今週は大型連休で動意薄。来週はトルコ中銀会合がメインイベント』
〇今週のトルコリラ円、週央にかけ7.83まで下落後週後半に8.02まで上昇、トルコ連休で動意薄
〇アップサイドに複数のレジスタンスポイント控え、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもロシア巡る地政学リスク長期化懸念、米土金融政策の方向性の違い等が重石
〇トルコ円の下落をメインシナリオとして予想
〇トルコ大型連休明けと、7/21のトルコ中銀金融政策決定会合によるボラティリティ拡大に要警戒
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.65ー8.15
今週のレビュー(7/11−7/15)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.87円で寄り付いた後、@米FRBによる金融引き締め観測の高まり(過剰流動性相場逆流懸念→トルコから米国への資本流出懸念)や、Aトルコ経済の先行き不透明感、B格付け会社フィッチが7/8にトルコの債務格付けを「Bプラス」から「B」に引き下げたことなどが重石となり、週央にかけて、週間安値7.83円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C日銀による金融緩和の長期化観測(黒田日銀総裁は7/11に「必要があれば躊躇なく追加緩和」とハト派的なスタンスを再強調→対主要通貨で円売りが加速)や、Dトルコ5月失業率(結果10.9%、前回11.2%)の良好な結果、Eトルコ5月鉱工業生産(結果+9.1%、予想+8.0%、※前年比)の力強い結果が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.02円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間7/16午前5時00分現在)では、7.96円前後で推移しております。尚、今週はトルコ大型連休入り(犠牲祭、犠牲祭に伴う祝日、民主主義の日)の影響で市場参加者に乏しく、週を通して動意薄の展開となりました。
来週の見通し(7/18−7/15)
トルコリラの対円相場は、6/27に記録した約1ヵ月半ぶり高値8.42円をトップに反落に転じると、7/8に、一時7.79円(6/24以来、約2週間ぶり安値圏)まで下げ幅を広げましたが、今週はトルコ大型連休の影響もあり、やや持ち直す動きとなりました。但し、アップサイドに複数のレジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲下限や90日移動平均線など)が控えていることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(一巡後の反落リスクに要警戒)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、Aトルコ中銀による徹底した金融緩和スタンス(先週発表されたトルコ6月消費者物価指数が前年比+78.62%と1998年9月以来、約24年ぶり高水準を記録にも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の方針に従う形で低金利政策を継続)、B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利低下(インフレを利上げで対処するという伝統的手法を取らないため、インフレ圧力が高まれば高まるほど、実質金利低下を通じてトルコリラに下落圧力が加わり易い)、C米FRBによるタカ派傾斜観測(今週発表された米6月CPI、米6月PPIが市場予想を上回ったことで7月FOMCでの100bp利上げ観測が台頭→過剰流動性相場逆流リスク→トルコから米国への資本流出圧力)、Dトルコ経済の先行き不透明感(深刻なインフレ発生)、E経常赤字拡大に伴う構造的なリラ売り圧力、F外貨準備減少に伴うリラ売り防衛能力への不安感(資本規制を通じたリラ売り抑制策も効果は限定的)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコが大型連休明けとなる他、7/21にトルコ中銀金融政策決定会合が予定されているため、ボラティリティの拡大に警戒が必要でしょう。トルコ中銀が政策金利の据え置きを決定し、記者会見で利上げの可能性を否定する場合には、実質金利低下への思惑から、トルコリラには再び強い下落圧力が加わるものと推察されます。状況次第では、6/16に記録した安値7.59円を試すシナリオも想定されるため、来週はトルコリラのダウンサイドリスクに特に警戒が必要でしょう。
今後の注目材料
07/19(土)エルドアン大統領・プーチン大統領の会談
07/20(水)トルコ7月消費者信頼感指数
07/21(木)トルコ中銀金融政策決定会合
07/28(木)トルコ中銀インフレレポート
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.65ー8.15
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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