ドル円見通し 株安・米長期債利回り低下で失速するも、135.50円台からの持ち直しを試す(22/7/1)

株売り債券買いが優勢となって米長期債利回りが続落したため、7月1日未明には135.50円台へ切り下げた。

ドル円見通し 株安・米長期債利回り低下で失速するも、135.50円台からの持ち直しを試す(22/7/1)

株安・米長期債利回り低下で失速するも、135.50円台からの持ち直しを試す

〇ドル円、6/30日夜の欧米株下落と米長期債利回り続落により、7/1未明に135.50台へ切り下げる
〇昨日発表の経済指標の結果から、金融引き締めによる景気減速懸念が強まった印象
〇NYダウは500ドル超の下落からやや持ち直すも反落、ナスダックは4日続落
〇6/30の米長期債利回りは総じて続落、目先は上昇一服での調整局面か
〇135.50割れからは、134円台後半(135.00から134.50)を試すとみる
〇136.25超えからは上昇再開と仮定して、6/29夜高値137.00超えを目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は6月29日夜に137円をつけて1998年8月11日天井147.63円直後の1998年9月以来の高値水準としたが、その後は高値警戒感と米長期債利回り低下により失速し、30日夜は欧米株が景気減速懸念で大幅下落する中で株売り債券買いが優勢となって米長期債利回りが続落したため、7月1日未明には135.50円台へ切り下げた。
6月30日夜は米6月個人消費支出及びPCEデフレーターの発表があったが、インフレの高止まりと消費の頭打ちにより金融引き締めがさらに続いて景気後退を招く懸念が強まった印象だ。
ドル円は6月29日夜高値から1.50円近い下落規模となったが、6月15日に135.58円をつけたところから米FOMCを挟んで6月16日夜安値131.48円まで4.10円の下落となり、6月22日朝に136.71円へ一段高した後の6月23日夜安値134.25円まで2.46円の下落が入っており、調整安を入れた後の高値更新を繰り返しているものの徐々に高値切り上げ角度が鈍化。一段高期待と高値警戒感が交錯する状況にあり、今回も6月23日夜への下落時や6月16日夜への下落時に近い展開となる可能性もあるところと注意したい。

【NYダウ下落、ナスダックは4日続落】

6月30日のNYダウは一時500ドル安を超える下落からやや持ち直したものの前日比253.88ドル安と反落した。6月17日安値で29653.29ドルをつけて1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値を更新したところからいったん3万ドル割れに対する買い戻しが入ったものの6月28日高値31885.09ドルで戻り一巡となって失速している。
ナスダック総合指数は前日比149.15ポイント安となり6月27日から4日続落で6月16日につけた昨年11月22日の史上最高値16212.23ポイント以降の最安値である10565.14ポイントへ徐々に迫っている。

6月30日に米商務省が発表した5月の個人消費支出(PCE)は前月比0.2%増となり4月の0.6%増から鈍化して市場予想の0.4%を下回り、これまでの景気回復による消費拡大が頭打ちとなってきている印象を与えた。米連銀がインフレ指標として重視するPCEデフレーターは前年同月比6.3%となり、4月と変わらずで市場予想の6.4%をわずかに下回ったが高水準を維持している。コアPCEデフレーターは前年同月比4.7%で4月の4.9%から鈍化して市場予想の4.8%を下回ったが、前月比は0.3%で4月と変わらない伸びだった。これらにより個人消費の伸びの鈍化とインフレの高止まり感が強まった。
経済情報会社MNIインディケーターズが発表した6月のシカゴ購買部協会景況指数は56となり、5月の60.3から大幅に低下して市場予想の58も下回った。

米労働省による週間の新規失業保険申請件数は23.1万件で前週の23.3万件からやや減少したが市場予想の22.8万件を上回り、失業保険受給者数は132.8万人で前週の133.1万人から減ったが市場予想の131.0万人を上回った。
6月29日に米商務省が発表した2022年1-3月期GDP確定値は年率換算前期比で1.6%減となり、改定値の1.5%減から小幅下方修正され、2021年10-12月期の6.9%増から大幅低下となり7四半期ぶりのマイナス成長だったが、6月30日に発表された米アトランタ連銀のGDP予測モデルであるGDPナウは4-6月期予想がマイナス1.0%となっており、2期連続のマイナス=リセッション入りの可能性が強まっている。

【米長期債利回りは総じて続落】

6月30日の米長期債利回りは総じて続落した。10年債利回りは前日比0.07%低下の3.02%となったが、29日の0.09%低下からの大幅続落だった。30年債利回りも前日比0.03%低下の3.19%、2年債利回りも0.08%低下の2.96%となり3%を割り込んだ。
6月29日のECBフォーラムにおいてパウエル米連銀議長が「景気よりも物価抑制」と述べて金融引き締めによる景気後退への懸念が強まったが、米長期債利回りは先行きの利上げを反映した上昇反応よりも株売り債券買いによる利回り下落反応が勝った。
米10年債利回りの上昇基調とドル円の上昇基調がほぼ同期してきたこともあり、ドル円は137円到達後の調整安という反応になっているが、中長期的には短期の政策金利が3.5%を目指す流れの中で2年債や10年債利回りなどもこれまでのピークを超えてゆく可能性が高いのではないかと思われるが、目先はやや上昇一服での調整局面というところか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては6月23日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして6月27日朝から29日朝にかけての間への上昇を想定してきた。6月29日朝高値136.38円から夕刻安値135.77円まで小反落した後に一段高したために30日午前時点では29日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクル入りした可能性があるとし、6月29日夕安値を割り込む場合は29日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
6月30日夜に29日夕安値を割り込んでいるため、29日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。6月23日深夜安値からはすでに5日を経過しているので136.25円超えからは新たな強気サイクル入りとして7月4日夜から6日深夜にかけての間への上昇を想定するが、強気転換できずに安値更新が続く場合は29日夕安値を基準としてボトム形成期が7月4日夕から6日夕にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では6月30日夜の下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転からは高値試し優先へ切り替えるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが再び悪化するところからの下げ再開に注意する。

60分足の相対力指数は7月1日未明に20ポイント台へ低下したところから40ポイントまで戻している。50ポイント以下での推移中はもう一段安余地が残るとみるが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は強気転換注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は60ポイント台後半へ向かう上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.50円を下値支持線、136.25円を上値抵抗線とする。
(2)136円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとし135.50円割れからは134円台後半(135.00円から134.50円)を試すとみる。134.70円以下は反発注意とするが、136円以下での推移が続くうちは週明けも安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)136.25円超えからは上昇再開と仮定して6月29日夜高値137.00円超えを目指す上昇を想定する。また136.25円を超えた後も136円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/1(金)
休場、香港、カナダ
10:45 (中) 6月 財新製造業PMI (5月 48.1、予想 50.1)
16:55 (独) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.0、予想 52.0)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.0、予想 52.0)
17:30 (英) 6月 製造業PMI改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
18:00 (欧) 6月 HICP消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 8.1%、予想 8.4%)
18:00 (欧) 6月 HICP消費者物価指コア指数速報値 前年同月比 (5月 3.8%、予想 3.9%)
22:45 (米) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.4、予想 52.4)
23:00 (米) 6月 ISM製造業景況指数 (5月 56.1、予想 54.9)
23:00 (米) 5月 建設支出 前月比 (4月 0.2%、予想 0.4%)



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