トルコリラ週報:『約7ヵ月ぶり安値圏から持ち直すもインフレ加速で反落リスクに要警戒』(8/6朝)

トルコリラの対円相場は、8/2に一時7.24円まで急落しましたが、売り一巡後に下げ渋ると、結局7.55円前後まで持ち直す動きとなりました。

トルコリラ週報:『約7ヵ月ぶり安値圏から持ち直すもインフレ加速で反落リスクに要警戒』(8/6朝)

『約7ヵ月ぶり安値圏から持ち直すもインフレ加速で反落リスクに要警戒』

〇今週のトルコ円、トルコ指標不冴え、ドル円の急落に週前半7.24まで急落
〇売り一巡後は下げ渋り、米雇用統計を受けてのドル円反発等で7.5台を回復
〇トルコ円、複数のレジスタンスポイント控え、強い売りシグナル継続、テクニカルの上値余地乏しい
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の続落を連想させる材料が揃う
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.75

今週のレビュー(8/1−8/5)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.43円で寄 り付いた後、@トルコ7月製造業PMI(結果46.9、前月48.1)の冴えない結果(好不況の分かれ目となる50を5ヵ月連続で下回る結果)や、Aペロシ米下院議長による台湾訪問に端を発した米中対立激化懸念、B上記Aを背景とした世界的なリスク回避ムード(ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、翌8/2にかけて、12/20以来、約7ヵ月ぶり安値となる7.24円まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米中対立激化懸念の後退(中国による報復措置が懸念されたほど強硬では無かったことに対する安堵感)や、D上記Cを背景とした株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、

E米7月雇用統計の力強い結果(ドル円急騰→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.55円まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/6午前4時30分現在)では、7.52円前後で推移しております。尚、今週発表されたトルコ7月消費者物価指数(結果79.60%、前回78.62%)及び、トルコ7月生産者物価指数(結果144.61%、前回138.31%)は共に前回を上回る伸びを記録しましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(8/8−8/12)

トルコリラの対円相場は、6/27に記録した約1ヵ月半ぶり高値8.42円をトップに反落に転じると、8/2に一時7.24円(昨年12/20以来、約7ヵ月ぶり安値圏)まで急落しましたが、売り一巡後に下げ渋ると、結局7.55円前後まで持ち直す動きとなりました。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、日足ベースで強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォーク、ダウ理論の下落トレンド)が継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(一巡後の反落リスクに要警戒)。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(次回FOMCでの75bp利上げ観測が再浮上→米長期金利急上昇→ドル建て債務を多く抱えるトルコは資本流出圧力が加わり易い)や、Bトルコ中銀の金融緩和継続方針(トルコ7月消費者物価指数が前年比+79.60%と1998年9月以来、約24年ぶり高水準を記録したにも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の方針に従い7ヵ月連続で政策金利の据え置きを実施)、

C上記ABを背景としたトルコと米国の明確な金融政策格差、Dトルコ経済の先行き不透明感(深刻なインフレ発生と景気後退懸念)、E経常赤字と財政赤字の組み合わせ(双子の赤字→構造的なリラ売り圧力)、Fリラ売り防衛能力の脆弱さ(外貨準備残高の乏しさ)など、トルコリラ円相場の続落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/10に予定されているトルコ6月雇用統計や、8/11のトルコ6月経常収支、8/12のトルコ6月鉱工業生産に注目が集まります。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.35ー7.75

注:ポイント要約は編集部

『約7ヵ月ぶり安値圏から持ち直すもインフレ加速で反落リスクに要警戒』

トルコ円日足

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