ドル円、心理的節目140円をついに突破。約24年ぶり高値圏へと急上昇
〇ドル円、相次ぐ米指標の好調に米国時間午後にかけ140.23まで急伸、高値圏で推移
〇ユーロドル、欧州経済先行き不安と米指標好調に0.9912まで急落後0.99台半ばでの動き
〇ドル円約24年ぶり高値、主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも複数店頭、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金政策の方向性の違い、米当局のドル高容認スタンスがドル円をサポート
〇本日は日本時間21:30に発表される米8月雇用統計に注目集まる
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:139.25ー141.00
海外時間のレビュー
月初1日(木)のドル円相場は大幅上昇。@米金利低下に伴うドル売り圧力や、A日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、B対オフショア人民元でのドル売り圧力(中国人民銀行による対ドル基準値の7営業日連続の人民元高設定)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値139.07まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米新規失業保険申請件数(結果23.2万件、予想24.8万件、前回23.7万件)の良好な結果や、D米4ー6月期非農業部門労働生産性改定値(結果▲4.1%、予想▲4.5%、前回▲4.6%)の市場予想を上回る結果、E米8月製造業PMI改定値(結果51.5、予想51.3、前回51.3)の良好な結果、F米8月ISM製造業景況指数(結果52.8、予想52.0、前回52.8)の力強い結果、G上記CDEFを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは6/21以来の高水準となる3.29%へ急上昇)、H心理的節目140.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、1998年8月31日以来、約24年ぶり高値となる140.23まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/2午前5時30分現在)では、140.20前後で推移しております。
月初1日(木)のユーロドル相場は大幅下落。@米金利低下に伴うドル売り圧力や、A次回ECB理事会での75bp利上げ観測(独債利回り上昇)を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値1.0048まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での大幅利上げは景気への逆風)や、C欧州圏のエネルギー危機発生リスク(ロシア国営ガスプロム社によるノルドストリーム1の稼働停止→天然ガス価格の急上昇→欧州圏のインフレ加速懸念)、D上記BCを背景とした欧州株の冴えない動き、E米経済指標の良好な結果、F米金利上昇に伴うドル買い圧力、Gパリティ割れに伴う仕掛け的なユーロ売り・ドル買い(上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り)が重石となり、米国時間にかけて、安値0.9912まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/2午前5時30分現在)では、0.9945前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は市場参加者に意識されていた「7/14高値139.40」および「心理的節目140.00」の上抜けに成功すると、1998年8月31日以来、約24年ぶり高値となる140.23まで急伸しました。主要テクニカルポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォーク、ダウ理論の上昇トレンド)も複数点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(9月FOMCでの75bp利上げのみならず、11月FOMCでの50bp利上げ、12月FOMCでの25bp利上げ、来年前半の25bp利上げが織り込まれている状態。来年前半の利下げ転換観測は既に消失済み)や、A日銀による金融緩和の長期化方針、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C米政府・米当局によるドル高容認スタンス(インフレ抑制に繋がり得る米ドル高を当面の間容認する構え)、D本邦貿易赤字拡大に伴う恒常的な円売り圧力など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。
こうした中、本日は日本時間21:30に発表される米8月雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率、平均時給)に注目が集まります。米当局者はこれまで、「今後の金融政策の方向性はデータ次第」との見解を示してきたため、今晩予定されている米8月雇用統計が力強い結果を示す場合には、米FRBによる利上げ長期化を完全に織り込む形で、米長期金利上昇→米ドル買いの流れに拍車がかかるシナリオが想定されます。アップサイドには全くと言って良い程レジスタンスとなり得るポイントが見当たらず、一部では短期間の間に150円近くまで一気に急伸するのでは?との声も聞こえ始めています。事実、オプション市場ではインプライドボラティリティが上昇すると共に、リスクリバーサルが全テナーで円プットオーバーに転じるなど、更なるドル円上昇を織り込む動きが進んでいます。テクニカル的にもファンダメンタルズ的にもアップサイドリスクが警戒される中、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:139.25ー141.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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