ドル円、米長期金利の急低下に高値圏から反落するも135円台は死守
〇ドル円、アジア時間朝方136.80まで上げるも、米国時間にかけ安値135.55まで急落、戻りも鈍い
〇米5月PCEコアデフレータの市場予想下回る結果、米金利低下、株式市場の不冴え等が重石
〇ユーロドル、欧州景気の先行き懸念、独失業者増等から1.0382まで下落後、1.0488まで反発
〇ドル円、テクニカル的に地合い崩れておらず、上昇トレンド過程での一時的ポジション調整か
〇相次ぐ米当局者のタカ派的発言、日銀の金融緩和継続姿勢等ドル高・円安トレンド継続の材料揃う
〇ドル円相場の上昇がメインシナリオと予想、本日の予想レンジ:135.00ー136.50
海外時間のレビュー
月末30日(木)のドル円相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値136.80まで上値を伸ばすも、前日海外時間に記録した約23年9ヵ月ぶり高値137.01をバックに伸び悩むと、@株式市場の冴えない動きや、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力、B米5月個人消費支出(結果0.2%、予想0.4%、前回0.6%、※前月比)の冴えない結果、C米5月PCEコアデフレータ(結果4.7%、予想4.8%、前回4.9%、※前年同月比)の市場予想を下回る結果、D米6月シカゴ購買部協会景気指数(結果56.0、予想58.0、結果60.3)の急低下、E米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは3.00%の大台を割り込み一時2.97%へ急低下)、Fアトランタ連銀が予測する4ー6月のGDPNowがテクニカルリセッション入りを示唆したこと(1ー3月期の▲1.6%に続き、4ー6月期が▲1.0%を示唆)などが重石となり、米国時間にかけて、安値135.55まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/1午前5時30分現在)では、135.74前後で推移しております。
月末30日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での利上げは景気への逆風)や、A欧州株の軟調推移、Bドイツ6月失業率(結果5.3%、予想5.0%)の冴えない結果、Cドイツ6月失業者数(結果+13.3万人、予想▲0.6万人)の大幅増加が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0382まで下落しました。しかし、6/15に記録した直近安値1.0359をバックに下げ渋ると、D米経済指標の冴えない結果や、E米長期金利の急低下、F月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ買いフローが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0488まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/30午前5時05分現在)では、1.0484前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日海外時間に記録した約23年9ヵ月ぶり高値137.01をトップに反落に転じると、昨日は一時135.55まで急落しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが控えていることや、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーが継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていないと判断できます(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整と整理。一巡後は再び反発に転じる展開を想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米当局者による相次ぐタカ派発言(パウエルFRB議長は米経済より米インフレ抑制を重視する構え→米金融政策の更なるタカ派傾斜観測)や、A日銀による金融緩和の継続姿勢、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C米国によるドル高容認スタンス(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する構え→日銀によるドル売り・円買い為替介入のやり辛さ)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(株式市場が下げ渋り次第、ドル円は再び6/29高値137.01や、1998年9月24日に記録した高値137.24に向けて反発すると予想)。尚、本日は本邦の6月消費者物価指数や日銀短観、米国の6月ISM製造業景況指数などに注目が集まります。本邦CPIが市場予想を上回る場合や、日銀短観が冴えない結果を示す場合には、日銀の緩和修正の思惑を通じて、一時的に円買いが進行する恐れがあるものの、135円を割れるような下落には繋がらないと考えられます。一方、米ISM製造業景況指数が市場予想を上回る場合は、米株の反発と共にドル買いが再開する可能性があるため、本日海外時間はドル円のアップサイドリスクに注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:135.00ー136.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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