『ネックライン割れ失敗で2ヵ月ぶり安値圏から持ち直す動き』
〇今週の南ア円、ドル円の急落等に8/2に7.86まで下落
〇売り一巡後は、南ア指標好調、金プラチナの堅調、ドル円急騰に8.07まで反発
〇南ア円、ネックライン7.86で下げ止まり、ダブルトップ成立はお預けとなるも上値余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズも南ア経済先行き不透明感、中国景気後退懸念等南ア円反落材料多い
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
今週のレビュー(8/1−8/5)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.00円で寄り付いた後、@南ア7月製造業PMI(結果47.6、予想50.3、前月52.2)の冴えない結果(2021年7月以来、約1年ぶりに好不況の分かれ目となる50割れ)や、Aペロシ米下院議長による台湾訪問に端を発した米中対立激化懸念(地政学的リスク再燃)、B上記Aを背景とした世界的なリスク回避ムード(市場心理悪化でドル円が6/6以来、約2ヵ月ぶり安値となる130.43まで急落→南アランド円相場連れ安)が重石となり、翌8/2にかけて、週間安値7.86円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると(5/12安値と同水準で下げ渋ると)、C南ア7月スタンダード銀行PMI(結果52.7、予想50.5、前回52.5)の良好な結果や、D米中対立激化懸念の後退(中国による報復措置が懸念されたほど強硬では無かったことに対する安堵感)、E金・プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)、F米7月雇用統計のポジティブサプライズ(ドル円急騰→南アランド円相場連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.07円まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/6午前4時30分現在)では、8.04円前後で推移しております。
来週の見通し(8/8−8/12)
南アランド円相場は6/9に記録した高値8.81円をトップに反落に転じると、8/2に一時7.86円(約2ヵ月ぶり安値圏)まで下げ幅を広げましたが、ネックラインとして意識されている5/12安値7.86円と同水準で下げ渋ると、週末にかけて8.07円まで持ち直す動きとなりました。ネックライン割れが失敗に終わったことで、市場参加者に注目されていた4/19高値と6/9高値を起点としたダブルトップの完成は一旦お預けとなってしまいましたが、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転やダウ理論の下落トレンドが成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(一巡後の反落リスクに要警戒。ネックライン割れを再度試すシナリオを想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる積極利上げ観測の再燃(米当局者による相次ぐタカ派発言や、米経済指標の力強い結果を背景に、次回9月FOMCでの75bp利上げ観測が再浮上→新興国から米国への資本流出圧力に繋がり易い外部環境)や、A南ア経済の先行き不透明感(景気停滞と高インフレが同時に進むスタグフレーション懸念が継続。ストライキの継続や電力負荷制限のステージアップも南ア経済の下押し要因)、B南ア中銀による追加利上げ観測(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは景気への逆風)、C南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気後退懸念など、南アランド円相場の反落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、南アランド円相場に下押し圧力が加わり易い地合い)。尚、来週は8/10に予定されている南ア7月SACCI景況感指数と8/11の南ア6月製造業生産に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.85ー8.15
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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