『資本規制で急伸するもすぐに反落。来週はトルコCPI・PPIに注目』
〇今週のトルコ円、新資本規制導入、トルコの北欧2か国NATO加盟支持に週明け8.42まで上昇
〇その後はトルコ指標不冴え、世界的リスクオフ再燃に8.04まで下落、8.06レベルで越週
〇トルコ円、上方に複数のレジスタンスポイント控え、弱気のパーフェクトオーダーも継続、地合い弱い
〇ファンダメンタルズ的にもウクライナ情勢の長期化懸念、トルコ中銀の独立性喪失等売り材料多い
〇当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.80ー8.20
今週のレビュー(6/27−7/1)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.01円で寄り付いた後、@トルコ当局によるサプライズ的な資本規制発表(トルコの銀行監督当局は6/24米国時間午後に1500万リラを超える外貨現金を保有し、その額が総資産または年間売上高の10%を超える場合、リラ建て新規融資を制限すると発表)や、A上記@を背景とした投資家による大規模ショートカバー、Bスウェーデン・フィンランドのNATO加盟進展期待(トルコは6/29に両国のNATO加盟を一転支持→NATO加盟国との軋轢回避期待)が支援材料となり、週明け早々に週間高値8.42円(5/13以来、約1カ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。しかし、一目均衡表雲上下限をバックに伸び悩むと、Cトルコ6月経済信頼感指数(結果93.6、前回96.7)の冴えない結果や、Dトルコ6月製造業PMI(結果48.1、前回49.2)の4ヵ月連続50割れ、E世界的なリスクオフ再燃(米FRBによるタカ派傾斜観測を背景にリスクアセットが再び下落→市場心理悪化)が重石となり、週後半にかけて一時8.04円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/2午前4時30分現在)では、8.06円前後で推移しております。
来週の見通し(7/4−7/8)
トルコリラの対円相場は、週明け早々に約1カ月半ぶり高値8.42円まで急伸する場面が見られましたが、一巡後に伸び悩むと、すぐに押し返される冴えない動きとなりました(上値の重さを再確認)。上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表雲上下限や90日移動平均線など)が控えていることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て地合いは弱いと判断できます(先週末から今週初にかけての急伸は資本規制発表サプライズに端を発した一時的なショートカバー)。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシアによるウクライナ攻撃が激化)や、Aトルコ中銀による徹底した金融緩和スタンス(約24年ぶり高水準となるインフレ昂進状態にも係わらず、トルコ中銀はエルドアン大統領の方針に背くことができず、インフレ退治の「利上げの選択肢」を排除)、
B上記Aを背景としたトルコリラの実質金利急低下、C米FRBによるタカ派傾斜観測(過剰流動性相場逆流リスク→トルコから米国への資本流出圧力)、Dトルコ経済の先行き不透明感(先週同様、今週発表されたトルコ経済指標は軒並み悪化)、E経常赤字拡大に伴う構造的なリラ売り圧力など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。資本規制を通じたリラ売り抑制策は、副作用を伴うことから長期化が難しく、一巡後は却ってリラ売り圧力を高めるリスクが警戒されます(事実、銀行監督当局による資本規制を通じた今回のリラ急騰の動きは僅か2日間で終息)。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は7/4に発表されるトルコ6月消費者物価指数およびトルコ6月生産者物価指数がメインイベント)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.80ー8.20
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円
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