ドル高・円安基調続くも上値は重そう(週報6月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルがさらに続伸。週央には一時136.71円まで値を上げるなど、週足も4週続けての陽線引けとなっている。

ドル高・円安基調続くも上値は重そう(週報6月第4週)

ドル高・円安基調続くも上値は重そう

〇先週のドル円、ドルがさらに続伸し週央に一時136.71まで値を上げる
〇その後調整の動きに押され週間安値134.27まで値を崩すも、週足は4週続けて陽線引け
〇欧州や豪州で複数要人から金融引き締め発言、パウエル議長は積極的な利上げ姿勢示す
〇今週は1-3月期のGDP確報値や5月PCEデフレーターなどの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、133.30-136.80、先週高値136.71はかなり強い抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルがさらに続伸。週央には一時136.71円まで値を上げるなど、週足も4週続けての陽線引けとなっている。

前週末は、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが1年半ぶりに2万ドルの大台を割り込み、週明け金融市場への波及的影響が懸念されていた。また、実施されたフランス下院選決選投票で「与党連合は過半数割れの公算」などと報じられ一部で話題に。
そうした状況下、ドル/円は134.90円前後で寄り付いたものの、週明けはNY休場になったこともあり全般静か。しかし、休場明けからドルがジリジリ買い進められると、ストップロスを巻き込みつつ、それまでの年初来高値135.58円を突破し136円台へ。一時136.71円のドル高値を示現したものの、高値を付けたあとは調整と思しき動きに押される展開に。週間安値134.27円まで値を崩したのち、週末NYは小戻した135.20円レベルで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「各国金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、先々週は米英そしてスイスが政策金利の引き上げに動くなか、先週は欧州や豪州で複数要人から金融の引き締めを取り沙汰する発言が聞かれていた。例えば欧州は、ECB総裁自身が7月と9月の理事会で政策金利を引き上げる方針を明言したうえ、豪中銀も総裁が「来月の会合では0.25%か0.50%の利上げを議論する」と述べ、利上げに意欲をみせていたという。なお、そうしたなか半期に一度の米議会証言が実施され、パウエルFRB議長は「景気後退の可能性はある」と認めつつも、足もとの米経済は強いという認識を示すとともに、積極的な利上げを続ける姿勢を示したことが明らかに。さらには、「利上げを背景とした外国為替市場でのドル高にインフレを緩和する効果がある」と述べ、実質的なドル高容認コメントも発していたようだ。

対して後者は、海上保安庁が「中国船2隻、尖閣周辺で2日連続の領海侵入」と発表したり、台湾国防部も「中国軍機22機が今週2度目の防空識別圏に侵入した」ことを公表したりと威嚇行為とみられる「力による現状変更」へ行動がさらに活発化してきた。そうしたなか、開催されたBRICS首脳会議で、習国家主席が米主導で結束を強めるNATOを痛烈批判するとともに、ロシアを中心にBRICSでの結束を呼び掛け、日米欧などへの対抗姿勢を改めて明らかにしている。

<< 今週の見通し >>

前述したように、先週のドル/円週足は4週続けてとなる陽線引け。また、週のザラ場ベースで一時136.71円まで値を上げ、再び年初来高値を更新している。リスクがドル高方向に高いことは間違いなく、2000年代初となる140円に向けたドル高進行があっても不思議はない。ただ、16日安値131.49円を起点としても、目先高値まで5円を超える上昇をたどっており、先週も週央以降はやや調整をうかがわせる相場付きだった。ドル高基調は変わらないものの、今週も調整と思しき動きが続く可能性を否定できない。

さすがの黒田日銀総裁も、ここ最近の円安については「経済への影響から望ましくない」などとトーンを変更させてきたが、現行の大規模な金融緩和策を維持する方針は変えてない。つまり、米欧英などが積極的な金融引き締めに意欲を見せるなか、日銀だけは特異な動きを続けており、日米などの金利差はさらなる拡大を予想せざるを得ない状況だ。為替市場においても、基本的なドル高傾向はまだしばらく続くと考えられる。そうしたなか、やや気掛かりなのは性急な米利上げなどによる景気減速懸念。米株安などを含め、懸念がさらに広がるようだと、調整の動きも強まることになりかない。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円週足は4週連続の陽線になったものの、実体部はわずか30ポイントにととまるなど、むしろドルの上げ渋り、上値の重さを感じさせるものになった。ドル高基調は変わらないが、ドルの高値を連日のように更新していく展開は予想しにくい。時間調整である「ドル高値圏で強保ち合い」か、もしくは価格調整から、16日安値131.49円を意識したいま一段のドル安進行にも注意しておきたいところだ。

今週は、1-3月期のGDP確報値や5月のPCEデフレーターなどの米経済指標が発表されるほか、米国を中心とした通貨当局者の講演など発言機会も多い。またG7首脳会談、NATO首脳会談といった重要国際会議ならびに、並行して行われる出席者による2国間会談などにも要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、133.30-136.80円。ドル高・円安については先週示現した高値136.71円はかなり強い抵抗。上抜けると再び軽い青天井も。
対してドル安・円高方向は、先週安値134.27円が最初のサポートで、その少し下には16日安値131.49円を起点とした上げ幅の半値押し(134.10円)が位置する。なお、61.8%押しは133円半ばだ。

ドル高・円安基調続くも上値は重そう

ドル円日足

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