イベント後の円高に注意(週報2016年9月第三週)

今週は月曜と木曜が秋の連休シーズンで東京市場が休場となる中、今日明日2日間に開催される日米双方の金融政策イベントが、全ての材料と言ってよいでしょう。

イベント後の円高に注意(週報2016年9月第三週)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値     高値    安値    終値

ドル円  102.47   103.36  101.42   102.28
ユーロ円 115.18   116.09   113.94   114.13
ユーロドル 1.1240  1.1284   1.1150   1.1158
日経平均 16748.36  16802.00  16359.78  16519.29

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

9月12日(月)

週末のNYダウ急落を受け日経平均株価が大幅安となる中で、為替市場もリスクオフの動きからドル円、クロス円での円買いが強まりました。欧州市場で102円を割り込むとストップオーダーも出て101.72レベルまで下落後、102円台に戻してのブレイナードFRB理事の講演待ち。ブレイナード理事はハト派代表らしく、利上げには消極的な姿勢を見せ、ドル円は101.57レベルの安値を付けた後に101円台後半へと戻してのクローズとなりました。

9月13日(火)

東京前場はブレイナードFRB理事の発言が尾を引いてドル売りが先行、一時101.42レベルの安値をつけました。しかし101円台半ばでは根強い買いに阻まれ昼過ぎには元の水準へと戻しての海外市場入り。ブレイナード理事のようにハト派のFOMCメンバーはいるものの全体としては年内利上げの流れには変化は無いというこれまでの流れへと徐々に戻り、欧州市場以降はドル買い戻しが目立つ展開となりました。NY市場では日銀による総括においてマイナス金利の深堀りを中心とする緩和強化が考えられているとのニュースから引けにかけては円安の動きが目立つ展開となりましたが、株式市場は弱く上値もまた限定的な動きでの引けとなりました。

9月14日(水)

NY市場で出た日銀総括の話が東京市場でも円安の材料とされ、ドル円、クロス円で円売りが進みました。後場には一時103.36レベルの円安となりましたが、長期レジスタンスが103円台前半を下げてきていることや半期末を前に国内輸出産業の採算レートが103.20であることも意識され徐々に上値が重たい展開へと転じました。海外市場では株価の上値の重さも加わり、東京早朝の水準へと下押ししての引けとなりました。

9月15日(木)

東京市場では、前日NYの流れを継続しリスクオフの動きから株安、円高の動きが先行し昼前にはドル円は101円台へ押す動きを見せました。しかし、101円台では相変わらず買いも出て株価も下げ止まる動きとなったことから、102円台半ばへと戻しての海外市場入り。NY市場では経済指標に神経質に反応し、再び101円台へと入り込んだものの米金利の上昇と米株買い戻しの動きから102.76レベルまで急反発。引けにかけては102円近くまで押してのクローズとなりました。

9月16日(金)

NY市場まで全く動意無しの展開が続きましたが、NY市場に入り発表されたCPIが予想よりも強かったことを受けドル買いの動きとなりました。NY市場では一貫してドル買いの動きが目立ち、特にユーロドルはなかなかトライしきれなかった1.12レベルを下抜けたことで、ストップオーダーを巻き込みながら1.11台半ばまで水準を下げて安値圏でのクローズ、ドル円も112円台半ばでの引けとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月19日(月)
**:** 東京市場休場
16:00 トルコ6月失業率
17:00 ユーロ圏7月経常収支
23:00 米国9月NAHB住宅市場指数

9月20日(火)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜21日)
10:30 豪中銀理事会(6日)議事録公表
10:30 豪州4〜6月期住宅価格指数
21:30 米国8月住宅着工件数、建築許可件数
**:** FOMC(〜21日)

9月21日(水)
08:50 本邦8月貿易収支
**:** 日銀金融政策決定会合結果、総括的検証発表
15:30 黒田日銀総裁会見
17:00 南ア8月CPI
23:30 米国週間原油在庫発表
27:00 FOMC結果公表
27:30 イエレンFRB議長会見

