『一時3週間ぶり安値圏へ下落。来週は南アCPIがメインイベント』
〇今週の南ア円、円独歩安、南ア指標好調に週央8.53まで上昇
〇買い一巡後日銀の政策修正期待に週末にかけ8.18まで反落、日銀緩和継続で8.42に戻す
〇南ア円今週の下落でテクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズも世界的金融引き締め、中国経済減速懸念等、南ア円下落材料増える
〇来週は南アCPIに注目、追加利上げ観測が南ア売りにつながる動きに注意
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.25ー8.65
今週のレビュー(6/13−6/17)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.48円で寄り付いた後、@日本とのその他各国との金融政策格差を背景とした円独歩安の継続(ドル円・クロス円上昇→南アランド円上昇)や、A南ア4月小売売上高(結果+3.4%、予想+1.7%、※前年比)の良好な結果、BパウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる可能性あり」との慎重な発言(過度なタカ派懸念後退→米金利低下→株式市場下げ止まり→リスク選好ムード)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.53円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、C世界的な金融引き締めムードを嫌気した過剰流動性相場の逆流懸念(世界的なリセッション懸念→株式市場急落→新興国通貨下落)や、D日銀による金融緩和の修正期待(世界的な金融引き締めにつられて日銀が金融緩和を部分的に修正するとの思惑→円ショート解消の動き)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.18円まで反落しました。もっとも、一目均衡表雲上限に続落を阻まれると、E日銀金融政策決定会合にて大規模金融緩和政策の継続が決定されたこと(上記Dの期待剥落→円売り再開)などが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/18午前4時10分現在)では、8.42円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(6/20−6/24)
南アランドの対円相場は6/9に記録した約4年ぶり高値8.81円(2018年5月28日以来)をトップに反落に転じると、週末にかけて、約3週間ぶり安値となる8.18円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(週末海外時間に持ち直すも戻りは鈍い)。ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な金融引き締めムードの高まり(世界的な長期金利上昇→過剰流動性相場逆流懸念→新興国から米国への資金流出懸念)や、A南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア5月SACCI景況感指数は2020年9月以来の低水準を記録。慢性的な電力不足と高止まりする失業率も景気に下押し圧力)、B南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念(中国上海市を巡るロックダウンの再開懸念)、
C南ア財政収支の悪化懸念(大規模洪水被害に係る再建費用や税免除措置延長に伴う財政支出拡大)、Dコモディティ価格の冴えない動き(南アフリカの主要産品であるプラチナ価格などの軟調推移→交易条件悪化懸念)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。こうした中、来週は6/22に予定されている南ア5月消費者物価指数に注目が集まります。これまでは、南アフリカ国内におけるインフレ加速が南ア中銀の追加利上げ観測を通じて南アランドを下支えする構図が続いてきましたが、ここ最近は「スタグフレーション懸念が燻る中での追加利上げ→実体経済への下押し圧力→南アランド売り」の波及経路が意識され易くなってきているため、来週は6/22に発表される南ア5月消費者物価指数を起点に南アランド売りが加速する展開に注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.25ー8.65
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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