トルコリラ円見通し 9月1日朝のドル円急伸に同調して一段高(22/9/1)

トルコリラ円の8月31日は7.64円から7.60円の取引レンジ、9月1日早朝の終値は7.63円で前日終値の7.62円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 9月1日朝のドル円急伸に同調して一段高(22/9/1)

9月1日朝のドル円急伸に同調して一段高

〇トルコリラ円、1日朝のドル円一段高に同調し7.66を超え持ち合い上放れ
〇上放れによりドル円の勢いを見ながら高値追及へ動きやすいところ
〇対ドルでは31日は18.23から18.14の取引レンジ、12/20の史上最安値18.36へ迫る
〇31日発表の4-6月GDPは前年同期比7.6%増、前期および市場予想上回り8期連続のプラス
〇7.63以上での推移中は一段高余地あり、7.68超えからは7.70前後への上昇を想定
〇7.63割れからは7.60前後への下落を想定、その後7.65を超えるところからは上昇再開とみる

【概況】

トルコリラ円の8月31日は7.64円から7.60円の取引レンジ、9月1日早朝の終値は7.63円で前日終値の7.62円からは0.01円の円安リラ高だった。
8月26日のパウエル米FRB議長講演をきっかけとしてドル円が26日夜安値136.28円から急伸して139円台に到達し、29日から31日夜にかけての間は138円台を中心とした持ち合いとなっていたが、米長期債利回りの上昇を背景に9月1日朝には8月30日深夜高値を超えて持ち合い上放れに入り、1日9時過ぎには139.50円を超えて7月14日高値139.39円を上抜き2021年1月6日底102.57円以降の最高値を更新した。

トルコリラ円はドル円の騰落に合わせて8月26日夜安値7.49円から29日午後高値7.65円へ上昇した後は7.60円前後を下値支持線とした持ち合いに入り、8月31日も持ち合い範囲での推移だったが、9月1日朝からドル円が一段高したことに同調して9時過ぎには7.66円を超えて持ち合いから上放れしている。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は継続しているものの、ドル円の変動率が勝っているために8月2日以降のトルコリラ円は概ねはドル円と同調した動きであり、持ち合い上放れによりドル円の勢いを見ながら高値追及へ動きやすいところと思われる。

【ドル/トルコリラは12/23以降の最安値と終値ベースの史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの8月31日は18.23リラから18.14リラの取引レンジ、9月1日早朝の終値は18.19リラで前日終値の18.15リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
8月18日のトルコ中銀による予想外の利下げ強行で1ドル18リラの壁を突破し、と8月22日のエルドアン大統領による「利上げの必要無し」発言からリラ売りがさらに進行、連日のように昨年12月23日以降の取引時間中最安値を更新して12月20日の史上最安値18.36リラへ迫ってきており31日もこの間の安値更新となった。また、終値ベースでは6月後半に昨年12月17日終値16.41リラを超えて史上最安値更新を続けてきたが、31日終値で29日終値を超えて史上最安値とした。
8月31日はユーロドルが1ユーロ1ドルのパリティを挟んで下げ渋ったもののポンドや豪ドル、南アランド等がパウエル議長講演後の安値を更新してドル高感が強まり、米長期債利回りも総じて上昇したためにトルコリラにもドル高圧力がかかった。

【トルコ4-6月期GDPは前年同期比7.6%増、市場反応は鈍い】

【トルコ4-6月期GDPは前年同期比7.6%増、市場反応は鈍い】

8月31日16時にトルコ統計局が発表した2022年第2四半期(4-6月)のGDPは前年同期比7.6%増となり1-3月期の7.5%及び市場予想の7.5%をを若干上回り、8期連続のプラスだった。部門別では金融・保険が26.6%増、サービス業が18.1%増となりゼロコロナ政策による経済活動の最活発化を反映して大幅な伸びを見せた。また前期比は2.1%増で1-3月の1.2%増から伸びが加速して前年同期比と同様に2020年7-9月期以来8期連続のプラスとなった。

G20の中では良好な数字であり、高インフレとリラ安による圧迫感を超えて伸びている印象があるが、あくまでもパンデミックからの回復途中における欧州等の景気拡大に合わせたものであり、欧州がガス不足による不況入りへの懸念が強まっていること、中国では全省で感染報告があり深センや大連など複数都市でロックダウンや交通網停止等の活動規制が強化されて今後の景気低迷が懸念されること、米国も金融引き締めによるリセッション入りへの不安が高まっていることを踏まえると、今年7-9月期と10-12月期のトルコ成長率は大幅に鈍化する可能性がある。市場予想ではトルコの通年の成長率が2021年の11%増から4%増程度まで鈍化するとみられている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月26日夜安値を直近のサイクルボトムした強気サイクル入りとして8月29日午前から31日午前にかけての間への上昇を想定してきた。
8月29日から31日夜にかけては持ち合いでの推移だったが、9月1日午前に持ち合いから上放れしているため、現状は8月29日午後高値を直近のサイクルトップ、持ち合い後半の31日夕安値を同サイクルボトムとして持ち合い上放れから新たな強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は9月1日午後から5日午後にかけての間と想定する。弱気転換には7.60円を割り込む反落が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、9月1日午前の一段高により遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んでいたところから上抜けたため遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。

60分足の相対力指数は8月31日夕刻に40ポイントを割り込んだところから60ポイント台へ切り返しているので50ポイント以上での推移中は80ポイントを目指す上昇を想定し、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.63円を下値支持線、7.68円を上値抵抗線とする。
(2)7.63円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.68円超えからは7.70円前後への上昇を想定する。7.69円以上は反落警戒とするが、7.63円以上での推移が続くなら9月2日午前も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.63円割れからは7.60円前後への下落を想定するが、その後に7.65円を超えるところからは上昇再開とみる。7.59円割れからは修正安局面入りとみて7.55円前後への下落を想定する。

【当面の主な予定】

9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 46.9)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 714.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 138.8億ドル)
9月5日
 16:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 2.37%)
 16:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 79.6%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 3.4%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 61.7%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 5.17%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 144.61%)

※ポイント要約は編集部

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