9月22日(木)
06:00 NZ中銀政策金利発表
**:** 東京市場休場
09:00 豪中銀総裁議会証言
15:45 フランス9月企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国8月シカゴ連銀全米活動指数
22:00 ドラギECB総裁講演
22:00 米国7月住宅価格指数
23:00 米国8月景気先行指数
23:00 米国8月中古住宅販売件数
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値

9月23日(金)
15:45 フランス4〜6月期GDP確報値
16:00 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月9月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国9月MarkIt製造業PMI速報値
23:00 ドイツ、フランス財務相会見
25:00 フィラデルフィア、クリーブランド、アトランタ各地区連総裁パネルディスカッション参加
9月25日(日)
**:** NZ夏時間移行

今週の週間見通し

米金利、市場参加者の思惑は当局の意向よりも後退したまま

今週は月曜と木曜が秋の連休シーズンで東京市場が休場となる中、今日明日2日間に開催される日米双方の金融政策イベントが、全ての材料と言ってよいでしょう。明日の結果発表(日銀は正午過ぎ頃、FOMCは日本時間翌午前3時)では、FOMCに関しては見送り、日銀はFOMCを前に現状維持と思われるものの、総括検証以外に何か出て来る可能性があるのかもしれないといったところが現在の市場参加者のコンセンサスです。

FF先物の利上げ織り込み度を見ても、9月の織り込み度は現在15%まで低下し、12月が60%(逆に12月も見送りを予想する向きが40%いるという数字)となっています。これまでのFRBのスタンスからすると、9〜12月の間の利上げはほぼ間違いないと取れるFOMCメンバーの発言がほとんどでしたから、依然市場参加者の思惑は当局の意向よりも後退したままであることがわかると同時に、逆に最近の上値が重たい株価等を考慮すると、さすがに9月に動くのは困難であろうということになります。

日銀は自画自賛と今後の含みに留まるか

そうなると、日銀がどうかということになりますが、今月に入り浜田内閣官房参与がFOMC前の追加緩和は控えるべきといった発言もありましたし、事前に漏れ聞こえてきているマイナス金利の深堀りにしても、現段階で実施するほど環境に変化が起きているとは思えません。逆に金融機関の収益悪化等で株価に与える悪影響のほうが市場参加者には気になる点でしょうから、今回はこれまでの自画自賛と今後の含みに留まると考える方が自然です。

イベント通過後の円買いの動きに注意

さて、日米双方ともに現状維持となると、金融政策材料はさらに先延ばしとはなりますが、今年に入ってからの日銀金融政策決定会合に関しての反応は、イベント通過で円買いということが多く、またFOMCについてはここまでの多くの関係者の発言から市場との対話は十分に進んできたと思いますが、利上げ思惑後退に対する米国株式市場の反応は明らかに弱くなってきています。

どちらのイベントも為替市場に関しては円買い材料とされる可能性が高いのではないかというのが市場のコンセンサスという見方でよさそうです。また先週も日柄について簡単に触れましたが、22日前後(誤差1日程度)はドル売りに繋がりやすい日柄です。イベント経過によるドル円での円買いの動きには注意が必要でしょう。

ドル円(日足)チャートもご覧ください。

あえて前回と同じレジスタンスラインを残してありますが、107円台を付けた時も今回もザラバベースではレジスタンスをトライしても終値ベースでは再び押し返される動きとなっています。特に年初来から続くレジスタンスであることを考えると、多少の誤差は許容すべき(点ではなくラインマーカーで引くラインのイメージ)で、直近の101円台前半のもみあい下限を下抜けてきた場合には、8月安値と9月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる100.57レベルが視野に入ってきます。

今週のレンジとしては、上記水準と重なる100.50レベルをサポートに、レジスタンスラインと重なる102.70 レベルをレジスタンスと、引き続き下方向に余裕のある流れを見ておきます。

           ドル円(日足)チャート      

           ドル円(日足)チャート      

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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