トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、週初に8.32レベルまで買われたが火曜から木曜まではほとんど動き見られず
〇インフレ下での緩和的な金融政策、リラが長期的に上昇する可能性は限りなく低い
〇NATOサミットでトルコは北欧2か国のNATO加盟を容認する姿勢に転換
〇今週は月曜発表のCPIが最大の注目、今回予想は78.4%と前回から更にインフレ加速
〇今週は7.90レベルをサポートに、8.20レベルをレジスタンスとする週とみる
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「新規制案の様子見をしながらも短期的には底堅い動きを考え、7.95レベルをサポートに、8.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.94レベル、高値が8.32レベルと、底堅いものの上値警戒感もまた強く、想定範囲内の動きになったと思います。
先週のトルコリラは、前週金曜にトルコの銀行当局が一定額以上の外貨を保有する企業には融資を行わないとした規制を実施したことで、該当企業による外貨売りトルコリラ買いが起こりうるとの見方から、週初にドルトルコリラが16.017レベルと5月24日以来のドル安・トルコリラ高となり、対円でも8.32レベルまで買われました。しかし火曜から木曜まではほとんど動きが見られず、週末を控えてややトルコリラ売りとなり、ドルトルコリラが16.75レベル、トルコリラ円は8円の大台前後での引けとなりました。
これまでもトルコリラ安が強まると新規制で対応してきましたが、その後は時間をかけて再びトルコリラ安の流れに戻る動きを繰り返してきましたので、現在の凄まじいインフレ下での緩和的な金融政策を取り続ける限りトルコリラが長期的に上昇する可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。エルドアン大統領が低金利政策からの転換を指示することは無いでしょうから、長期的には史上最安値を試す流れには変化は無いでしょう。
先週はNATOサミットがありましたが、事前の根回しが効いた様子でトルコは北欧2か国のNATO加盟を容認する姿勢に転換しました。米国からミサイルを購入出来るなど、トルコにとって有利なこととの交換条件と見られますので、政治面での米国や欧州との対立が多少は好転する方向であることは好材料だったと言えそうです。
今週の材料は月曜に発表されるCPIが最大の注目材料です。前回は既に73.5%と異常なインフレ率を記録していましたが、今回の予想は78.4%と前回から更にインフレが加速する見通しです。PPIも同時に発表されますが、こちらは前回が132.2%で今回の予想はありませんが、依然として高水準であることは間違いないでしょう。
トルコではインフレに対する国民の不満も強く、1990年代に同レベルのインフレだった際には賃上げもインフレに連動していましたが、今回はそうした仕組みも無く、野党も与党を突き上げていることから早ければこの秋にも前倒し総選挙が行われる可能性も出ています。エルドアン大統領と与党の支持率は低下する一方であることを考えると、野党連合としては年内の前倒し選挙を進める動きを強めていて、選挙に勝てば以前の議院内閣制に復帰することを公約にしています。
本日のCPIが直接的に国内政治の転換につながることは無いにせよ、これまでの積み重ねが国内政治を大きく変える流れになって行く可能性もあり、その時にはようやくトルコリラも反転上昇という流れが始まるかもしれません。前倒し選挙の情勢については今後も要ウォッチと言えそうです。
テクニカルには週足チャートから見て行きます。
昨年の史上最安値以降の規制で大きく上昇後に反落していますが、反落後の戻り高値とその後の安値圏は7.5円から9.0円の大きなレンジでのもみあいとなっていて、直近ではこのレンジの半値水準8.25円水準がレジスタンスとなりつつあると言えます。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
先ほどのチャート内の青の水平線7.55と半値8.25を青の水平線で、これらの青の水平線の半値7.90をピンクの水平線で引きました。7.90レベルは新規制導入前の高値圏とも重なっていることから同水準は目先のサポートと見てもよさそうです。
これらの各水準を参考に今週は7.90レベルをサポートに、8.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.07.05
トルコリラ円見通し トルコ6月CPI悪化でドル高リラ安だったが円安に支えられる(22/7/5)
トルコリラ円の7月4日は8.09円から8.04円の取引レンジ、5日早朝の終値は8.06円で先週末終値と変わらずだった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.07.04
トルコリラ円見通し 6月24日の資本規制策発表からのリラ買い一巡、円高に押され対ドルでも軟調(22/7/4)
トルコリラ円の7月1日は8.14円から8.04円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.06円で前日終値の8.12円からは0.06円の円高リラ安だった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。