ドル高基調に変化なし、再び高値更新も(週報7月第2週)

先週のドル/円相場は、ドルが小幅に続伸。ザラ場で前週記録した年初来高値137.00円を超えることは出来なかったが、週末のNYクローズは前週を超える136円台だった。

ドル高基調に変化なし、再び高値更新も(週報7月第2週)

ドル高基調に変化なし、再び高値更新も

〇先週のドル円、米雇用統計の好数字でドル買い進展、週末に136.56の週間高値つける
〇6日発表の米FOMC議事録要旨、7月会合も「0.5%または0.75%の引き上げが適切」との見方示す
〇日米金利差は今後さらに拡大、円安という基本的な流れが転換することはなさそう
〇今週は6月消費者物価指数や7月ミシガン大消費者信頼感指数速報値などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、134.70-137.70

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小幅に続伸。ザラ場で前週記録した年初来高値137.00円を超えることは出来なかったが、週末のNYクローズは前週を超える136円台だった。

前週末は、ウクライナ侵攻における東部ルガンスク州の最後の要衝リシチャンスクがロシア軍の手によって陥落したと伝えられ話題に。一方、中国で新型コロナの感染拡大が報じられたことも、週明けの波乱要因として取り沙汰されていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は135.20円レベルで寄り付いたものの、週間を通し多くの時間帯を135円台で過ごす、やや方向性に欠ける展開。実際、週末東京までは1.6円レンジにとどまり、2月28日以来の週間小動きも懸念されていた。しかし、その週末に発表された米雇用統計が予想を上回る好数字になったこともあり、ドル買いが進展。136.56円の週間高値を示現し、週末NYはそのまま136円台を維持し大引けている。
なお週末8日、奈良で演説を行っていた「安倍元首相が銃で撃たれ心肺停止」というショッキングなニュースが伝えられ、そののち亡くなったことが明らかになった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「英政治情勢」と「米金融政策」について。
前者は、様々なジョンソン首相の不祥事に反旗を翻す格好で、スナク財務相とジャビド保健相などが相次いで辞任を表明した。これらを嫌気し、ポンド/ドルは一時年初来安値を更新する展開に。また、首相職に固執している感が見られたジョンソン氏だったが、週末にかけてついに辞職へと追い込まれた。とは言え、ジョンソン氏は「新指導者選出まで暫定首相としてとどまる意向」を示す。最長であればまだ1-2ヵ月は「ジョンソン暫定政権」が続く可能性も取り沙汰されるなか、後継者争いもさることながら、早急な退陣を望む議会などとの軋轢も依然として続いているようだ。

対して後者は、6日に発表された6月の米FOMC議事録要旨で、7月の会合についても「0.5%または0.75%の引き上げが適切」との見方が明らかになるなか、週末にかけてはFRBのウォラー理事が7月FOMCで「0.75%の追加利上げ」実施に支持を表明するとともに、9月会合でも0.5%利上げを実施する可能性があるという認識をまず示す。またNY連銀総裁も続けて、次回FOMC会合での利上げ議論について「0.5%ないし0.75%が妥当」と述べ、大幅利上げの可能性を否定しなかった。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、前述した5ヵ月ぶりの週間小動きこそ回避したものの、それでも週間を通した値幅は1.78円と2円にとどかなかった。名実とも7月入りし、いわゆる夏枯れの様相を呈しつつあるためなのか、相場が落ち着きつつあるとも言える。ただ、先週末に掛けドルは再び136円台乗せ、137.00円という年初来高値も視界内には捉えられている。「過熱感の乏しいまま」ドル高再トライ、という可能性も考えられる。
改めて指摘するまでもなく、日米金利差が今後さらに拡大していくことはほぼ間違いない。また先でも取り上げたウォラーFRB理事発言などからすると、米国の利上げスピードは当初想定されていたものより、さらに速いものとなりかねないようだ。もちろん、性急な米利上げは諸刃の剣。一方で、米景気減速懸念が強まりつつあることには、今週も引き続き要注意で、そうした意味ではNYダウをはじめとする米株の動きにも大いに注意を払いたい。ただ、円安という基本的な流れそのものが転換することはなさそうだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円週足は先週も陽線引け。これで陽線の連続は6週に。まだドル高基調が終わった、転換したとは言えないものの、短期なのかそれとも中期なのかという期間は別にして、価格的にはかなりのドル高値圏に到達していることは間違いなさそうだ。先週末の動きからすると、ドルが週内にも最高値を再び更新していく展開にも要注意だが、むしろ徐々にだが調整と思しきドル安進展にも注意が必要か。

今週は、6月の消費者物価指数や7月のミシガン大消費者信頼感指数速報値などの米経済指標が発表されるほか、米地区連銀経済報告も公表される予定だ。また、JPモルガンやシティを中心とした米企業決算の発表、イエレン米財務長官の訪日、週末のG20財務相・中銀総裁会議など、週間を通して材料目白押しとなっている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、134.70-137.70円。ドル高・円安については、まず先週高値の136.56円、そして年初来高値137.00円の攻防に注目。抜ければ、チャート的に再び青天井状態だ。
対してドル安・円高方向は、時間足など短期ベースで見た場合134円後半から135円がなかなか強いサポートに。割り込めば、6月23日安値134.27円がターゲット。

ドル高基調に変化なし、再び高値更新も

ドル円日足

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