トルコリラ円見通し 8月2日以降の高値更新、円安による押し上げ続く(22/9/5)

トルコリラ円の9月2日は7.73円から7.67円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.69円で前日終値の7.70円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 8月2日以降の高値更新、円安による押し上げ続く(22/9/5)

8月2日以降の高値更新、円安による押し上げ続く

〇トルコリラ円、金曜ドル円高値更新時に7.73へ上昇、8/2安値7.27以降の高値更新
〇ドル円騰落と同調した動き続け、週間では8/26終値7.56から0.13円の円安リラ高に
〇対ドルでは2日安値で18.26をつけ昨年12/23高値10.06以降の最安値更新
〇本日16時8月トルコ物価上昇率発表、前年同月比予想レンジは80.50%から82.60%
〇トルコ企業へのロシア制裁の波及という新たな懸念など、リラ売りを促進しやすい状況続く
〇7.67以上での推移中は7.73超えから7.75前後を目指すとみる
〇7.65割れからは下落期入りとみて7.60台序盤(7.62から7.60)への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の9月2日は7.73円から7.67円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.69円で前日終値の7.70円からは0.01円の円高リラ安だった。
8月2日以降はドル円の騰落と同調した動きを続けており、9月2日は夜の米雇用統計を控えて日中からドル円の高値更新に追従して7.71円台へ上昇していた。
米雇用統計発表から為替市場全般が乱調となったが、ドル円は乱高下しつつ140.79円へ上昇して昨年1月底以降の最高値を更新してから深夜には139.94円まで反落、3日早朝にかけては140円台序盤を回復して確りした。トルコリラ円はドル円が高値を更新した際に7.73円へ上昇して8月2日安値7.27円以降の高値を更新したものの深夜にドル円が下落したところで7.68円へ反落、その後はやや持ち直し気味の推移となり、3日早朝にかけてはドル/トルコリラでリラが買い戻されたことも重なり7.71円超えまで戻して7.69円で終了した
週間で8月26日終値7.56円から0.13円の円安リラ高だった。

【ドル/トルコリラは1ドル18リラ台序盤で安値更新を試す展開続く】

ドル/トルコリラの9月2日は18.26リラから18.17リラの取引レンジ、3日早朝の終値は18.18リラで前日終値の18.20リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
週間では8月26日終値の18.14リラから0.04リラのドル高リラ安。
8月18日のトルコ中銀による予想外の利下げ強行で1ドル18リラの壁を超え、8月22日にはエルドアン大統領が「利上げの必要無し」と述べて利下げ政策の継続姿勢を強調したためにリラ安がさらに進行、9月2日安値18.26リラは昨年12月23日高値10.06リラ以降の最安値更新であり、昨年12月20日に付けた取引時間中の史上最安値18.36リラへ徐々に迫る展開となっている。また日足の終値ベースでは昨年12月17日安値16.41リラを6月2日に超えてから最安値更新を続けて9月1日終値18.20リラまで切り下げてきたが、9月2日は終盤の反発で最安値更新にはならなかった。

9月2日夜の米雇用統計では非農業部門就業者数が予想を若干上回ったものの6月分が10万人を超える下方修正となり失業率も予想外に3.7%まで悪化したためにいったんドル安反応となったが、深夜以降はドル高がぶり返して英ポンドが昨年6月以降の最安値を更新、ドル円も140円割れから持ち直してドル高基調の継続感を維持して週を終えている。ただドル/トルコリラは全般動向にはさほど左右されずに1ドル18リラを超えてからジワジワと安値を更新する展開の範囲での推移を続けている。

【9月5日夕刻にトルコCPI発表、リラ安による通貨インフレは継続中】

【9月5日夕刻にトルコCPI発表、リラ安による通貨インフレは継続中】

9月5日16時に8月のトルコ物価上昇率の発表がある。消費者物価指数の上昇率については前月比が7月の2.37%から2.00%へやや鈍化すると予想されているが、予想レンジは1.6%から2.8%まで幅広い。前年同月比は7月の79.60%から81.22%へと伸びが加速すると予想されているが、予想レンジは80.50%から82.60%まで幅広い。
6月後半から国際商品先物市場において原油や貴金属・非鉄及び穀物相場の下落が見られるため、生産者物価上昇率がやや鈍化するようだと年後半への消費者物価上昇率の低下期待も生じるかもしれないが、世界規模でのサプライチェーン停滞が解消していない状況では先物市場よりも大幅に遅延した推移となる現物市場でのインフレ感は解消しないものだ。国際商品市場の低迷が長期化し、生産者物価指数が落ち着き、消費者物価のコア指数も落ち着き始めてようやく全体の消費者物価も低下に転じてゆくものだ。

