ドル円見通し 6月16日への急落からV字反騰で一段高するもやや乱調な展開(週報6月第4週)

ドル円は、やや乱調ながらも突っ込んだところを買い拾われて一段高を繰り返しており、この流れはまだ暫く続きそうな印象だ。

ドル円見通し 6月16日への急落からV字反騰で一段高するもやや乱調な展開(週報6月第4週)

ドル円見通し 6月16日への急落からV字反騰で一段高するもやや乱調な展開

〇ドル円、6/22に136.71をつけるも、翌日には134.25に失速、135円台に戻して越週するやや乱調な展開
〇NYダウ週末は823ドル高、大幅安のリバウンドの範囲にとどまり、下落基調継続か
〇米長期債利回り上昇基調継続の可能性あり、日米金利差を背景とした歴史的円安も続きやすい状況
〇134円台後半までで確りできれば上昇余地あり、135.70超えから136円台、6/21高値136.71を試す
〇134.25を割り込む場合、133円前後への下落を想定、下支えが効かない場合131.48へ下値目途切り下げ

【概況】

ドル円は6月15日朝高値135.58円から6月16日深夜安値131.48円まで凡そ2日間に4.10円の急落調整が入ったところから丸1日で下げ幅を解消するV字反騰に入り、6月22日には136.71円を付けて6月16日深夜安値からは5.23円の上昇幅となった。1998年8月11日天井の147.63円から調整期に入ったところの1998年10月以来24年ぶりの136円台到達だったが、その後は伸びずに6月22日と23日のパウエル米連銀議長による米上下院での半期議会証言におけるリセッション懸念への言及から米長期債利回りが低下したことで、6月23日夜には134.25円まで2.46円の下落へと失速した。24日の日中は新たな安値更新を回避して25日未明には135円台序盤まで戻して週を終えたが、6月16日の急落や6月23日の下落など、やや乱調な展開が続いている。

【NYダウは大幅続伸だが、景気減速懸念で不透明感も】

6月24日のNYダウは前日比823.32ドル高と大幅上昇した。1月5日に史上最高値3万6952.65ドルを付けたところから下落基調に転じて6月17日には2万9653.29ドルまで安値を切り下げてきたが、3万ドル割れに対する値頃感から買い戻されている印象だ。
しかしパウエル米連銀議長が22日と23日の上下院における議会証言でリセッション入りへのリスクに言及したことで金融引き締めによる米景気鈍化への懸念が強まっていることから大幅下落に対するリバウンドの範囲にとどまり下落基調はさらに続くのではないかと懸念される。

6月24日に国際通貨基金(IMF)は2022年の米国GDP伸び率予想を4月時点の3.7%から2.9%へと大幅に下方修正し、2023年も同2.3%から1.7%へと下方修正した。また失業率も現在の3.6%から2023年10-12月期には4.4%、2024年には4.8%まで悪化すると予想した。
6月24日に発表されたミシガン大消費者信頼感指数の6月確報値は速報の50.2から50.0へ下方修正されて5月の58.4から大幅に悪化して過去最低となった。

【米長期債利回りの調整的低下継続か、反騰入りか試す】

米長期金利の指標である10年債利回りは6月24日に前日比0.05%上昇の3.14%となった。米連銀による大幅利上げを背景に6月11日に3.50%を付けて2018年10月の3.26%を超えて2011年4月以来24年ぶりの高水準に達したが、6月16日未明にFOMCが0.75%利上げを決定して7月も0.50%か0.75%の大幅利上げを継続するとしたことを織り込んでいったん調整的な低下に転じた。
金融緩和政策から抜け出せない日銀とのスタンスの差が日米長期金利差に反映してきたことでドル円は歴史的な大上昇を続けているところだが、2月後半から3月序盤にかけてや5月序盤から5月末にかけて調整的な低下を入れながら一段高を繰り返してきたことと、米連銀は年末にかけて大幅利上げを継続してゆく公算であることを踏まえれば、米長期債利回りの上昇基調はさらに続く可能性があり、日米金利差を背景とした歴史的な円安もまだ続きやすい状況にあることは変わりがないと思われる。

米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は6月24日の講演で7月の0.75%利上げを支持し、年末時点の政策金利の中立水準を3.10%程度と想定していると述べた。
6月24日時点の2年債利回りは3.07%、3か月物TBレートはまだ1.69%に過ぎないことを踏まえれば、今後は短期金利の上昇と2023年以降の利上げ到達水準を予想しながら2年債や10年債の利回り上昇余地もまだあるのだろうと思われる。

【ドル円の日足はRSIが弱気逆行、ウェッジ型形成の気配も】

【ドル円の日足はRSIが弱気逆行、ウェッジ型形成の気配も】

ドル円は5月9日高値131.34円から5月24日安値126.35円までの4.99円の下落を解消してダブル天井破り型の上昇に入って136円台まで駆け上がってきた。6月16日夜にかけて凡そ2日間で4円を超える急落が入ったところも翌日の丸1日で切り返して一段高しており、やや乱調ながらも突っ込んだところを買い拾われて一段高を繰り返しており、この流れはまだ暫く続きそうな印象だ。
概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルで見れば、5月24日安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたところであり、前回のサイクルトップである5月9日からはまだ2か月弱を経過したところのため日柄的には上昇余地が残っていると思われる。

