トルコリラ円見通し ドル円の急伸で8月2日以降の高値を更新(22/8/30)

トルコリラ円の8月29日は7.65円から7.60円の取引レンジ、30日早朝の終値は7.62円で先週末終値の7.56円からは0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸で8月2日以降の高値を更新(22/8/30)

トルコリラ円見通し ドル円の急伸で8月2日以降の高値を更新

〇トルコ円、ドル円急伸に連動し7.65をつけ、8/2安値7.27以降の高値更新
〇ドル全面高一巡によるドル円下落に合わせ、夜7.60まで小反落するもその後も7.60台維持
〇対ドル、8/29は18.20から18.15の取引レンジ、終値ベースの史上最安値を更新
〇昨日発表のトルコ貿易収支は大幅に悪化、原材料価格高騰に加えリラ安加速が影響か
〇7.60以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65超えからは7.68前後への上昇を想定する
〇7.60割れを弱気転換注意とし、7.58割れからは下落期入りとみて7.55前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の8月29日は7.65円から7.60円の取引レンジ、30日早朝の終値は7.62円で先週末終値の7.56円からは0.06円の円安リラ高だった。
8月26日のパウエル米FRB議長講演でのタカ派姿勢からドル全面高となり、ドル円は8月26日夜安値136.28円から137円台中盤へ急伸して先週を終えていたが、週明けも午後にかけてドル高が継続したためにドル円は午前序盤に138円を超えて午後高値では139.00円をつけて7月14日高値139.39円以来の139円到達となった。
トルコリラ円はドル高リラ安基調が継続しているもののドル円の上昇力が大きく勝ったためにドル円の139円到達時に7.65円をつけて8月2日安値7.27円以降の高値を更新した。
8月29日午後以降はパウエル米FRB議長講演からのドル全面高が一巡してユーロ等が戻したためにドル円は29日夜に138.26円まで下げ、トルコリラ円も7.60円まで小反落したが、その後も7.60円台を維持している。

【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの8月29日は18.20リラから18.15リラの取引レンジ、30日早朝の終値は18.18リラで先週末終値の18.14リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
8月26日夜の米FRB議長講演からドル全面高となり南アランド等の新興国通貨が売られたが、29日午後からはドル高が一巡してドル安へ流れが変わったために南アランド等も反騰したのだが、トルコリラは全般状況にはさほど影響されず、8月18日の予想外のトルコ中銀利下げと8月22日のエルドアン大統領による「利上げの必要無し」発言からのリラ売り基調が継続している。
徐々に昨年12月20日につけた取引時間中の史上最安値18.36リラへ迫っているが、終値ベースでは8月25日終値18.17を超えて2日ぶりに史上最安値を更新した。

【トルコ貿易収支は大幅に悪化】

8月29日にトルコ統計局が発表した7月貿易収支は季節調整前で106.9億ドルの赤字となり6月の82.0億ドルから拡大、5月の106億ドルの赤字を超えて過去最大の赤字幅となった。
7月の輸出は季節調整前で前年同月比13.4%増の185.5億ドルだったが、輸入は前年同月比41.4%増の292.4億ドルに急増した。季節調整後では輸出が前年同月比9.3%増の207.7億ドル、輸入が36.0%増の320.5億ドルで貿易赤字は112.8億ドルだった。
世界的なインフレによる原材料価格高騰に加えてリラ安が加速したことで輸出の伸びを輸入が大幅に上回って赤字幅が拡大する状況といえる。

トルコリラ円見通し ドル円の急伸で8月2日以降の高値を更新

リラ安は確かに輸出拡大に寄与するが、貿易収支悪化から経常収支の悪化へとつながりトルコの財政力を削ぐことになる。慢性的な貿易赤字構造にあり、その穴埋めを海外からの観光収入で賄っているところだが、輸出がさらに勢い付かないことには経常赤字拡大から抜け出せずにリラ安へと跳ね返ってくる。
トルコの8月経済信頼感指数は94.3で7月の93.4を上回った。1月に100.8だったところから7月まで低下したところからの若干の改善であり低水準にとどまった状況にある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月23日夜安値から3日目となる8月26日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした。8月23日夜から26日夜にかけては持ち合い型での推移だったためその間の高値である8月24日午前高値を基準とすれば高値形成期は29日午前から31日午前にかけての間と想定されるの既に反落注意期にある。7.60円以上での推移ならまだ一段高余地ありとするが、7.60円割れを弱気転換注意とし、7.58円割れからは弱気サイクル入りとして31日夜から9月2日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、8月26日夜安値からの急騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、29日午後高値の後は上げ渋りのために遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は8月29日午後高値時に80ポイントを超えたがその後は60ポイント割れへ低下している。65ポイント超えからは上昇再開とするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下落再開を警戒する。50ポイント割れからは下向きとして40ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.60円を下値支持線、7.65円を上値抵抗線とする。
(2)7.60円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.65円超えからは7.68円前後への上昇を想定する。7.67円以上は反落警戒とするが、7.60円以上での推移が続くなら31日午前も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.60円割れを弱気転換注意とし、7.58円割れからは上昇一巡による下落期入りとみて7.55円前後への下落を想定する。7.55円以下は反騰注意とするが、7.60円以下での推移が続く場合は31日午前も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月31日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.2%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.3%、予想 7.5%)
9月1日
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 46.9)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 714.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 8/26時点 グロス (8/19時点 138.8億ドル)
9月5日
 16:00 8月 消費者物価指数 前月比 (7月 2.37%)
 16:00 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 79.6%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前月比 (7月 3.4%)
 16:00 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 61.7%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 5.17%)
 16:00 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 144.61%)


注:ポイント要約は編集部

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