トルコリラ円見通し 8月のトルコCPIは予想下回るも市場反応は鈍い(22/9/6)

トルコリラ円の9月5日は7.72円から7.68円の取引レンジ、6日早朝の終値は7.71円で先週末終値の7.69円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 8月のトルコCPIは予想下回るも市場反応は鈍い(22/9/6)

トルコリラ円見通し 8月のトルコCPIは予想下回るも市場反応は鈍い

〇トルコリラ円、9/5は7.72から7.68の取引レンジ、トルコCPIへの反応鈍くドル円を見ながらの展開続く
〇対ドル、終値は18.21をつけ、終値ベースの史上最安値を更新
〇昨日発表の8月CPIは予想を下回る、消費者物価の伸びはやや鈍化したが依然としてプラスでの推移
〇7.70割れからは下向きとし、7.68割れからは7.65前後への下落を想定する
〇7.73超えからは7.76前後への上昇を想定し、7.76以上は反落注意とする

【概況】

トルコリラ円の9月5日は7.72円から7.68円の取引レンジ、6日早朝の終値は7.71円で先週末終値の7.69円からは0.02円の円安リラ高だった。
8月2日以降はドル円の騰落に合わせた動きに終始しており、9月2日の米雇用統計発表から乱高下しつつドル円が140.79円へ高値を更新した局面で7.73円へ上昇して8月2日安値7.27円以降の高値を更新し、深夜のドル円下落時に7.68円へ反落したが、その後はドル円がジリ高推移となったことでトルコリラ円もやや持ち直し気味の推移で先週を終えていた。

9月5日夕刻にはトルコの8月消費者物価上昇率の発表があり、伸びが前月から鈍化して市場予想を下回ったものの市場の反応は鈍かった。物価統計への不信感と8月18日にトルコ中銀が利下げを強行したことと8月22日にエルドアン大統領が「利上げはありえない」と利下げ政策の継続姿勢を強調したことによるリラの先安感は変わらずのためにドル/トルコリラでのリラ買い反応は鈍く、トルコリラ円はドル円を見ながらの展開を続けた。
9月6日午前序盤はドル円がやや頭打ち感から失速しており、トルコリラ円も早朝に7.72円まで戻したところから7.70円割れを試している。

【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの9月5日は18.23リラから18.19リラの取引レンジ、6日早朝の終値は18.21リラで先週末終値の18.18リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
9月2日夜の米雇用統計に対する反応は鈍かったが、9月5日夕刻のトルコCPI等の発表に対する市場反応も限定的だった。
6月24日の国内企業における外貨保有規制から一時急伸したものの6月27日から再びリラ安となってからは連日のように12月23日以降の最安値更新と終値ベースの史上最安値更新を続けており、9月2日に18.26リラの安値をつけた後は取引時間中の新たな安値更新へは進めずにいるものの、終値ベースでは9月1日終値18.20リラから5日終値18.21リラへと更新している。

【トルコの8月CPIは予想を下回る】

9月5日16時に発表された8月の消費者物価指数の上昇率は前月比が1.46%で7月の2.37%から低下、市場予想の2.00%を下回った。前年同月比は80.21%となり7月の79.60%から伸びが加速したが市場予想の81.22%を下回った。
消費者物価コア指数の上昇率は前月比3.1%で7月の3.4%から若干低下したが、前年比は66.1%で7月の61.7%から伸びが加速した。
生産者物価上昇率は前月比が2.41%で7月の5.17%から鈍化、前年同月比は143.75%で7月の144.61%から若干低下した。
6月後半から国際商品全般が下落しているために生産者物価の伸びが鈍化したことで消費者物価の伸びもやや鈍化したが、依然としてプラスでの推移であり、インフレ水準そのものは上昇継続となっている。

トルコリラ円見通し 8月のトルコCPIは予想下回るも市場反応は鈍い

消費者物価の項目別では輸送費が前年比116.87%。生活用品が同92.02%、食料品が90.25%、アルコールとたばこが82.49%。ホテルやレストランが80.95%で全体の平均値を超えている。しかし項目別で最低だった通信費でも前年比27.05%、教育費は34.34%と高水準だ。
生産者物価の項目別では電気ガスとスチームが前年比348.39%、エネルギーが303.48%と激しい上昇であり、非耐久財が134.14%、耐久財が99.54%、水が90.01%などと平均値を下回る項目も高水準にある。

トルコ政府は9月4日に発表した中期計画において年末のインフレ予想は現行の80%近辺から65%まで低下し、2023年末には24.9%まで低下するとの見通しを示した。また経常赤字は2022年に473億ドルとなり2013年以降で最大となるものの2023年は800億ドルに縮小する見通しとした。GDPについては2022年が5.0%、2023年が5.0%、2024年と2025年が5.5%と予想しているが、インフレ低下については甘い見通しの印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月1日午前に8月29日以降の持ち合いから上放れしたために9月1日午前時点では8月29日午後高値を直近のサイクルトップ、持ち合い後半の31日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を9月1日午後から5日午後にかけての間と想定した。
9月6日早朝へ持ち直しを継続したが9月2日夜高値には届かずに6日午前に失速気味となっているため、9月2日夜高値を超える場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて9月2日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は9月5日夕から7日夕にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、9月2日夜高値を超えないうちは一段安余地ありとし、9月2日夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月2日夜の高安レンジ内での推移が続いているため遅行スパンは実線と交錯して6日午前時点では悪化しつつあり、先行スパンの上限に接している。9月2日高値を超えないうちは調整安に入りやすいところとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性もあると注意する。9月2日夜高値超えから一段高に入る場合は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9月6日午前に50ポイント割れへ失速しているため30ポイント前後を目指す低下を想定するが、60ポイントまで戻す場合は上昇再開の可能性を優先して70ポイントを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.68円を下値支持線、7.73円を上値抵抗線とする。
(2)7.70円割れからは下向きとし、7.68円割れからは7.65円前後への下落を想定する。7.65円以下は反騰注意とするが、7.70円以下での推移なら7日午前も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.73円超えからは7.76円前後への上昇を想定する。7.76円以上は反落注意とするが、7.73円を超えた後も7.71円以上での推移なら7日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月7日
 23:30 8月 財務省現金残 (7月 -928億リラ)
9月8日
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 グロス (8/26時点 708.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 ネット (8/26時点 126.2億ドル)
9月12日
 16:00 7月 失業率 (6月 10.3%)
 16:00 7月 経常収支 (6月 -34.58億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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