝達にリスクをもたらしている。それ故に、運営審議会はPEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)下で、満期に償還されるものを再投資できるように、柔軟性維持ができることを適用している。これはパンデミック関連して伝達メカニズムに対するリスクと対抗するためのものである。
(ECBの主要金利)
運営審議会は3つの主要ECB金利を75ベーシス上げた。従って、政策金利(主要リファイナンスオペの金利)、限界貸付金利、中銀への預金金利はそれぞれ1.25%、1.50%、0.75%である。2022年9月14日から有効となる。
預金金利レートをゼロ以上に引き上げられたことで、超過準備金の報酬に対する2層制度は不要になった。運営審議会は今日、乗数をゼロにセットすることで、2層システムを停止することを決定した。
(PERRとリファイナンス業務の項目は略)
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
下図はユーロドルの週足チャートです。昨日の金融政策予想時に添付した日足チャートは結局下限0.9850と上限1.0100のどちらにタッチできずにこのレンジ内で小動きになりました。まだ上記は有効です。
さて、週足ですが、2月7日週高値からの抵抗線A(=1.0210)とそこから平行に下したB(=0.9630)でユーロ安トレンドラインを形成しています。このレンジ内の上値抵抗線は日足の1.0100があります。下値は日足よりもやや高いですがC(=0.9875)があります。当面はこのユーロ安の流れの中でこの0.9850〜0.9875ゾーンが守られるか否かとなります。切れれば、B方向トライに入れます。万一、Aを越えた場合は、昨年5月24日週高値からの抵抗線D(=1.0920)が控えています。
(2022年9月9日9:00、1ユーロ=1.0012ドル)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
南アランド円週報:『南アGDPはマイナス成長を記録。来週は南アフリカのインフレ指標に注目』(12/7朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週初に、一時8.18円(9/20以来の安値圏)まで急落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
トルコリラ円週報:『リセッションと高インフレの二重苦で弱含み。来週も続落リスクに要警戒』(12/7朝)
トルコリラの対円相場は、今週前半にかけて、約2ヵ月ぶり安値となる4.27円(10/4以来の安値圏)まで急落しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
来週の為替相場見通し:『日米金利差縮小で円キャリートレードの巻き戻しが活発化』(12/7朝)
ドル円は11/15に記録した約3カ月半ぶり高値156.75(7/23以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時148.64(10/11以来の安値圏)まで急落しました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:編集人K
2022.09.08
ユーロドル、水準切り上げパリティ挟みでECB理事会待ち (9/6夕)
8日の東京市場でユーロドルはECB理事会を前に、パリティ(1.0000)を挟んで方向感に欠ける動き。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。