『エスコムによる大規模停電実施で急反落。続落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週初8.58まで上昇するも伸び悩み、週末にかけ8.17へ急落
〇南アでの大規模停電の実施、南ア指標、株価、商品価格の不冴えが背景
〇南ア円、主要サポート下抜けテクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズも南アの経済先行き不透明感、財政収支悪化懸念等が重石
〇南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.05ー8.40
今週のレビュー(6/27−7/1)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.55円で寄り付いた後、翌6/28に週間高値8.58円まで上昇しました。しかし、6/21に記録した直近高値8.60円をバックに伸び悩むと、@南アフリカの国営電力会社エスコム社による大規模停電の実施発表(ストライキなどを理由に2年超ぶりとなるステージ6の停電実施)や、A南ア4ー6月期BER消費者信頼感指数(結果▲25、前回▲13)の冴えない結果、B南ア6月製造業PMI(結果52.2、前回54.8)の市場予想を下回る結果、C上記@ABを背景とした南ア経済の先行き不透明感、D南ア5月生産者物価指数(結果+14.7%、予想+14.0%、※前年比)の伸び率昂進(スタグフレーション懸念)、E株式市場の軟調推移(世界的な株安再開→市場心理悪化)、Fコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品である金やプラチナ価格の急落→交易条件悪化)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.17円(5/30以来、約1ヵ月ぶり安値圏)へと急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/2午前4時30分現在)では、8.28円前後で推移しております。
来週の見通し(7/4−7/8)
南アランドの対円相場は6/21に記録した直近高値8.60円をトップに反落に転じると、週末にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる8.17円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(上昇→下落のトレンド転換を示唆)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜スタンスの明確化(パウエルFRB議長は今週、米景気よりインフレ抑制を重視するスタンスを再強調)や、A上記@を背景とした新興国から米国への資金流出懸念、B南アフリカ経済の先行き不透明感(景気停滞と高インフレが同時に進むスタグフレーション懸念の高まり)、C南ア財政収支の悪化懸念、Dコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品であるプラチナ価格は2020年11月以来、約1年7ヵ月ぶり安値圏→南アフリカの交易条件悪化懸念)、
E国営電力会社エスコム社による計画停電の長期化懸念、F南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念、G南ア中銀による追加利上げ観測(南ア中銀の利上げはこれまで南アランド買い要因として機能してきたが、スタグフレーション懸念が燻る状況においては、今後は「南ア中銀の追加利上げ→南ア経済の逆風→南アランド売り」の波及経路に要警戒)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的にもファンメンタルズ的にも南アランド円相場の下落リスクが高まっている状態。目先は8.17ー8.18円付近に位置する強力な支持帯や、一目均衡表雲下限が位置する8.10円前後を試すシナリオを想定。これらの水準を下抜けられれば、いよいよ5/12に記録した直近安値7.86円に向けて下げ足を速める恐れがあり要注意)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.05ー8.40
注:ポイント要約は編集部
南アランド円
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