トルコリラ円見通し ドル高リラ安は継続だが1日で2円を超える円安に押し上げられ上昇(22/7/15)

トルコリラ円の7月14日は7.97円から7.86円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.96円で前日終値の7.87円からは0.09円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安は継続だが1日で2円を超える円安に押し上げられ上昇(22/7/15)

ドル高リラ安は継続だが1日で2円を超える円安に押し上げられ上昇

〇トルコリラ円、7/14は7.97から7.86の取引レンジ、7/15早朝の終値は前日終値から0.09の円安リラ高
〇7/14夜は円安による押し上げを優勢として、高値切り上げへ進んだ
〇対ドル、7/14安値17.51をつけ昨年12/23高値以降の安値を更新、終値ベースではわずかに最安値更新
〇リセッション入りへの懸念が強まる中、為替市場はドル全面高続く
〇5月小売売上高は良好な結果だが、インフレとリラ安の反映を踏まえれば必ずしも好調と言えない可能性
〇7.92以上での推移中は上昇余地ありとし、7.97超えからは8.00を試す上昇を想定する
〇7.92割れを弱気転換注意とし、7.90割れからは下落期入りとみて7.86前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の7月14日は7.97円から7.86円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.96円で前日終値の7.87円からは0.09円の円安リラ高だった。
為替市場全般でドル全面高が進行中であり、ドル/トルコリラもドル高リラ安基調が続いているが、それに勝る円安によりトルコリラ円は13日夕刻からの反騰で7月12日午後高値を超える一段高となった。
ドル円は7月13日夜に137.86円をつけたところからいったん137.09円まで反落したものの137円台を維持して徐々に切り返しに入り、14日午前には138円に到達、夕刻には139.39円へ一段高となり、14日早朝からの上昇幅は2円を超えた。その後は139円を挟んだ揉み合いに入っているが一段高状態を維持して高値更新を伺う位置取りとなっている。

7月5日から6日にかけてのユーロドルの暴落的な下げを先導役としてドル全面高となった局面でドル円もリスク回避的な円高へ向かったことでトルコリラ円は7月5日高値8.12円から6日夜安値7.83円まで急落したが、その後は円安に押し上げられて確りし、7月8日夕安値も7.83円の同値にとどまり、12日へ戻したところからの反落で13日夜には7.85円まで下げたものの底割れを回避、14日夜はドル円の勢いある上昇とドル高リラ安を見ながら円安による押し上げを優勢として高値切り上げへ進んだ。

【ドル高リラ安が進行、12月23日以降の安値を更新】

ドル/トルコリラの7月14日は17.51リラから17.39リラの取引レンジ、15日早朝の終値は17.40リラで前日終値の17.40リラから変わらずだった。
主要国の金融引き締め強化と欧州のエネルギー不足及び中国の感染再拡大等によるリセッション入りへの懸念が強まる中で為替市場はドル全面高が続いており、7月14日もユーロが1ユーロ1ドルのパリティを割り込み、ポンドや豪ドル、南アランド等が昨年来の安値を更新したが、トルコリラも7月14日安値で17.51リラをつけて昨年12月23日高値10.06リラ以降の安値を更新、終値ベースでは6月2日に12月17日の史上安値16.41リラを割り込んでから安値更新を続けてきているが、7月14日も小数点3桁では前日終値の17.397リラから14日は17.404リラとしてわずかに最安値を更新している。

7月13日の米6月CPIが予想を上回ったことに続いて14日の米6月PPIも予想を超えて一時は7月26-27日のFOMCで1.0%利上げとなる可能性が高まりドル高を助長したが、これについてはウォラー米連銀理事が0.75%利上げの検討が基本線としたことでやや落ち着いている。しかし7月13日のカナダ中銀による1.0%利上げ、フィリピンやシンガポールが定例会合を待たずに臨時に利上げへ踏み切る等、金融引き締め感が強まっており、高インフレが一層悪化している中で利上げを拒否するトルコ中銀及びエルドアン政権への不信感とリラ安の長期化への懸念は高まっている。

【トルコの5月小売売上高は前年比20.8%増】

7月14日夕刻に発表されたトルコの5月小売売上高は前月比1.9%増となり4月の2.3%増から伸びが鈍化したもののマイナスに陥るのではないかとの市場予想に反して持ち直しを見せた。前年同月比は20.8%増となり4月の15.0%増からさらに伸びた。
トルコの小売りが堅調という見方もできるが、インフレとリラ安により見かけの売り上げが拡大すること、燃料等の高騰が押し上げしている側面もあるため単純に景気が堅調とは言えないだろう。
5月の鉱工業生産は前月比0.5%増で4月の0%から改善、前年同月比は9.1%増で4月の10.8%から若干低下したが7%台へ落ち込むとの市場予想に反して確りした。ただこれもインフレとリラ安の反映を踏まえれば必ずしも好調とは言えないところだ。

【外貨準備高がネットで急減】

トルコ中銀による外貨準備高は7月8日時点のネットで60.7億ドルとなり7月1日時点の75.1億ドルから急減した。2021年11月に326.4億ドルだったところから今年1月後半に75.5億ドルまで急減し、2月後半にいったん198億ドルまで回復していたところから減少傾向に入り、6月後半に73.8億ドルへ低下してから低水準での推移だったところから一段と低下した印象だ。手元にある2020年以降のデータでは過去最低水準となっている。

グロスでの外貨準備高については7月8日時点のデータが公表されていないが、7月1日時点では597.9億ドルとなり直近のピークである昨年11月の879.2億ドルからの減少傾向が続いている。
中銀は市場介入について公式発表することは珍しくスワップ市場等を使っての実質介入等を行っていると推察され、準備高が減少していることは市場介入によるドル売りリラ買いが影響しているのだろうと思われる。また国内企業の外貨保有に規制をかけて融資禁止政策を発表しているが、企業の保有外貨が手放されて中銀等に集まりそれがリラ防衛のために再び外貨売りリラ買いに回れば外貨準備高も減ってしまうため、通貨防衛政策としての効果も限定的という見方もできるのではないか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月12日夜安値から13日午前へ戻したものの12日午後高値には届かず、13日夕刻へ下落して12日夜安値を割り込んだもののその後の反騰で13日午前高値に迫っており、方向感の定まらない騰落が続いたため、7月14日午前時点では7月8日夕安値から3日目となる13日夕刻安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは15日午後から19日午後にかけての間への上昇余地ありとした。7月15日朝にかけて戻りを継続しているので引き続きトップ形成中とみるが、7.92円割れからは弱気転換注意とし、7.90円割れからは弱気サイクル入りとして18日夕から20日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月13日夕安値からの反騰により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返したが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすい位置にあると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先へ切り替える、その際は先行スパンが下値支持線となりやすいとみるが、先行スパンから転落の場合は下げ足が早まりやすいと注意する。

60分足の相対力指数は7月14日夕に70ポイントに到達し、15日朝へ一段高した際には指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからは下げに入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.92円を下値支持線、7.97円を上値抵抗線とする。
(2)7.92円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.97円超えからは8.00円を試す上昇を想定する。7.99円以上は反落警戒とするが、7.92円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.92円割れを弱気転換注意とし、7.90円割れからは下落期入りとみて7.86円前後への下落を想定する。7.86円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、7.90円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月18日
 17:00 6月 財政収支 (5月 1439.8億リラ)
7月20日
 16:00 7月 消費者信頼感 (6月 63.4)
 23:30 6月 中央政府債務 (5月 336億リラ)
7月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 週間レポレート (現行 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/15時点
7月25日
 16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)


注:ポイント要約は編集部

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