ドル円見通し ドル円は24年ぶり、1998年8月高値147.63円以来の140円台到達(22/9/2)

1日夜の米経済指標が総じて良好だったことで米長期債利回りが一段と上昇してドル全面高となり深夜に140円台へ到達、2日朝には140.25円の高値をつけている。

ドル円見通し ドル円は24年ぶり、1998年8月高値147.63円以来の140円台到達(22/9/2)

ドル円見通し ドル円は24年ぶり、1998年8月高値147.63円以来の140円台到達

〇ドル円、9/1午前139.67へ上昇、その後ドル全面高から深夜140円台到達、9/2朝には140.25をつける
〇FRBによる大幅利上げ継続感を背景とした一段高、24年ぶりの高値水準
〇昨日発表の米経済指標は総じて良好、市場は9月FOMCでの大幅利上げの可能性高いとみる
〇米長期債利回りは上昇基調を維持、NYダウは5日ぶり反発、ナスダックは続落
〇139.50以上での推移中は一段高余地ありとし、140.25超えからは141円を目指す上昇を想定する
〇139.50割れからは139円台序盤前後への下落を想定するが、139.75超えへ戻せば上昇再開とみる

【概況】

ドル円は8月26日夜のパウエル米FRB議長講演をきっかけに8月26日夜安値136.28円から8月29日午前高値139.00円へ急伸した後は8月30日深夜に139.06円まで若干高値を伸ばしたものの138円台を中心とした持ち合いで推移していた。しかし9月1日午前には139.67円へ上昇してこの間の高値を更新、1日夜の米経済指標が総じて良好だったことで米長期債利回りが一段と上昇してドル全面高となり深夜に140円台へ到達、2日朝には140.25円の高値をつけている。
140円台は1998年8月11日に147.63円をつけて以来24年ぶりの高値水準。
米FRBによる年末への大幅利上げ継続感を背景とした一段高であり、2021年1月6日底102.57円以降の最高値更新だが、遡れば2011年10月31日安値75.57円以降の最高値となっている。
今晩は米雇用統計の発表も控えておるので140円到達による利益確定売りも出やすいところだが、雇用統計から勢い付く場合には1998年8月天井を目指す声も高まるのではないかと思われる。

【米経済指標良好で米FRBの大幅利上げ判断に寄与】

9月1日夜の米経済指標は総じて良好だった。
米労働省による新規失業保険申請件数は8月27日までの週間で前週比5000件減の23万2000件となり市場予想が24.8万件への悪化と見込んでいたことに反して3週連続の改善となった。1週遅れの失業保険受給者総数は8月20日までの週間で143万8000人で前週からは2万6000人増加した。
S&Pグローバルによる8月の米製造業PMI確定値は51.5となり速報及び市場予想の51.3を上回った。
米サプライ管理協会(ISM)による8月米製造業景況指数は52.8となり前月と同じだったが市場予想の52.0を上回った。内訳では新規受注が前月から3.3ポイント上昇の51.3、雇用が4.3ポイント上昇の54.2となったが、価格は7.5ポイント低下の52.5だった。

米経済指標が顕著に悪化すれば米FRBも9月の大幅利上げを躊躇することも考えられるが、今のところは景気減速感があるものの深刻な不況への不安には至らずにいる。パウエル米FRB議長は「景気よりも物価抑制」を強く主張しており、市場は9月FOMC(9/20-21)における0.75%利上げの可能性が高いのではないかとみている。

【NYダウ5日ぶり反発、ナスダックは続落、米長期債利回りは上昇】

9月1日のNYダウは前日比145.99ドル高と上昇、5日ぶりの反発となった。8月26日にパウエル議長講演をきっかけに前日比1008.38ドル安の大幅下落となり8月31日にかけて4営業日続落、9月1日は安値で31219.75ドルをつけて8月16日高値34281.36ドル以降の安値を更新したが、9月2日夜の米雇用統計も控えていることでポジション調整的に買い戻されたようだ。
ナスダック総合指数は31.07ポイント安で8月26日から5日続落に終わった。安値で11546.52ポイントをつけて8月16日高値13181.09ポイント以降の安値を更新したところからは戻したもののマイナス圏にとどまった。ダウ、ナスダックともに金融引き締めによる景気後退への懸念で6月半ばからの上昇一巡となり失速中だ。

9月1日の米長期債利回りは総じて上昇、指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.26%となり、一時は3.29%をつけて8月2日の2.52%以降の高値を更新とした。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.36%となったが、一時は3.41%をつけて8月2日の2.86%以降の高値を更新した。
2年債利回りは0.01%上昇の3.51%で終了、一時は3.55%まで上昇して15年ぶり高水準を更新してから上げ幅を削ったが8月2日以降の上昇基調を維持した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月1日朝に8月30日夜高値を超えて138円台中心の持ち合いから上放れしたため、9月1日午前時点では持ち合い後半の8月31日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたところとし、高値形成期を9月2日夜から6日夜にかけての間と想定した。
9月2日朝に140円台序盤へ続伸したところから140円を割り込んでいるもののまだ一段高余地ありとみるが、今晩の米雇用統計を控えてポジション調整的な売りも入りやすいところと注意し、139.50円割れからは139円台序盤試しを想定する。

60分足の一目均衡表では9月1日朝の一段高で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月1日午前高値から深夜への一段高に際しては指数のピークが横ばいにとどまって弱気逆行の気配となっているが、50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとし、75ポイント超えからは80ポイント台を目指すとみる。50ポイント割れから続落に入る場合は40ポイント割れを試す反落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.50円を下値支持線、140.25円を上値抵抗線とする。
(2)139.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、140.25円超えからは141円を目指す上昇を想定する。米雇用統計から勢い付く場合は141円台前半へ上値目途を引き上げ、3日早朝にかけても高値圏を維持して確りなら週明けも高値追及へ進みやすいとみる。
(3)139.50円割れからは139円台序盤(139.30円から139.00円)前後への下落を想定するが、139.50円を割り込んでから139.75円超えへ戻せば上昇再開とみる。ただし、米雇用統計から急落商状に陥る場合は138円台後半(138.90円から138.50円)への下落を想定し、週明けも安値試しヘ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/2(金)
15:00 (独) 7月 貿易収支 (6月 64億ユーロ、予想 48億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (6月 1.1%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 7月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (6月 35.8%、予想 35.8%)
21:30 (米) 8月 非農業部門就業者数 前月比 (7月 52.8万人、予想 30.0万人)
21:30 (米) 8月 失業率 (7月 3.5%、予想 3.5%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前月比 (7月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前年同月比 (7月 5.2%、予想 5.3%)
23:00 (米) 7月 製造業新規受注 前月比 (6月 2.0%、予想 0.2%)



注:ポイント要約は編集部

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