ドル円 目先の高値を見て短期調整局面入り(週報6月第4週)

先週のドル円は、ポジションも短期筋の円売りが減少していたこともあって、火曜の引け間際に年初来高値となる136.71レベルをつけました。

ドル円 目先の高値を見て短期調整局面入り(週報6月第4週)

目先の高値を見て短期調整局面入り

〇先週のドル円、火曜の引け間際に年初来高値となる136.71レベルをつける
〇その後ドル上昇に対する達成感から週後半は改めてドル売りに
〇今週はECB年次フォーラムでのFRB議長、ECB総裁、英中銀総裁の講演、1日の日銀短観に注目
〇短期的には新たな材料なければ当面は上下ともに限定的なもみあい相場になりやすいとみる
〇今週は短期的な調整局面入りを考え133.50レベルをサポートに135.75レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週のドル円は、前週の日銀会合前の債券先物市場急落(利回り急上昇)とその後の日銀による先物市場における受け渡し適格チーペストへの連続指値オペ実施という一連の動きが為替市場でも円高から円安への急反転となった流れを受けてのスタートとなりました。ポジションも短期筋の円売りが減少していたこともあって、火曜の引け間際に年初来高値となる136.71レベルをつけました。

しかし、136円台半ばはテクニカルなターゲットとなっていたこともあって、ドル上昇に対する達成感も出て、週後半は改めてドル売りとなりましたが、134円台前半から半ばでは押し目買いを狙う向きも多く方向感がはっきりしないままでの週末クローズとなりました。長期的には依然として日米金融政策の方向性の違いがドル高・円安の要因となりますが、新規材料が出て来ない中で短期的には更なる調整が入るのか、調整が終わったのかで意見が分かれやすい流れです。

今週は月末月初での実需の動き、ECB年次フォーラムでのFRB議長、ECB総裁、英中銀総裁の講演がヤマ場となりますが、先々週からの日本の長期金利市場での投機筋の動きを考えると本邦経済指標も注目度は高まりそうです。特に1日の日銀短観の注目度が高いでしょう。

基本的には金融政策の方向性の違いによる日米金利差が円相場の方向性を決める最大の要因と言って良いのですが、短期的には目新しさに欠け新たな材料が出て来ないと当面は上下ともに限定的なもみあい相場になりやすいと見ています。テクニカルには今一度日米金利差とドル円相場の相関を確認した上で、短期的なターゲットを考えていきます。

目先の高値を見て短期調整局面入り

青のラインが日米金利差(10年債利回り差)、ローソク足がドル円、サブチャートに相関係数を表示しています。相関係数を見るとかなりの期間で正の相関が0.9(赤の水平線)を超えていて、金利差と円相場の動きがほとんど同じであることがわかります。

先週後半に相関係数が若干低下していますが、最近の傾向として相関係数の低下はドル安・円高方向に動いている時にしばしば見られます。5月の動きが典型的ですが、現在も可能性としては調整局面が続きやすいと考えることも出来そうです。

いつもの日足チャートもご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週示した136.42(3月末の押しを起点に上昇N波動を考えた場合の100%エクスパンション)を達成したことで短期的な高値を見た可能性が濃厚ですが、下値の目途を考える日銀会合前の安値は遠い印象です。2つのターゲットを考えると5月安値と先週高値の38.2%押しが132.75(赤のターゲット)、またより短い期間で日銀会合前の安値と先週高値との押し(青のターゲット)を見ると半値押しが134.09、61.8%押しが133.48、78.6%(61.8%の平方根)押しが132.60と最も深い押しが中期の押しと重なります。

大きな調整が入る場合には132円台半ばということがテクニカルな観点からは考えられますが、そこまでの調整が入る材料があるかと考えると、やや難しいのではないかと見られます。61.8%押しの133円台半ばが妥当な水準と言えそうです。また上値については135円台半ばから後半にかけて戻り売りを考える参加者が増えてくると見られます。

今週は短期的な調整局面入りを考え、133.50レベルをサポートに135.75レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

6月27日(月)
08:50 日銀会合主な意見公表 ☆
16:00 フランス中銀総裁講演
21:30 米国5月耐久財受注
23:00 米国5月住宅販売保留件数
26:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
**:** ECB年次フォーラム(〜29日)

