トルコリラ円見通し 円高に押されながらドル高リラ安のぶり返しで失速
〇トルコリラ円、7/15は全般的にドル高が緩んだ影響で、深夜には一時8円台を超えるところまで上昇
〇7/18はドル円続落、ドル高リラ安がぶり返し夕刻安値7.87まで下げたが、その後やや持ち直しの動き
〇対ドル、7/15はドル高がいったん落ち着き下落一服、深夜からリラ買い優勢で一時17.27まで戻す
〇7/18はドル高が再びぶり返し、一時は17.50を超えるリラ安、終値ベースでの史上最安値更新
〇今週は日銀、トルコ中銀、ECBの金融政策に注目、トルコ政策金利は据え置きの予想
〇円安が勢い付く場合は、7.95超えから7.98前後への上昇を想定する
〇7.87割れからは7.85前後への下落を想定する、7.85以下は反騰注意
【概況】
トルコリラ円の7月15日は8.02円から7.92円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.96円で前日終値と変わらずだった。週間では7月8日終値の7.88円から0.08円の円安リラ高だった。
7月18日は7.99円から7.87円の取引レンジ、19日早朝の終値は7.90円で先週末からは0.06円の円高リラ安だった。
ドル円が7月11日に137円を突破し、14日には138円超えからさらに139円超えへと急伸したことによりトルコリラ円はドル高リラ安に対抗した円安による押し上げで確りし、15日はドル円が139円到達後の調整安で終日ジリ安となったものの全般的にドル高が緩んだことでドル/トルコリラでリラが買い戻されたことが勝って深夜には一時8円台を超えるところまで上昇した。
7月18日は夕刻にドル円が138円を割り込むところまで続落し、ドル/トルコリラもドル高リラ安がぶり返したことで夕刻安値で7.87円まで下げたが、ドル円が138円割れを買われて確りし、ドル/トルコリラでのリラ安もやや一服したことで18日夜以降は下げ渋りからやや持ち直しの動きとなっている。
【ドル高リラ安が進行、12月23日以降の安値を更新】
ドル/トルコリラの7月15日は17.49リラから17.27リラの取引レンジ、16日早朝の終値は17.40リラで前日と変わらずだった、週間では7月8日終値の17.27リラから0.13リラのドル高リラ安だった。
7月18日は17.51リラから17.26リラの取引レンジ、19日早朝の終値は17.43リラで先週末比は0.03リラのドル高リラ安となった。
リセッション入りへの懸念が強まる中でドル全面高となった7月14日に17.51リラの安値を付けて昨年12月23日高値10.06リラ以降の安値を更新し、終値ベースでも17.40円で史上最安値を更新したが、15日は米連銀による1.0%利上げの可能性がやや後退し、ユーロドルが1ユーロ1ドルのパリティ割れから反発したこととNYダウの大幅反発によりドル高がいったん落ち着いたためにドル/トルコリラも下落一服となり新たな安値更新を回避、15日深夜からはリラ買い優勢となって17.27リラまで一時戻したが、終盤は戻り売りで17.40リラまで切り返された。
7月18日はドル高が再びぶり返しで一時は17.50リラを超えるリラ安となり終値ベースでの史上最安値を更新した。7月15日夜にかけてのリラ買い戻しも一巡してドル高リラ安基調の継続感が強まっている印象だ。
【7月21日に日銀金融政策決定会合、トルコ中銀MPCとECB理事会も】
今週は日銀、トルコ中銀、ECBの金融政策に注目が集まる。
日銀は7月20-21日の予定で金融政策決定会合を開き、21日昼前後に政策発表、午後に黒田総裁記者会見がある。金融政策については現状のマイナス金利、量的緩和継続、指値オペによる長期金利上昇抑制といった金融緩和姿勢を継続してゆくものと思われる。アベノミクスと呼応した日銀の大規模金融緩和政策について、提唱者の安倍元首相が死亡したことにより政策変更への動きが与党内から出てくる可能性もあるだろうが、当面は秋に国葬を行うとの政府方針を踏まえれば故人の業績賛美を背景にアベノミクス継続が強調されやすい政治情勢と思われる。
ECBは7月21日夜に現状のゼロ金利から0.25%の利上げが見込まれる。インフレが深刻化する中で大幅利上げに踏み切りたいところではあるが、ロシアからの天然ガス供給停止が長期化する可能性も含めて景気後退リスクが高まっていることもあり、過剰な利上げは景気後退の引き金にもなりかねないことでやや慎重な姿勢も見せる可能性があるが、いずれにせよ利上げ再開プロセスに入るために日欧金利差からの円安がドル円におけるドル高円安にも波及しやすいところと注目される。
7月21日20時にはトルコ中銀の金融政策委員会(MPC)があるが、政策金利の週間レポレートについては7会合連続で14.0%に据え置かれるのだろうと予想されている。消費者物価上昇率は前年比で80%に迫り悪化傾向を続けている中にあっては利下げをしたいエルドアン大統領による圧力でも利下げは無理であり現状維持にとどめるのが精いっぱいと思われる。
