『上値トライ失敗で急反落。ダブルトップ完成に向けてネックラインを試す展開か』
〇今週の南ア円、週前半8.25まで上昇するも上値トライに失敗、週末にかけ8.07まで下落
〇中国経済失速懸念、米金利上昇、金・プラチナ価格の急落が背景
〇テクニカルには上方から一目均衡表の「雲」が垂れ下がり、ダブルトップ形成も意識され、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもFRBのタカ派傾斜観測、南アスタグフレーション懸念等が重石
〇南アランド円相場の続落シナリオを想定
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.20
今週のレビュー(8/29−9/2)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.16円で寄り付いた後、翌8/30にかけて、週間高値8.25円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(8/12高値8.26円をバックに戻り売り圧力が強まると)、@中国経済の失速懸念(中国と経済的な結び付きの強い南アフリカ経済の減速懸念)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(米長期金利急上昇→米ドル急騰→南アフリカから米国への資金流出圧力)、B金・プラチナ価格の大幅下落(南アフリカの主要産品である貴金属価格の急落→プラチナ価格は2020年6月以来、約2年3ヵ月ぶり安値圏→南アフリカの交易条件悪化懸念)、C南ア株の軟調推移(スタグフレーション懸念が燻る中での南ア中銀の利上げ観測→南ア経済への逆風→南ア株が約1ヵ月半ぶり安値圏へ下落)、
D南ア7月財政収支(結果1295億ZAR赤字、予想841億ZAR赤字、前回738億ZAR黒字)の赤字再転落、E南ア8月Naamsa自動車販売(結果+14.2%、前回+30.9%)の冴えない結果が重石となり、週末にかけて、週間安値8.07円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/3午前5時30分現在)では、8.10円前後で推移しております。尚、9/2に発表された南ア8月製造業PMI(結果52.1、前回47.6)は好不況の分岐点となる50を超えるサプライズとなりましたが、南アランド円相場への影響は限定的となりました。
来週の見通し(9/5−9/9)
直近1週間の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週前半にかけて高値8.25円まで上値を伸ばしましたが、8/12高値8.26円トライに失敗すると、週後半にかけて急反落に転じる冴えない動きとなりました。アップサイドから一目均衡表の分厚い雲が覆いかぶさってくることや、ダウ理論の下落トレンドが成立していること、チャートフォーメーション的に8/12高値8.26円と8/30高値8.25円を起点としたダブルトップが意識され易いこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(次回FOMCでの75bp利上げ観測再燃および来年の利下げ観測後退)や、
A上記@を背景とした南アフリカから米国への資本流出圧力、B南ア経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での南ア中銀による金融引き締め→南ア経済への下押し圧力→南ア株下落)、C南アフリカの交易条件悪化懸念(金・プラチナ価格の急落)、D南アフリカの政局不透明感(ラマポーザ大統領は自身の農場に外貨数百万ドルを隠ぺいしていたとして野党から厳しく追及)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落シナリオを想定いたします(ダブルトップ完成に向けてネックラインが位置する7.99円を試すシナリオを想定)。尚、来週は9/6に予定されている南ア4ー6月期GDP、9/8の南ア4ー6月期経常収支に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.20
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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