トルコリラ円見通し ドル円の急伸に同調して一段高、8月2日以降の高値更新
〇トルコリラ円、9/1午前7.67へ上昇、夕刻7.64まで小反落するも深夜7.70まで一段高
〇8/2以降ドル円の動きと同調、今晩の米8月雇用統計後に上昇基調を維持できるかどうか試される
〇対ドル、9/1は18.22から18.17の取引レンジ、終値ベースの史上最安値更新
〇昨日発表の8月製造業PMIは50を割り込み低下傾向続く、今晩発表の米8月雇用統計に注目集まる
〇7.64以上での推移中は一段高余地ありとし、7.70超えからは7.73前後への上昇を想定する
〇7.64割れからは上昇一巡による下落期入りの可能性ありとみて、7.60前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月1日は7.70円から7.64円の取引レンジ、2日早朝の終値は7.70円で前日終値の7.63円からは0.07円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は継続しているものの8月2日以降はドル円の動きと同調しており、9月1日午前にドル円が138円台中心の持ち合いから上放れして139.67円へ一段高したところでトルコリラ円も7.67円へ上昇して8月29日高値7.65円以降の持ち合いから上放れに入った。夕刻にドル円が139円を試したところでトルコリラ円は7.64円まで小反落したものの、深夜にドル円が140円台へ急伸したところでトルコリラ円も7.70円まで一段高となった。
9月2日午前序盤はドル円が140円台到達に対する高値警戒感と利益確定売りに圧されて140円を割り込んでおり、トルコリラ円も7.68円近辺までやや下げている。
トルコリラに関する独自材料としては9月5日の8月CPI発表に注目が集まるところだが、為替市場全般としては今晩の米8月雇用統計が最重要イベントであり、概ね良好な数字なら米FRBの大幅利上げ姿勢を邪魔しないとしてドル円は一段高へ進みやすく、その際にはトルコリラ円も同調してもう一段高を試す可能性があると思われる。逆に予想外の弱い数字だと大幅利上げへの躊躇を見込んでドル円が下落してトルコリラ円も失速しかねない。8月2日以降の上昇基調を維持できるかどうか試される。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値を続ける】
ドル/トルコリラの9月1日は18.22リラから18.17リラの取引レンジ、9月2日早朝の終値は18.20リラで前日終値の18.19リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
9月1日夜の米経済指標が総じて良好だったことで米長期債利回りが上昇、米FRBによる9月FOMCでの大幅利上げ決定に寄与するとしてドル全面高となりトルコリラも全般のドル高に圧される展開となった。
8月31日に付けた昨年12月23日以降の取引時間中の最安値18.23リラを更新しなかったものの、終値ベースでは31日終値をわずかに超えて史上最安値とした。
9月1日夜発表の週次外貨準備高は8月26日時点のグロスで708.2億ドルとなり8月19日時点の714.9億ドルから減少、ネットでは126.2億ドルとなり8月19日時点の138.8億ドルから減少した。
【トルコ製造業PMIは50割れが続く】
9月1日夕刻発表のイスタンブール8月製造業PMIは47.4となり7月の46.9から若干改善した。しかし今年3月からは好不況の分岐点である50を割り込んで低下傾向を続けている。パンデミック発生ショックで2020年4月に33.4まで急低下したところから2020年6月に56.9まで切り返した後は徐々に切り下がり傾向にある。
前日発表されたトルコの4-6月期GDPは前年同期比で7.6%増と好調な数字であり、トルコの鉱工業生産や海外観光客数もパンデミック前の水準まで回復しているのだが、高インフレとリラ安により企業マインドは低調なままだ。電気ガス価格高騰に苦しむ欧州が不況入りするようだとトルコ経済への打撃も大きく、中国の感染拡大による規制強化が世界経済全体に圧迫感をもたらしていることも踏まえれば、リラ安や利下げによる景気刺激策ではなく大胆な財政出動等による景気浮揚策が欲しいところだ。
【今晩、米8月雇用統計】
9月1日は米経済指標が総じて良好だったことでドル高が進行したが、今晩は8月米雇用統計の発表がある。市場の事前予想では非農業部門就業者数が7月の52.8万人増から30.0万人増へと伸びが鈍化すると見込まれているが、今年2月に71.4万人増と大幅増加した後は7月を除いて30万人台の増加ペースであり、今回も極端に予想を下回らなければ米FRBによる大幅利上げ判断は変わらないとしてドル高に進みやすいと思われる。特に平均時給の上昇が続けばインフレ抑制のために9月FOMCでの0.75%利上げの可能性も高まると思われる。 米雇用統計が良好でドル全面高となる場合、ドル高リラ安よりもドル円の上昇が勝ってトルコリラ円は上昇しやすいと思われるが、週明けの9月5日には8月のトルコCPI発表もあり80%を超える予想のため、ドル高リラ安が加速し始める場合にはドル円の上昇ではトルコリラ円を押し上げられなくなる可能性もあると注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月1日午前に8月29日以降の持ち合いから上放れしたために9月1日午前時点では8月29日午後高値を直近のサイクルトップ、持ち合い後半の31日夕安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を9月1日午後から5日午後にかけての間と想定した。既に反落注意期にあるため7.64円以上での推移中はもう一段高余地ありとするが、7.64円割れからは弱気サイクル入りとして9月5日夕から7日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、9月1日午前の一段高により遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。
60分足の相対力指数は9月1日午前と深夜の上昇時に70ポイントに到達しているが、50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとし、73ポイント超えからは80ポイントを目指す可能性もあるとみる。50ポイント割れからはいったん下落期入りとみて40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.64円を下値支持線、7.70円を上値抵抗線とする。
(2)7.64円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.70円超えからは7.73円前後への上昇を想定する。7.73円以上は反落警戒とするが、7.67円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.64円割れからは上昇一巡による下落期入りの可能性ありとみて7.60円前後への下落を想定する。7.62円以下は反騰注意とするが、7.64円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月5日
16:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 2.37%、予想 2.00%)
16:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 79.60%、予想 81.22%)
16:00 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 3.4%)
16:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 61.7%)
16:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 5.17%)
16:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 144.61%)
9月7日
23:30 8月 財務省現金残 (7月 -928億リラ)
9月8日
20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 グロス (8/26時点 708.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/2時点 ネット (8/26時点 126.2億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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