ドル円の続伸で7.95円へ一段高、ドル高リラ安基調続くが当面はドル円次第
〇トルコリラ円、7日夜にドル円が145円に迫った局面で7.95へ高値切り上げる
〇対ドルでは1ドル18リラ台序盤でやや膠着状態となりながらもジワジワと安値更新を続ける
〇トルコとロシアが通貨スワップ協定、米国等がトルコへの制裁を課す可能性も
〇7.88以上での推移中は7.95超えから8.00前後を目指すとみる、7.99以上は反落警戒
〇7.88割れからはいったん調整安に入るとみて7.85から7.82にかけてのゾーンを試すとみる
【概況】
トルコリラ円の9月7日は7.95円から7.88円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.88円で前日終値の7.83円からは0.05円の円安リラ高となった。
ドル/トルコリラが1ドル18リラ台序盤でジリ安の推移となる中、8月2日以降のトルコリラ円はドル円の急伸と同調した動きを続けており、9月7日夜にドル円が145円に迫った局面で7.95円へ高値を切り上げた。その後にドル円が144円割れまで反落したためにトルコリラ円も7.90円を割り込んだものの、ドル円が144円台を回復すると8日午前序盤には7.90円台を回復している。
ドル円は9月2日夜の米雇用統計発表後に140.79円を付けてから持ち合いとなっていたところ、9月6日に141円台へ乗せてからドル買い円売りの連鎖反応となり6日深夜には143円に到達、7日も144円を超えて夜には144.98円まで高値を伸ばしたが、6日午前から5円近い急上昇となったことでの高値警戒感と米長期債利回りが前日の大幅上昇に対する修正で低下したことから8日早朝には143.66円まで反落した。トルコリラ円はドル円の動きがドル/トルコリラの動きに勝る状況でドル円の上昇再開に追従しようとする動きを続けている。
【ドル高リラ安基調は継続、終値ベースでの史上最安値更新続く】
ドル/トルコリラの9月7日は18.25リラから18.20リラの取引レンジ、8日早朝の終値は18.22リラで前日終値の18.21リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
為替市場全般は米国の大幅利上げ姿勢によるドル高基調での推移が続いているものの、主要国も大幅利上げで米国の利上げ姿勢へ追従しているために乱調な動きもみられる。英ポンドは7日夜に1.14ドルを試すところまで一段安してから反騰し、ユーロは6日夜安値0.9864ドルでこの間の最安値を更新したところから8日朝に1.00ドルを超えるところまで切り返し、ドル円も145円手前から144円割れまでいったん下げている。8月26日のパウエル米FRB議長によるジャクソンホール講演からのドル高基調は継続と思われるが、短期的にはドル高とドル安が日替わりで風向きを変えている。
しかしドル/トルコリラは1ドル18リラ台序盤の最安値水準でやや膠着状態となりながらもジワジワと安値を更新している。
9月2日安値18.26リラで昨年12月23日以降の取引時間中の最安値を更新した後は新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでは9月7日終値18.22リラで史上最安値を更新しており、徐々に取引時間中の史上最安値である昨年12月20日の18.36リラへ迫っている状況だ。
【ロシアと通貨スワップ協定の可能性】
ロシア系通信社の報道によると、トルコのヘッジファンドマネージャーの話としてトルコとロシアが通貨スワップ協定を結ぶ可能性があるという。詳細は不明だが、トルコはこれまでも外貨準備不足への対処として中国や韓国及びUAE等と通貨スワップ協定を結んできた。中国とは2012年からスワップ協定を結んできたが、昨年6月には36億ドル規模を追加してスワップ上限を60億ドルに拡大した。昨年4月には韓国と期間3年で20億ドル相当のスワップ協定を締結、今年1月にはUAEと3年間で49億ドルのスワップ協定を締結している。
トルコの国際収支は慢性的な貿易赤字を海外からの観光収入で補填する構造となっているが、リラ安が続いたことによる市場介入等の影響もあり外貨準備不足がさらなるリラ安を招く状況に陥ってきたため、通貨スワップ協定の拡大により外貨準備を補強する必要に迫られている。
一方でロシアはウクライナ戦争後の欧米による経済制裁で国際決済機関SWIFTから締め出されていることと、ルーブル建てによる資源等輸出でルーブルが戦争勃発前の水準を超える急騰となったため、外貨流動性確保のために制裁に加わっていない中国の人民元やインドのルピー、トルコのリラを外貨保有対象として拡大しようとしている。ロシアとトルコが通貨スワップ協定で合意すれば両国にはプラスだが、その際に米国等がトルコへの制裁を課す可能性もあると懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月6日午後に9月2日高値を超えてから急伸したため、9月7日午前時点では9月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への上昇を想定した。
9月7日夜に一段高となり8日早朝へ小反落したものの7.90円割れを買い戻されて切り返し始めているのでまだ上昇余地ありとみるが、8日早朝の7.88円割れからは弱気サイクル入りとして9日午前から13日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、9月6日午前安値からの急伸で遅行スパンが好転、先行スパンに対しては上限に接したところから大幅な上方乖離となったが、その後も両スパンそろっての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて先行スパン上下限への下落を想定する。ただし遅行スパンが悪化した後に好転し直す場合は上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は9月6日夜から7日夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られてから50ポイントまで低下したが、その後は60ポイント台へ持ち直している。このため50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えへ進む可能性ありとみるが、次の50ポイントを割り込むところからは40ポイント割れへ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.88円を下値支持線、7.95円を上値抵抗線とする。
(2)7.88円以上での推移中は7.95円超えから8.00円前後を目指すとみる。7.99円以上は反落警戒とするが、7.90円以上での推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.88円割れからはいったん調整安に入るとみて7.85円から7.82円にかけてのゾーンを試すとみる。7.85円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、7.88円以下での推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月8日
20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 グロス (8/26時点 708.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 ネット (8/26時点 126.2億ドル)
9月12日
16:00 7月 失業率 (6月 10.3%)
16:00 7月 経常収支 (6月 -34.58億ドル、予想 -36億ドル)
9月13日
16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 15.2%)
16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 8.50%
16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.7%)
16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 5.5%)
注:ポイント要約は編集部
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