ドル高基調続く公算、ユーロ/ドルにも注意(週報9月第1週)

先週のドル/円相場はドルが大きく続伸。年初来高値を超え、24年ぶりの140円台を示現し、そのまま高値圏で大引けている。

ドル高基調続く公算、ユーロ/ドルにも注意(週報9月第1週)

ドル高基調続く公算、ユーロ/ドルにも注意

〇先週のドル円、年初来高値139.39更新後、一時140.80まで到達
〇24年ぶりとなる140円台、NYでも維持して越週、中長期メドは98年8月高値147.64
〇ジャクソンホール会合後、米金利先高観強い状況続く、対円/ユーロでもドル堅調推移継続か
〇今週は8月ISM非製造業景況指数、米地区連銀経済報告、パウエル議長講演を予定
〇ECBの政策金利発表(8日)など目先は欧州関係に注目要因集中
〇今週のドル/円予想レンジは138.50-142.00、140.80をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は139.90レベルが最初のサポート

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大きく続伸。年初来高値を超え、24年ぶりの140円台を示現し、そのまま高値圏で大引けている。

前週末は、開催されていた「核不拡散条約」(NPT)の再検討会議において、ロシアの不合意により「最終文書」を採択できず。またAPECも、日米やカナダとロシアやその友好国の中国などのあいだで意見が対立し、「食料安保」共同声明がまとめられなかった。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた137.60円レベルを週間安値に右肩上がり。139円前後までは比較的あっさり上昇したものの、同レベルでは一旦上げ渋りとなった。しかし、上抜けると139.39円の年初来高値だけでなく、24年ぶりとなる140円も突破。その後は一時的に下回る局面も見られたが、ほぼそれ以上のレベルで推移するなどすでに底堅い。週末には発表された米雇用統計をめぐり乱高下をたどるも、瞬間的に140.80円まで値を上げ、NYでもそのまま140円台をキープしたまま越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ウクライナ原発問題」と「円安けん制発言」について。
前者は、ロシアが実効支配するザポロジエ原発をめぐり情報が錯綜。状況が二転三転するなか、IAEAはなんとかウクライナ入りをすると、早速1日から「原発調査」が開始されたようだ。しかし、調査当日にも砲撃があり、緊急保護システムが作動して5号機が停止するなど前途多難な状況。今後十分な調査が実施されるか否かを懸念する声も。一方、それとは別に、点検により操業停止となった天然ガスパイプライン「ノルトストリーム1」だが、当初再開予定とされていた現地時間3日になっても再開されず。むしろ、運営会社からは「保守における技術的な問題が見つかった」などし、期限を切らない格好での供給延期が伝えられている。

対して後者は、先週は週間を通した最大の注目材料が週末の米雇用統計と目されるなか、その雇用統計発表前にドル/円相場は24年ぶりとなる140円台へと到達。ドル一段高で推移するなか、さすがに慌てた格好で本邦要人による断続的な口先介入が観測されていた。一例を挙げると、週末に向けた1日そして2日にも松野官房長官から「為替の急速な変動は望ましくない」、「ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要」などとした発言。また、鈴木財務相による「最近の変動はやや大きくなっている印象」、「各国当局と連携しつつ必要な対応をとっていく」とのコメントも観測されていた。しかし、注目されていた週末G7財務相会合での「為替への言及は、わたしも含めてなかった」(鈴木財務相)とされ、欧米諸国は事実上円安を問題視していないことが明らかにされている。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、24年ぶりとなる140円台を示現。週末のNYクローズでも140円台を維持している。過去に推移していた時間帯も短く、ここから上の明確なテクニカルポイントを指摘することは難しいが、それでも敢えて指摘するなら1998年8月高値の147.64円か。もちろん、短期ではなく中長期のメドではあるものの、再びボラティリティが高まっており、1週間で3-5円動くこともそれほど珍しくない。予想以上のスピードで到達する可能性もある。
依然として、市場筋による各国の金利情勢に対する関心は高い。先々週のジャクソンホール会合後からずっと米金利先高観の強い状況で、その流れは今週も基本的に続きそうだ。ドルは、対円はもちろん対ユーロなどでも堅調推移を続ける可能性もある。なお、市場を取り巻く材料を考えた場合、目先は欧州関係に注目要因が集中。その最たるものは前述した金利面に着目した「ECBの政策金利発表(8日)」であるし、再開日時などが未定となっている「ロシアからのガス供給」問題も場合によっては市場の波乱要因に。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は24年ぶりとなる140円台を示現、ザラ場ベースでは一時140.80円まで値を上げている。さすがに上げ過ぎ、行き過ぎを指摘する声も出ているが、1998年当時の価格変動を見ると140-143円は非常に引っ掛かりの乏しいことが気掛かり。つまり、さほど時間を掛けずにドルはさらなる高値トライをたどる危険性を孕んでいる。
ただし、反面でここまでの上げ幅を考えれば、一旦崩れ始めるとなし崩し的な調整的ドル安・円高が進む可能性もある。

そうしたなか今週は、8月のISM非製造業景況指数や米地区連銀経済報告の発表が予定されているうえ、パウエルFRB議長の講演などの発言機会も多数予定されている。また、それとは別に前述した各種欧州ファクターにも要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、138.50-142.00円。ドル高・円安については、まずは先週高値140.80円をめぐる攻防に注目。超えれば週足のピボットを参考にした141.45円レベル、142.70-75円などが意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、先週末の米雇用統計発表前後に示現した139.90円レベルが最初のサポートか。下回れると139円レベル、138.50円などがターゲットに。

ドル高基調続く公算、ユーロ/ドルにも注意

ドル円日足

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