6月28日(火)
15:00 ドイツ7月GFK消費者信頼感
15:45 フランス6月消費者信頼感
17:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:30 レーンECB理事講演 ☆
20:00 パネッタECB理事講演
21:30 米国5月卸売在庫
22:00 米国4月住宅価格、ケースシラー住宅価格
23:00 米国6月消費者信頼感
23:00 米国6月リッチモンド連銀製造業景況指数

6月29日(水)
10:30 豪州5月小売売上高
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:00 南ア4〜6月期消費者信頼感
18:00 ユーロ圏6月消費者信頼感
19:00 シュナーベルECB理事講演
21:00 ドイツ6月CPI ☆
21:30 米国1〜3月期GDP確報値 ☆
22:30 パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、英中銀総裁講演 ☆
23:30 週間原油在庫統計
24:30 クリーブランド連銀総裁講演
26:05 セントルイス連銀総裁講演
**:** NATOサミット(〜30日)☆

6月30日(木)
10:00 NZ6月企業信頼感
10:30 中国6月製造業PMI ☆
15:00 ドイツ5月小売売上高、輸入物価指数
15:00 英国1〜3月期GDP改定値 ☆
15:00 英国6月住宅価格
15:45 フランス6月CPI速報値 ☆
15:45 フランス5月PPI
16:00 トルコ5月貿易収支
16:55 ドイツ6月失業率
18:00 ユーロ圏5月失業率
18:00 南ア5月PPI
21:00 南ア5月貿易収支
21:30 米国5月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国6月シカゴ購買部協会景況指数

7月1日(金)
**:** 香港市場休場、NY市場短縮取引
07:45 NZ5月住宅建設許可
08:30 本邦6月東京区部CPI ☆
08:30 本邦5月失業率・有効求人倍率
08:50 日銀短観 ☆
10:45 中国6月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ6月製造業PMI
16:50 フランス6月製造業PMI
16:55 ドイツ6月製造業PMI
17:00 ユーロ圏6月製造業PMI
17:30 英国6月製造業PMI
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値 ☆
22:45 米国6月製造業PMI
23:00 米国6月ISM製造業景況指数
23:00 米国5月建設支出

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月20日(月)
ドル円は日経平均が金曜高値を超えた直後から一転大幅安となった動きを見て同様にドル買いからドル売りへと転じました。欧州市場序盤には134.53レベルまで水準を下げていましたが134円台半ばでは押し目買いを狙う向きも多く、引けにかけては135円台を回復しました。ただ米国が休日だったこともあって比較的静かな一日となりました。

6月21日(火)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの、欧州市場に入り日米金融政策の方向性の違いから改めてドル円で買いが入ったことに加え、ECB関係者からタカ派な発言が続いたことからユーロ円の買いも目立ち年初来高値を上回る動きとなりました。その後も引けにかけてドル買いが続き136.71レベルへと高値を更新し、そのまま高値圏での引けとなりました。

6月22日(水)
ドル円は値幅は1円程度あったものの高値圏で上値が重たい程度で方向感がいまひとつはっきりしない一日となりました。ただ、テクニカルには136円台半ばが短期的な上値の目処となっていたこともあって、達成感もあって短期的には136.71レベルが高値となってきました。

6月23日(木)
ドル円は東京前場から上値が重たい展開となっていましたが、首相と黒田日銀総裁の会談で円安懸念を共有したことも材料とされました。欧州市場以降は米金利が低下した動きもドル円の下げ要因となりました。NY前場には10年債利回りが3%の大台目前まで水準を下げ、ドル円も134.27レベルまで水準を切り下げましたが、引けにかけては根強い買いも見られ135円に近づきました。

6月24日(金)
ドル円は東京市場では上値の重たい展開が続き、欧州市場序盤には米金利低下も手伝って134.35レベルの安値をつけました。しかし前日安値を試しきれず上昇に転じると強い株式市場の動きを見てドル円、ユーロ円での円売りとなりました。NY後場には135.40レベルまで買われ、若干押しての週末クローズとなりました。

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