しかし、一方では相対力指数が5月9日から6月15日への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行型が見られ、6月15日から6月21日への一段高に際してもさらに指数のピークが切り下がって連続的な弱気逆行が見られるため、徐々に上値が重くなってきている印象も出ているところだ。
やや大きめの下落を入れつつも高値更新を繰り返しながら徐々に騰落レンジが狭まる場合は上昇ウェッジ型(くびき型)を形成して行き詰まるケースもあるため、日足の相対力指数が50ポイント以上の水準を維持するうちは逆行破りにより勢いを増すケースもあり得るが、50ポイントを割り込む場合は5月9日から5月24日にかけて調整が長引いて一目均衡表の26日基準線を割り込むような展開になっても不思議ないところと注意したい。
中長期的には歴史的大上昇の継続であり、高値更新から140円台、さらに1998年8月天井の147.63円等を試す可能性のある展開とし、短期的にはやや大きめの調整安も入りつつ、大きく下げたところはバーゲンハント買いが入って次の上昇期の起点を形成するというイメージで考えたい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月23日夜安値134.25円を下値支持線、135.70円を上値抵抗線とする。
(2)134円台後半までで確りできれば上昇余地ありとし、135.70円超えからは136円台回復、さらに6月21日高値136.71円を試すとみるが、136円台後半から137円台序盤では高値警戒感も出ていったん下げやすいところとみる。
(3)134.25円を割り込む場合は6月22日高値からの下落が二段下げ型に発展するため、133円前後への下落を想定する。133.20円以下は反発警戒圏とするが、株安・米長期債利回り低下が進んで133円前後では下支えが効かない展開となる場合は下げも厳しくなり6月16日夜への急落時安値131.48円まで下値目途が切り下がる可能性も浮上すると注意する。

【当面の主な予定】

6/27(月)
G7首脳会議(6/28まで、ドイツ) ECBフォーラム(6/29まで、ポルトガル)
08:50 日銀金融政策決定会合(6月16-17日分)の主な意見
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI改定値 (速報 102.9)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI改定値 (速報 96.8)
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前月比 (4月 -3.9%、予想 -3.8%)
23:00 (米) 5月 住宅販売保留指数 前年同月比 (4月 -11.5%)
26:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演

6/28(火)
G7首脳会議(最終日)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -26.0、予想 -27.3)
17:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
17:30 (欧) レーンECB理事、講演
18:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
19:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
21:30 (米) 5月 卸売在庫 前月比 (4月 2.2%)
22:00 (米) 4月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (3月 1.5%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 21.2%、予想 21.1%)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 106.4、予想 100.0)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 -9)
25:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、インタビュー応答
26:00 (米) 財務省7年債入札

6/29(水)
NATO首脳会議(6/30まで、マドリード)
08:50 (日) 5月 小売業販売額 前年同月比 (4月 2.9%、予想 4.0%)
10:30 (豪) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%、予想 0.4%)
14:00 (日) 6月 消費者態度指数・一般世帯 (5月 34.1、予想 34.8)
17:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 105.0、予想 103.0)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感確定値 (速報 -23.6)
19:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
20:00 (米) MBA住宅ローン申請指数 前週比 (前週 4.2%)

21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前月比 (5月 0.9%、予想 0.4%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 7.9%、、予想 7.9%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 -1.5%、予想 -1.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 3.1%、予想 3.1%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 5.1%、予想 5.1%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、パネル討論会
22:30 (米) パウエル米連銀議長、パネル討論会
22:30 (英) ベイリー英中銀総裁、パネル討論会
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会
26:05 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベント

6/30(木)

OPECプラス閣僚級会合
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前月比 (4月 -1.5%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 5月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (4月 -4.9%、予想 4.2%)
10:00 (NZ) 6月 ANZ企業信頼感 (5月 -55.6)
10:30 (中) 6月 国家統計局製造業PMI (5月 49.6、予想 50.3)
14:00 (日) 5月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (4月 2.2%、予想 1.6%)
15:00 (英) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -73億ポンド、予想 -398億ポンド)
15:00 (英) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
15:00 (英) 1-3月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 8.7%、予想 8.7%)
15:00 (独) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 1.8%、予想 1.5%)
15:00 (独) 5月 輸入物価指数 前年同月比 (4月 31.7%、予想 31.5%)
15:00 (独) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -5.4%、予想 0.8%)
15:00 (独) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 2.5%、予想 -1.8%)
15:00 (英) 6月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (5月 0.9%、予想 0.5%)

16:55 (独) 6月 失業者数 前月比 (5月 -0.40万人、予想 -0.50万人)
16:55 (独) 6月 失業率 (5月 5.0%、予想 5.0%)
18:00 (欧) 5月 失業率 (4月 6.8%、予想 6.8%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 0.4%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCE) 前月比 (4月 0.9%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 6.3%、予想 6.4%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (4月 4.9%、予想 4.8%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件、予想 23.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 131.5万人)
22:45 (米) 6月 シカゴ購買部協会景況指数 (5月 60.3、予想 58.5)

7/1(金)
休場、香港、カナダ
07:45 (NZ) 5月 住宅建設許可件数 前月比 (4月 -8.5%)
08:30 (日) 6月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (5月 1.9%)
08:30 (日) 5月 失業率 (4月 2.5%)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (1-3月 14、予想 13)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業製造業先行き (1-3月 9、予想 13)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (1-3月 9、予想 13)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (1-3月 7、予想 17)
08:50 (日) 4-6月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (1-3月 2.2%、予想 8.8%)
10:45 (中) 6月 財新製造業PMI (5月 48.1)

16:55 (独) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.0)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.0)
17:30 (英) 6月 製造業PMI改定値 (速報 53.4)
18:00 (欧) 6月 HICP消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 8.1%)
18:00 (欧) 6月 HICP消費者物価指コア指数速報値 前年同月比 (5月 3.8%)
22:45 (米) 6月 製造業PMI改定値 (速報 52.4)
23:00 (米) 6月 ISM製造業景況指数 (5月 56.1、予想 55.8)
23:00 (米) 5月 建設支出 前月比 (4月 0.2%、予想 0.7%)


注:ポイント要約は編集部

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