トルコリラ円見通し 円高に圧される、貿易収支は悪化(22/7/1)

トルコリラ円の6月30日は8.23円から8.12円の取引レンジ、7月1日早朝の終値は8.12円で前日終値の8.21円からは0.09円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円高に圧される、貿易収支は悪化(22/7/1)

トルコリラ円見通し 円高に圧される、貿易収支は悪化

〇トルコリラ円、6/30は小動きだったが、ドル円下落を背景に円高に圧され、7/1未明8.12まで下落
〇対ドル、6/30は16.74から16.49の取引レンジ、乱高下後の膠着状態のまま動意に欠ける展開
〇昨日5月トルコ貿易収支発表、資源エネルギー価格高騰による輸入額急増のため赤字が拡大
〇8.12割れからは、8.00台中盤(8.07から8.03)への下落を想定する
〇8.23超えからは、8.20台後半(8.25から8.30手前)への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月30日は8.23円から8.12円の取引レンジ、7月1日早朝の終値は8.12円で前日終値の8.21円からは0.09円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラは6月24日夜に外貨保有企業に対する融資規制の発表からドル売りリラ買いが殺到して乱高下となったものの28日以降は状況一服で落ち着いており30日も小動きだったが、欧米株安と米長期債利回り低下を背景にドル円が137円到達からの修正安に入り7月1日未明には135.50円台までさげたため、トルコリラ円は円高に圧されて1日未明にこの日の安値となる8.12円まで下落した。
6月24日の融資規制の発表からリラ買いが殺到して6月23日夜安値7.73円から6月27日高値8.37円へ急伸したが、突然の発表による狼狽的な外貨売りとリラ買いの動きは2日間でひとまず落ち着き、6月28日以降は8.20円前後で売られて8.15円割れを買い戻される小動きとなっていたところだが、7月1日未明安値ではこのレンジからやや下抜けてきている。
ドル円が135.50円台で下げ止まって反騰入りできるか、もう一段安となるのかを見定めるところと思われる。

【融資規制発表後のリラ買い落ち着き膠着状態】

ドル/トルコリラの6月30日は16.74リラから16.49リラの取引レンジ、7月1日早朝の終値は16.69リラで前日終値の16.64リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
6月24日夜に外貨保有企業に対する融資規制政策が突然発表されたことでややパニック的なドル売り・リラ買いが殺到して発表前の1ドル17.37リラ近辺から15.90リラへ急伸したが、24日と27日の2連騰で状況も落ち着き、その後は16.70リラ前後で買われて16.50リラ台では売られる狭いレンジで小動きに入っている。
6月30日は夜にかけてユーロやポンドなどが下げてドル高が継続したが深夜にかけては米長期債利回りの続落を見てユーロやポンドなどが戻してドル高にはブレーキがかかった。そのためドル円も下げたのだが、ドル/トルコリラは乱高下後の膠着状態のまま動意に欠ける展開だった。

【貿易赤字は拡大】

6月30日に発表された5月のトルコ貿易収支は106.1億ドルの赤字となり4月の61.1億ドルから赤字幅が拡大して過去最大となった。輸出入はともに急拡大しており活発な動きを見せているが、資源エネルギー価格高騰により輸入額が急増しているために赤字が拡大したといえる。

トルコリラ円見通し 円高に圧される、貿易収支は悪化

貿易赤字の100億ドル超えは今年1月の102.8億ドル以来だが、手元の統計で遡れる2000年以降では2013年4月の103.6億ドルを超えて過去最大となっている。トルコは構造的な貿易赤字国であり、観光収入がそれを埋め合わせてきたが、世界規模でのインフレ進行による輸入額急増が貿易赤字拡大と経常収支悪化をもたらしていることはファンダメンタルズ的なリラ安要因となる。

【外貨準備高は増加】

6月30日夜に発表された週次の外貨準備高は6月24日時点のグロスで603.4億ドルとなり6月17日時点の594.5億ドルから回復した。ネットでも75.3億ドルとなり6月17日時点の73.8億ドルから増加した。
外貨保有企業に対して1500万リラを超える保有がある場合にはリラ建ての新規融資を禁止するとの政策発表があったのが6月24日であり、外貨売りが殺到したのが6月24日から27日にかけての2日間であり、今回の統計には反映しきれていないと思われるが、ひとまず外貨準備高の減少傾向には歯止めがかかった印象もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日夜安値をサイクルボトムとした急騰が一巡したために6月29日午前時点では6月27日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてボトム形成期を6月28日夜から30日夜にかけての間と想定したが、6月29日午後安値から反発したために30日午前時点では29日午後安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
6月30日夜の下落で6月29日午前安値を割り込んだため、底割れによる弱気サイクル入りと仮定して7月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換は8.23円超えからとする。

60分足の一目均衡表では、6月30日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開により6月23日安値以降の高値試しへ向かう可能性も出てくるのではないかとみる。

60分足の相対力指数は6月30日夜の下落で30ポイント台へ低下してからやや戻しているが50ポイントにはい届かずにいる。50ポイントを下回るうちはもう一段安余地ありとし、50ポイント台回復からは戻りを試す流れとみて60ポイント前後への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.12円を下値支持線、8.23円を上値抵抗線とする。
(2)8.20円以下での推移中か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとし、8.12円割れからは8.00円台中盤(8.07円から8.03円)への下落を想定する。8.05円以下は反発注意とするが、8.15円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.23円超えからは8.20円台後半(8.25円から8.30円手前)への上昇を想定する。8.23円を超えた後も8.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみるが、8.27円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.2)
7月4日
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 2.98%、予想 5.38%)
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 73.5%、予想 78.35%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 8.76%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 132.16%)



注:ポイント要約は編集部

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