米連銀のFOMCは来週26-27日に予定されており0.50%ないし0.75%の利上げが予想されているが、先週盛り上がった1.0%の超大幅利上げは見送られると思われるものの、年末から来年にかけて利上げ継続してゆく。
日銀、トルコ中銀の金融政策姿勢を見ながら、弱い円と弱いリラの綱引きということになるのだろうと思われるが、ユーロが1ユーロ1ドルのパリティ割れから戻して全般的なドル高に一服感が見られたものの、中長期的なドル高基調は継続し、ドル円もさらに円安水準を試してゆくとすれば、トルコ中銀が政策金利を据え置いたところで大きな市場反応が見られなければ円安によるトルコリラ円の上昇ということもあり得る局面と思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値から3日目となる13日夕安値を直近のサイクルボトムとして15日午後から19日午後にかけての間への上昇を想定していた。
7月15日午前時点では7.90円割れから弱気サイクル入りとしたが、7月15日深夜へ高値を切り上げたところからの反落で18日夕刻に7.90円を割り込んだため、15日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は18日夕から20日夜にかけての間と想定されるので早ければ18日夕安値でボトムを付けた可能性もあるため、7.95円以下での推移中は一段安余地ありとするが、7.95円超えからは強気サイクル入りとして20日夜から22日深夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、7月15日深夜高値からの反落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。安値更新を回避しての推移が続けば遅行スパンは好転しやすい位置にあるので遅行スパン好転からは戻りを試すとみるがその際は先行スパン下限が上値抵抗となりやすいと注意し、その後に遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は7月18日夕安値時に30ポイント台序盤へ低下してから40ポイント台を回復している。7月13日夕刻も30ポイント台序盤から切り返しに入っているので50ポイント超えからは戻りを試すとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下へ進むのではないかとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.87円を下値支持線、7.95円を上値抵抗線とする。
(2)7.92円から7.95円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、円安が勢い付く場合は7.95円超えから7.98円前後への上昇を想定する。また7.92円以上での推移が続く場合は20日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.87円割れからは7.85円前後への下落を想定する。7.85円以下は反騰注意とするが、7.92円以下での推移なら20日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。また下げ足が早まる場合は7.80円台序盤(7.83円から7.80円)へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
7月18日
17:00 6月 財政収支 (5月 1439.8億リラ)
7月20日
16:00 7月 消費者信頼感 (6月 63.4)
23:30 6月 中央政府債務 (5月 336億リラ)
7月21日
20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 週間レポレート (現行 14.0%)
20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 グロス (7/8時点 588.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 ネット (7/8時点 60.7億ドル)
7月25日
16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)
7月28日
16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
20:30 週次 外貨準備高 7/22時点
注:ポイント要約は編集部
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