トルコリラ円見通し 円安に支えられて7.60円割れから持ち直す(22/8/31)

トルコリラ円の8月30日は7.64円から7.59円の取引レンジ、31日早朝の終値は7.62円で前日終値と変わらず。

トルコリラ円見通し 円安に支えられて7.60円割れから持ち直す(22/8/31)

トルコリラ円見通し 円安に支えられて7.60円割れから持ち直す

〇トルコリラ円、ドル円と同調した動き継続、30日夜安値7.59に至るが、深夜7.65まで持ち直す
〇対ドル、連日終値ベースで史上最安値更新、18.10台中心とした最安値圏にとどまる
〇本日トルコ4-6月期GDP発表、前年同期比増加予想、欧州景気悪化で今後大幅鈍化懸念も
〇7.59以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65超えからは7.68前後への上昇を想定する
〇7.59割れからは7.55円前後への下落を想定、7.55以下は反騰注意とする

【概況】

トルコリラ円の8月30日は7.64円から7.59円の取引レンジ、31日早朝の終値は7.62円で前日終値と変わらず。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調が継続しているが、ドル円の変動率が勝る状況にあり8月2日以降は8月18日のトルコ中銀による利下げショックを除けばドル円の騰落に同調する動きを続けている。
ドル円は8月26日のパウエル米FRB議長講演をきっかけとしたドル全面高により8月26日夜安値136.28円から29日午前高値139.00円へ上昇し、その後はドル買い一巡で揺れ返しのドル安となったために30日の日中をジリ安で推移して夜安値では138.03円をつけたが、米経済指標が強かったことで30日深夜には139.06円まで高値を切り上げた。この間のトルコリラ円は8月26日夜の円高局面で7.49円の安値をつけたところから29日午後への円安局面で7.65円へ上昇、30日夜にドル円が138円を試したところで7.59円まで下げたが深夜にドル円が一段高したことで7.65円まで再び戻している。
8月31日午前序盤はドル円が139円台を維持できずにやや失速気味のためトルコリラ円も7.64円から7.62円のレンジで上げ渋りとなっている。

米経済指標と米地区連銀総裁らの発言等を見ながらドル高がぶり返し始めているところであり、今晩はADP民間雇用報告とシカゴPMI、明日はISM製造業景況指数、2日夜には米雇用統計と続くためドル円がそれらをきっかけに大きく動きやすいと注意し、ドル/トルコリラに急激な変動が見られなければトルコリラ円としてはドル円との同調を優先した取引となりやすいと思われる。
今夕はトルコ4-6月期GDPの発表もある。

【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値を連日更新】

ドル/トルコリラの8月30日は18.20リラから18.13リラの取引レンジ、31日早朝の終値は18.15リラで前日終値の18.18リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
8月18日のトルコ中銀による予想外の利下げ強行からリラ安が加速して8月26日には1ドル18.20リラの安値をつけて昨年12月23日高値10.06リラ以降の最安値を更新、終値ベースでは6月後半に昨年12月17日終値16.41リラを超えてから史上最安値更新を続けており、8月29日も終値18.18リラで最安値を更新した。
8月30日はドル高リラ安がやや一服しているものの18.10リラ台を中心として最安値圏にとどまっている。
8月26日のジャクソンホール講演からのドル全面高やその後の揺れ返し等に対するリラの反応は鈍く、安値を抑えこまれつつも徐々に安値切り下げを実現する流れを続けている。
今夕のトルコ4-6月期GDPの発表に注目が集まる。

【今夕、トルコ4-6月期GDPの発表あり】

本日16時にトルコの4-6月期GDPの発表がある。前年同期比では1-3月期の7.3%増から7.5%増へと伸びるのではないかと予想されているが、市場の予想レンジは5.0%から8.7%まで幅が広い。前期比では若干伸びが低下するのではないかとみられている。
トルコのGDP前年同期比は2020年4-6月期にのパンデミック発生ショックにより10.4%減へと急激な悪化を見たが、同年7-9月期には6.3%増と切り返し、2021年4-6月期は21.7%増と回復した。2021年7-9月期は7.5%増、同年10-12月期が9.1%増と堅調推移であり、G20の中では好成績な数字を示してきた。

高インフレとリラ安進行の中、貿易収支が悪化しているものの輸出はリラ安をテコに拡大してきた。パンデミック後の主要国における景気回復が輸出拡大の背景でもあるが、欧米は金融引き締めによる景気後退懸念が強まっており、特に欧州ではロシア制裁に絡んだ天然ガス供給不足で電気ガス代金が高騰して消費を鈍らせているため、トルコのGDPも4-6月期に伸びたとしても欧州の景気悪化により7-9月期や10-12月期では大幅に鈍化するのではないかとの懸念もある。通年のトルコ成長率についての市場予想は3.3%から5.0%の予想レンジで予想中央値は4.05%となっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月23日夜安値から3日目となる8月26日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を8月29日午前から31日午前にかけての間と想定した。8月29日午前高値の後は上値が重くなっているため既にサイクルトップをつけた可能性があるが30日夜は7.60円割れを切り返しているのでまだ一段高余地ありとする。
ただし8月30日夜安値7.59円割れからは弱気サイクル入りとして8月31日夜から9月2日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7.65円から7.59円までのレンジ内推移が続いているので遅行スパンは実線との交錯が繰り返されているが、先行スパンの上限が下値支持線となっているため、先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとし、7.65円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし8月30日夜安値割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月30日夜に40ポイント台へ低下したがその後は50ポイント以上へ戻しているので、50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えからは70ポイントへ迫る上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.59円を下値支持線、7.65円を上値抵抗線とする。
(2)7.59円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65円超えからは7.68円前後への上昇を想定する。7.67円以上は反落警戒とするが、7.60円以上での推移が続くなら9月1日午前も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.59円割れからは7.55円前後への下落を想定する。7.55円以下は反騰注意とするが、7.60円以下での推移が続く場合は9月1日午前も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月31日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.2%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.3%、予想 7.5%)
9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 46.9)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 714.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 138.8億ドル)
9月5日
 16:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 2.37%)
 16:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 79.6%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 3.4%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 61.7%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 5.17%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 144.61%)

注:ポイント要約は編集部

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