トルコリラ円見通し ドル円の急伸で昨年12月23日以降の安値更新から急反騰
〇トルコリラ円、ドル円の下落に合わせ8/2午前安値7.27をつけ、昨年12/23高値以降の最安値更新
〇その後ドル円急伸の流れに同調して深夜7.35超え、8/3未明7.40に到達、8/3午前7.46まで急伸
〇対ドル、1ドル18リラ手前での膠着状態だが、終値ベースの最安値を若干更新
〇8/2はドル高再開感強まる、今週末の米雇用統計通過後もドル高感強まれば更なるリラ安加速の懸念
〇本日7月トルコCPI発表、予想を上回る上昇の場合インフレ深刻化懸念とリラ安エスカレートの可能性
〇7.40から7.37までのゾーンは押し目買いされやすいとし、7.47超えからは7.50前後を試すとみる
〇7.37割れからは下げ再開と仮定して、7.30台前半(7.35から7.30)への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月2日は7.42円から7.27円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.41円で前日終値の7.35円から0.06円の円安リラ高となった。
ドル円は7月14日高値139.39円を起点として大幅下落に転じてきたが、8月2日午前に130.39円まで一段安となり7月14日高値からの下げ幅が9円に拡大したものの、その後を下げ渋り夜に入ると米長期債利回りが急反騰したことに合わせて131円超えから深夜に132円台回復、さらに8月3日早朝には133円台に到達、8月3日午前には134円に迫る急騰商状となった。
トルコリラ円はドル円の下落に合わせて午前安値で7.27円をつけて昨年12月23日高値11.15円以降の最安値を更新したが、ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安が一服して膠着状態に留まる中、ドル円が急伸した流れに同調して深夜に7.35円を超え、3日未明には7.40円に到達、3日午前には7.46円まで高値を伸ばしている。
ドル円の急伸に依存した急伸のため、ドル円がさらに続騰して昨年来の歴史的大上昇再開に入ればトルコリラ円も7.50円台回復へ向かう可能性があるが、ドル円が大幅下落途中の一時的な急伸に留まって失速する場合はトルコリラ円も失望売りから下落再開となる可能性も抱えていると注意する。
【ドル高リラ安は1ドル18リラ手前での膠着状態続くが終値ベースの最安値を更新】
ドル/トルコリラの8月2日は17.96リラから17.86リラの取引レンジ、3日早朝の終値は17.92リラで前日終値の17.90リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
6月23日終値17.35リラを7月13日に抜いたところからほぼ連日にわたって終値ベースでの史上最安値を更新してきたが、7月29日に17.98リラまで取引時間中の最安値を更新した後は新たな安値更新へ進めず、1ドル18リラ手前を壁として膠着状態に入っている。ただし、8月2日は7月29日終値17.91リラを超えて終値ベースでの史上最安値を若干更新している。ベンダーによってはすでに1ドル18リラ台の安値提示もみられるが、8月3日夕刻のトルコ7月CPIの発表前でリラ売り攻勢もやや慎重になっていること、あるいは1ドル18リラを防衛ラインとしてトルコ中銀が非公式な介入でリラ安を抑制している可能性も考えられる。
8月2日は米長期債利回りが大幅上昇して為替市場全般がドル高へ風向きを変えた。7月14日までのドル全面高からドル全面安へと流れが変わったのは米FRBによる利上げペースが鈍化して利下げ再開時期が早まるのではないかとの期待感が背景だったが、8月2日は地区連銀総裁らによる利上げ継続と早期の利下げ再開期待へくぎを刺す発言から米長期債利回りの大幅反騰を招き、ドル円の急伸のほかユーロやポンドなども下落してドル高再開感が強まった。この流れは継続するのかどうかは今週末の米雇用統計をどう通過するのかによって決まってくるのだろうと思われるが、全般のドル高感が再び強まればリラ安が一段と加速しかねないと注意したい。
【今夕、7月のトルコCPI発表】
8月3日16時にトルコの7月消費者物価上昇率などの発表がある。
6月の消費者物価上昇率は6月の前月比が4.95%だったが、7月についての事前予想平均値は2.90%とやや鈍化の見込みとなっている。ただし予想レンジは2.28%から4.00%まで幅が広い。前年同月比は6月の78.62%から7月は80.50%へとさらに伸びると見込まれており、予想レンジは79.45%から82.50%と幅広く、予想を上回る上昇の場合は先行きのインフレ深刻化懸念とリラ安がエスカレートしてゆく懸念が強まると思われる。
消費者物価のコア指数については事前予想が出ていないものの6月の前月比が3.3%、前年同月比が57.3%であり前年同月比はさらに伸びるのではないかと推察される。
また、生産者物価の前年同月比は6月時点で138.31%まで高進してきたが、さらに上昇するようだと8月以降の消費者物価上昇率を押し上げかねないと思われる。生産者物価が先に収まり、そのあとに消費者物価も落ち着くという流れが見えないうちはリラ安と国際原材料高による相乗効果でのインフレ進行が続きやすいと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月29日午後安値から29日夜高値へいったん反騰してから8月1日午前に底割れしたために8月2日午前時点では7月29日午後安値を直近のサイクルボトム、29日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして8月3日午後から5日午後にかけての間への下落を想定した。また強気転換には7.40円台を回復するような反騰が必要とした。
8月2日にドル円の急騰と合わせて7.40円を超える急伸となったため、8月2日午前安値で短めのサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は8月3日夜から5日夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるとみて7.40円割れを弱気転換注意とし、7.37円割れからは弱気サイクル入りの可能性ありとみて8月2日午前安値を試す下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、8月2日夜からの急騰で遅行スパンが好転、8月3日朝には先行スパンも上抜いているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンに潜り込む反落が発生する場合は下げ再開とするが、先行スパンの上部にとどまって上抜き返す場合は上昇再開とし、先行スパンの下限へ迫る場合は下げ再開を疑う。
60分足の相対力指数は8月2日午前に30ポイントを割り込んだところから8月3日午前序盤には70ポイント到達まで急伸した。このため50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、相場が小反落してから一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.40を下値支持線、7.47円を上値抵抗線とする。
(2)7.40円から7.37円までのゾーンは押し目買いされやすいところとし、7.47円超えからは7.50円前後を試すとみる。7.50円以上は反落警戒とするが、7.40円以上での推移なら8月4日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.37円割れからは下げ再開と仮定して7.30円台前半(7.35円から7.30円)への下落を想定する。7.37円以下での推移なら8月4日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月3日
16:00 7月 消費者物価 前月比 (6月 4.95%、予想 2.90%)
16:00 7月 消費者物価 前年同月比 (6月 78.62%、予想 80.50%)
16:00 7月 生産者物価 前月比 (6月 6.77%)
16:00 7月 生産者物価 前年同月比 (6月 138.31%)
8月4日
20:30 週次 外貨準備高 7/29時点
8月5日
23.30 7月 財務省現金残 (6月 266.1億リラ)
8月10日
16:00 7月 失業率 (6月 10.9%)
注:ポイント要約は編集部
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