『約1ヵ月ぶり高値圏へ上昇も続伸余地は限定的。CPI・PPIに注目』
〇今週のトルコ円、週末にかけ約1ヵ月ぶり高値となる7.72円まで上昇
〇トルコ経済指標の良好な結果、対主要通貨の円売り進行が背景
〇テクニカルには、地合いの好転を印象付けるチャート形状なるも一目均衡表「雲」が上昇阻害
〇ファンダメンタルズもトルコリラのダウンサイドリスクを連想させる材料揃う
〇トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.45ー7.85
今週のレビュー(8/29−9/2)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.57円で寄り付いた後、早々に週間安値7.56円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@トルコ8月経済信頼感指数(結果94.3、前回93.4)の良好な結果や、Aトルコ4ー6月期GDP(結果+7.6%、予想+7.5%、前回7.4%、※前年比)の力強い結果、Bトルコ8月製造業PMI(結果47.4、前回46.9)の良好な結果、Cロシア政府系ナショナル・ウェルス・ファンドが友好国の通貨(中国人民元やトルコリラ)を大口購入しているとの観測報道、D対主要通貨で活発化する円売りの流れ(ドル円が約24年ぶり高値圏へ急上昇→クロス円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.72円まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/3午前5時50分現在)では、7.69円前後で推移しております(尚、対ドル相場は安値圏での一進一退が継続中)。
来週の見通し(9/5−9/9)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、8/2に記録した直近安値7.24円をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、7/26以来、約1ヵ月ぶり高値となる7.72円まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを上抜けした他、「遅行線の26日前のローソク足突破」と「転換線と基準線のゴールデンクロス実現」を経て強い売りシグナルを示唆する三役逆転が消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。但し、来週は一目均衡表の分厚い雲が上方より垂れ下がってくるため、ここからの続伸余地は容易では無いと考えられます。余程強いトルコリラ買い・円売り材料が出てこない限り、一巡後の反落リスクが警戒されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシア・トルコが急接近→欧米・トルコの関係性悪化懸念)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(次回FOMCでの75bp利上げ観測再燃および来年の利下げ観測後退)、B上記Aを背景としたトルコから米国への資本流出圧力、Cトルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが前年比+79.60%と約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず8/18に100bpの大幅利下げを実施→エルドアン大統領は一貫して利上げ不要論を唱えているため年内追加利下げ観測が引き続き残る展開)、D上記Cを背景としたトルコリラの実質金利低下(インフレ加速+利下げの組み合わせ)、E経常赤字・財政赤字を背景とした構造的なリラ売り圧力など、トルコリラのダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/5に予定されているトルコ8月消費者物価指数(予想81.2%)や、トルコ8月生産者物価指数(予想144.6%)に注目が集まります。市場予想を上回るインフレ加速が示される場合には、トルコリラの実質金利低下を通じて、トルコリラ円相場に再び強い下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週は週明け早々よりトルコリラの下落リスクに警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.45ー7.85
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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