トルコでは世界規模のインフレに加えてリラ安による通貨インフレが現在進行形であり、ドル/トルコリラは7月末の1ドル17.91リラから8月末の1ドル18.19リラへ5.67%のドル高リラ安となっているため、単純なリラ安による押し上げにより生産者物価も消費者物価もまだ上昇基調を続けるものと思われる。

【リラ売り優勢の市場環境は続く】

9月2日の米雇用統計から為替市場は乱高下したものの、9月1日深夜から雇用統計前の買い戻しで上昇し雇用統計後に高値を切り上げたユーロやポンド、豪ドル、南アランド等は総じて深夜から失速した。米FRBによる次回FOMC(9月20-21日開催)では0.50%か0.75%の利上げが予想されており、0.75%利上げが回避される可能性を意識して9月2日深夜にかけてはドル安反応が見られたものの必ずしも中長期的なドル高基調がドル安基調へと変わったわけではない。9月のFOMCが0.50%利上げだったとしても年末から来年序盤への利上げは継続し利上げされた水準はインフレが劇的に低下することを確認できるまでは維持される見通しだ。

今週は9月6日に豪中銀による0.50%利上げ、9月7日にはカナダ中銀による0.75%利上げ、9月8日にECBによる0.75%利上げ、その後も9月15日に英中銀による0.50%利上げ等が想定されており、新興国等もインフレ抑制と通貨防衛のために利上げを継続してゆく見通しだ。主要国の中では感染拡大による景気鈍化対策として中国が利下げしているものの中国は消費者物価の前年比が2.7%、生産者物価が4.2%に過ぎないから利下げが可能であり、高インフレの中で利下げを強行したトルコとは事情が異なる。

7月9日ににフィッチレーティングスがトルコ格付けを「B+」から「B」に引き下げて見通しを「ネガティブ」とし、8月12日にはムーディーズが「B2」から「B3」に格下げ、その後の8月18日にトルコ中銀が政策金利を14%から13%へ予想外の利下げで1ドル18リラの壁を超えるリラ安進行が発生、8月22日にエルドアン大統領が「利上げの必要なし」と強調して格付下げによる警告を無視した。8月23日には米財務副長官がトルコ企業団体へロシア制裁関連で警告書簡を送り、トルコ企業へのロシア制裁の波及という新たな懸念も沸いており、トルコリラを取り巻く環境はリラ売りを促進しやすい状況が続いている。

【3か月から4か月周期の底打ちサイクルではもう一段安への懸念残る】

【3か月から4か月周期の底打ちサイクルではもう一段安への懸念残る】

トルコリラ円は概ね3か月から4か月周期で主要な安値を付けており、昨年12月23日安値の後は今年3月11日と6月16日にこのサイクルにおける安値を付け、6月27日高値で戻り一巡となり下落再開に入った。
8月2日からは円安による押し上げ効果でジグザグの上昇を凡そ1か月継続してきたが、8月2日安値では底打ちへの日柄が不十分であり、ドル/トルコリラの下落基調が続いていることを踏まえれば、現状の戻りはあくまでの中間反騰に過ぎず、戻りが一巡したところから一段安へと下落再開に入るのではないかと懸念される。
下落一服による中間反騰ないし下げ渋りとしては、昨年12月23日高値から1月3日へ急落した後に1月31日まで凡そ1か月の下げ渋り持ち合いで8.13円から8.67円まで0.54円を戻した前例があるが、現状は8月2日安値8.27円から9月2日高値7.73円まで0.46円を戻したところにある。

目先は円安の押し上げて戻り高値を試しやすいところだが、先行きは徐々に上値が重くなり、日足の一目均衡表で9日転換線、26日基準線を順次割り込むところからは8月2日安値を割り込む一段安へと進み始める可能性に注意したい。特にドル円の上昇が高値警戒感から鈍りつつドル高リラ安がエスカレートする場合は要注意と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.67円を下値支持線、7.73円を上値抵抗線とする。
(2)7.67円以上での推移中は7.73円超えから7.75円前後を目指すとみるが、7.75円以上は反落警戒圏とし、その後に7.70円を割り込むところからは下落期に入りやすいと考える。
(3)7.67円割れを弱気転換注意とし、7.65円割れからは下落期入りとみて7.60円台序盤(7.62円から7.60円)への下落を想定する。下げ足が早まる場合は7.60円割れを目指す可能性もあると注意する。

【当面の主な予定】

9月5日
 16:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 2.37%、予想 2.00%)
 16:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 79.60%、予想 81.22%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 3.4%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 61.7%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 5.17%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 144.61%)
9月7日
 23:30 8月 財務省現金残 (7月 -928億リラ)
9月8日
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 グロス (8/26時点 708.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 ネット (8/26時点 126.2億ドル)
9月12日
 16:00 7月 失業率 (6月 10.3%)
 16:00 7月 経常収支 (6月 -34.58億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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