トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調継続だが、ドル円の急伸で7.80円台中盤へ一段高(22/9/7)

トルコリラ円の9月6日は7.85円から7.70円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.83円で前日終値の7.71円からは0.12円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調継続だが、ドル円の急伸で7.80円台中盤へ一段高(22/9/7)

ドル高リラ安基調継続だが、ドル円の急伸で7.80円台中盤へ一段高

〇トルコリラ円、ドル円大幅上昇に同調し、9/2高値7.73超えて急伸、9/6深夜7.85到達
〇ドル高リラ安基調は継続、最安値18.26更新は回避、終値ベースでの史上最安値更新は続く
〇ロシア政府、リラを外貨保有対象として拡大か、米国の牽制、米トルコ関係悪化を懸念
〇7.82以上での推移中は7.88超えから7.90円台序盤への上昇を想定する
〇7.80割れからは急騰に対する反動安入りとみて、7.75前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月6日は7.85円から7.70円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.83円で前日終値の7.71円からは0.12円の円安リラ高となった。
ドル/トルコリラでのドル高リラ安基調は継続しているものの、それに勝るドル円の上昇により8月2日以降のトルコリラ円はドル円の騰落に同調した動きを続けてきたが、9月6日は午前にドル円がやや下げたところで7.70円の安値をつけたものの、ドル円が141円台到達から夜に142円を超え、さらに深夜には143円に到達する大上昇となったため、トルコリラ円も9月2日高値7.73円を超えて急伸となり深夜高値で7.85円まで大幅続伸した。7日早朝に7.82円まで小反落したところも買われ、ドル円が7日午前序盤に一段高したところで7.87円まで高値を切り上げている。

【ドル高リラ安基調は継続】

ドル/トルコリラの9月6日は18.25リラから18.19リラの取引レンジ、7日早朝の終値は18.21リラで前日終値と変わらなかったが、小数点下3桁では5日終値の18.211リラから6日の18.214リラへわずかながらドル高リラ安となっている。
米国市場休場明けの米長期債利回りが大幅上昇したことでドルストレートでのドル高感が強まりユーロドルは9月5日午前安値を割り込んで昨年来最安値を更新、ポンドドルも1.16ドル到達まで戻したところから1.15ドル割れへ失速、豪ドル米ドルは豪中銀が0.50%利上げを決定したものの材料消化で売られて急落となり8月11日以降の安値を更新した。南アランドも6日午前高値からの反落で8月31日以降の安値である9月5日の17.41ランドへ迫っている。総じてドル高基調にあり、ドル/トルコリラも9月2日につけた昨年12月23日以18.26降の取引時間中の最安値18.26リラの後は新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでは史上最安値更新が続いており、徐々に取引時間中の史上最安値である昨年12月20日の18.36リラへ迫っている。

【ロシアによるリラ買い】

ロシア政府は毎月ドル換算で30〜40億ドル相当の中国人民元を買い入れる方針と報じられている。詳細は不明だが、国際決済機関のSWIFTから締め出されていることによる外貨流動性の確保のために制裁に加わっていない中国の人民元やインドのルピー、トルコのリラも外貨保有対象として拡大しようとしているようだが、ロシアルーブルはウクライナ戦争勃発と欧米の経済制裁発動時に急落したものの、その後はエネルギー収入等によるロシア経済の底力もあるとして倍返しのルーブル高となり、ロシア中銀も一時はルーブル安阻止で大幅利上げに踏み切っていたものの早々に元の水準へ利下げしている。

現状はやや落ち着いているものの、ロシア産原油や天然ガスの購入等におけるルーブル払いのほかに人民元払い等を活用することでルーブルの行き過ぎた上昇を抑える狙いもあるようだ。
トルコはロシア経済制裁に参加せずに経済協力を進めており、過度のリラ安防衛にとってはロシアのリラ買いが有効と思われるが、米国が制裁対象のロシア企業との取引に関してトルコ企業への制裁に踏み切る可能性を警告していることもあり、今後のトルコとロシアの取引決済動向等についての米国の牽制が米国とトルコの関係悪化の呼び水となる可能性も懸念される。

【円安の加速、クロス円全般の急伸でトルコリラ円も8月2日以降の高値を更新】

トルコリラ円は8月2日に7.27円の安値を付けたところからドル円の騰落に合わせてジグザグ型の上昇に入り、8月23日に7.62円へ上昇したところから8月26日安値7.49円まで下げていたが、8月26日夜のパウエル米FRB議長によるジャクソンホール講演における金融引き締めへの強い決意表明からドル円の上昇が勢い付いたことに同調し始めたため、ジグザグ型で騰落を繰り返すパターンから抜け出して連騰型の上昇に入っている。

ドル円は9月6日に一日の高安で3円近い上昇、前日比で2円を超える大幅上昇で勢い付いているが、9月6日の豪中銀の0.50%利上げが決定され、7日はカナダ中銀の0.75%利上げ予想、8日はECBの0.75%利上げ予想と主要国の利上げ決定が続く中で金融緩和から抜け出せない日銀の出遅れ感が一層目立ち始めたことで円売りが勢い付いている印象だ。国内投資家はリスク回避的に外貨預金へシフトし、海外勢は円売り攻勢を強めている。
ドルストレートでのドル高よりもクロス円の円安が勝り、ドル円が大幅上昇する状況にあり、昨晩もユーロ円やポンド円等はユーロやポンドの下落にもかかわらず上昇している。トルコリラ円もドル高リラ安基調はジワジワと進行しているものの、それに勝る円安相場として戻り高値を試す流れを続けやすい状況にあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月1日午前に8月29日以降の持ち合いから上放れしたために9月1日午前時点では8月29日午後高値を直近のサイクルトップ、持ち合い後半の31日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を9月1日午後から5日午後にかけての間と想定したが、9月6日午前時点では9月2日夜高値を超える場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて9月2日夜高値を直近のサイクルトップとした。
9月6日午後に9月2日高値を超えてから急伸したため、9月6日午前安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への上昇を想定する。弱気サイクル入りには7.80円を割り込んでさらに続落するような下落発生が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、9月6日午前安値からの急伸で遅行スパンが好転、先行スパンに対しては上限に接したところから大幅な上方乖離となっているため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。7.80円以上での推移中は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、7.80円割れからは急騰に対する反動安入りを警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月6日夜の急騰時に90ポイントに到達し、7日午前の高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行が見られる。60ポイント以上での推移中は80ポイント台中盤へ切り返して一段高へ進む可能性があるとみるが、その際に9月6日夜時点からピークが切り下がる場合は弱気逆行による下落期入りを警戒し、その後に60ポイント割れから続落に入る場合はいったん下落期に入るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.88円を上値抵抗線とする。
(2)7.82円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは7.88円超えから7.90円台序盤(7.90円から7.92円)への上昇を想定する。7.90円以上は反落警戒圏とするが、7.82円を上回っての推移なら8日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.80円割れからは急騰に対する反動安入りとみて7.75円前後への下落を想定する。7.75円以下は買い戻されやすいところとみるが、7.80円を割り込んでの推移なら7日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月7日
 23:30 8月 財務省現金残 (7月 -928億リラ)
9月8日
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 グロス (8/26時点 708.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 ネット (8/26時点 126.2億ドル)
9月12日
 16:00 7月 失業率 (6月 10.3%)
 16:00 7月 経常収支 (6月 -34.58億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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