ドルは再び高値更新、月末需給などに要注意
〇本日のドル円、夕方にかけドル売り強まり16時現在ドル安値圏136.25-30で推移
〇ECBフォーラムでパウエル氏「金融引き締めに十分対応できる状況にある」と強気発言
〇仮に調整が入ってもドルが大きく下落する展開は予想しにくい
〇5月PCEデフレーターや週間新規失業保険申請件数などの米経済指標が発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.50-136.80
<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場はドルが小安い。調整と思しきドル売りが優勢だったが、それでも底堅く136円を割り込むには至らなかった。
ドル/円は136.60円前後で寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。月末ゴトー日で仲値需給なども取り沙汰されたが、結果として影響は見られなかった。しかし、夕方にかけドル売りが強まると、日中安値である136.15円レベルへと軟化。16時現在でも、そのままドルの安値圏136.25-30円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ECBフォーラム」と「ロシア情勢」について。
前者は、パウエルFRB議長とラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁らが勢揃いしたECBフォーラム討論が注目を集める。そのなかでパウエル氏は「米国経済はかなり強い」、「金融引き締めに十分対応できる状況にある」、「行き過ぎるリスクもあるが、それよりも大きなリスクはインフレを沈静化するための行動が足りないこと」−−などと強気発言を連発していたようだ。また、それとは別に「我々はドルの水準に責任を負わない」ともコメントしたという。
対して後者は、「ロシア軍がウクライナ東部州で最後の拠点であるリシチャンスクをめぐり猛攻を仕掛けている」と報じられるような状況下、NATOはロシアを事実上の「敵国」認定したことを明らかに。また、具体的な措置としても、2023年以降危機時に対応する即応部隊を30万人以上に増強することで合意。それに続き米国も、ポーランドに常設の陸軍司令部を新設し、陸海空の部隊を欧州全域に追加配備すると発表している。ウクライナの次をにらんだ鍔迫り合い、緊迫した欧州情勢はまだしばらく続きそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円の調整と思しき動きもわずか数日で終了。昨日は、それまでの年初来高値136.71円をトライしただけでなくそのまま上抜け。一時137.00円の新高値を示現している。さすがにドル上値トライのスピードは、かつてと比べて弱くなっているが、それでもリスクは上向きか。140円方向に向けたドル高・円安基調は、今後もまだしばらく続くと思われる。
利上げに積極的な米国と消極的な日本。単純な金利差だけを考えれば間違いなくドル高・円安にバイアスが掛かるものの、それに歯止めをかけていたのが性急な米利上げを受けた景気減速懸念だった。ただ、前述したように昨日パウエル氏が懸念を払しょくするような強気コメントを発しており、これでNYダウなど米株がさらに大きく上昇すればドルがさらに買い進まれる展開をたどることもありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は再び上方向へのリスクを感じさせ始めており、明確な上値メドがしばらくないという意味では青天井状態。一朝一夕に到達するとは思っていないが、それでも140円というレベルも徐々に現実のものとして意識され始めている。根っこのポジションは、もちろんドルロングだが、ここ最近は小刻みな調整でコストの悪いドルロングもそれなりに整理されている。そのためむしろ、仮に調整が入ってもドルが大きく下落する展開は予想しにくいとの指摘も聞かれていた。
本日は米経済指標として、5月のPCEデフレーターや週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表されるほか、引き続き実施されるNATO首脳会議などの政治ファクターにも要注意。また別に、6月最終日で半期あるいは四半期末にあたることから、様々な駆け込み的需給などが波乱要因となりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.50-136.80円。ドル高・円安方向は本日東京高値136.80円レベルが最初の抵抗で、抜ければ137.00円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値136.15円レベルが目先のサポート。割り込むと昨日安値135.80円などを目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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