トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調継続とFOMC通過後の円高で一段安(22/6/17)

トルコリラ円の6月16日は7.80円から7.59円の取引レンジ、17日早朝の終値は7.64円で前日終値の7.75円からは0.11円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調継続とFOMC通過後の円高で一段安(22/6/17)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安基調継続とFOMC通過後の円高で一段安

〇トルコリラ円、リラ安基調に急激な円高が重なり6/16夜7.59へ急落
〇6/9以降の下げ渋り持ち合いから転落し4/28高値から二段目の下げ、先安感強まった状況
〇ドル/トルコリラ、全般的なドル安基調乗れず6/16日夜17.32へ安値更新、終値ベースも史上最安値更新
〇主要国の金融引き締め続く中、利上げを拒むトルコの姿勢はリラ安が収まりにくい状況続けやすいか
〇7.70手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.70を超える場合は7.73から7.75への上昇を想定する
〇7.59割れからは、7.50台前半(7.55から7.50)への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月16日は7.80円から7.59円の取引レンジ、17日早朝の終値は7.64円で前日終値の7.75円からは0.11円の円高リラ安だった。
6月16日未明の米FOMCが0.75%の超大幅利上げを決定したものの想定内として当面のドル買い材料が一巡したと市場は受け止めてドル円は下落に転じたが、16日夜はスイス中銀が予想以上の利上げを決定、英中銀も予想通りではあったが5会合連続の利上げを決定したことでFOMC通過後のドル安が継続してドル円は一時132円を割り込むところまで下落した。一方でドル/トルコリラは全般のドル安には乗れずに下落基調を継続したため、トルコリラ円はリラ安基調に急激な円高が重なったことで16日夜に7.59円へ急落した。
16日深夜からはドル円が132円台回復まで戻したことで17日午前序盤には7.67円まで反発しているが、6月9日以降の下げ渋り持ち合いから転落したことにより先安感が強まった状況と思われる。

【ドル/トルコリラは終値ベースの最安値更新続く】

ドル/トルコリラの6月16日は17.32リラから17.08リラの取引レンジ、17日早朝の終値は17.30リラで前日終値の17.26リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
5月26日のトルコ中銀による5会合連続の政策金利据え置き、6月3日の5月消費者物価の前年比70%超えとなったことでのインフレ深刻化、6月6日のエルドアン大統領による利下げ政策継続演説などから1ドル17リラの壁を超えるリラ安進行となったが、1ドル17.30リラを攻防点としてリラ安にはややブレーキもかかり、6月9日にトルコ財務省によるいくつかのリラ防衛策発表をきっかけにいったん16.76リラへ反発する場面もあった。しかしリラ安基調は変わらずとしてその後も12月23日以降の安値を更新、終値ベースでの史上最安値を更新してきた。
6月16日も未明のFOMCによる0.75%利上げを通過して当面のドル買い材料を消化したとして全般の流れはドル安へと変わったもののドル/トルコリラの反応は鈍く、16日夜には17.32ドルまで安値を更新、終値ベースでも史上最安値更新となった。

【主要国の金融引き締め続く】

6月16日未明の米FOMCにおいて0.75%の利上げが決定されたが、16日もスイス中銀、英中銀が利上げを決定している。豪中銀やNZ中銀も連続利上げ中であり、新興国においてもルーブル暴落が一巡したことでロシアがいったん大幅利上げをした後の修正で元の水準まで利下げしていることや感染拡大問題を抱えて金融緩和を続けている中国を除けば自国通貨安とインフレ抑制のために新興国は利上げ期に入っている。
FOMCの超大幅利上げ決定を市場は当面してのドル買い材料消化としたが、米連銀による利上げは7月以降も0.50%利上げを複数回繰り返す流れであり、欧州もロシア制裁による天然ガス高騰などによるインフレが収まらず今後も利上げ継続で進むとみられ、出遅れてきたECBも7月からは利上げに入る。そうした中で利上げを拒むトルコ中銀及びエルドアン政権の姿勢は各種リラ防衛的な政策によってもリラ安がなかなか収まらない状況を続けやすいと思われる。1ドル17.30リラの攻防は続いているものの、徐々に突破され始めている。

【6月9日からの三角持ち合い下放れ、4月28日高値から二段目の下げ】

トルコリラ円は3月11日安値7.76円から4月28日高値8.87円までの間を歴史的なドル円の大上昇に押し上げられて上昇したが、その後は円安よりもリラ安が勝る状況となったことで5月26日安値7.71円まで下落して3月11日安値を割り込んだ。
底割れしたことにより12月23日高値からの下落波動は二段目の下げに入っていたが、円安基調が続く中でいったん8円前後まで戻してから再び底割れを試しつつ底割れを回避したため、6月16日の日中時点ではダブル底形成から反騰入りするか、ダブル底やブレから一段安に入るのかという瀬戸際にあった。また6月9日安値7.73円の後は6月13日夜安値7.74円、6月16日早朝安値7.73円と底割れを回避しつつも6月10日未明高値の後は戻り高値が切り下がっていたために、6月9日以降は下値支持線フラットで上値抵抗線が切り下がるレンジ縮小型の三角持ち合いとなっていた。

しかし6月16日夜はドル円が一段安となり対ドルでのリラ安も継続したために持ち合いを下放れ、ダブル底形成失敗による一段安へと進んだ。この結果、4月28日高値からの下落は5月26日安値までを一段目とし、6月7日高値から底割れに至ったために二段目の下落期入りとなった。既に対ドルでは終値ベースでの史上最安値更新が続いている状況にあるが、対円でも12月23日の史上最安値に迫る展開へ進みやすくなっている。
本日は日銀金融政策決定会合があるため、市場が日銀による円安ブレーキには効果がないとして円安を勢いよく再開する場合はトルコリラ円も円安による反騰入りとなる可能性はあるが、円安が勢い付かない場合でドル高リラ安が継続する場合及び円高が継続してドル高リラ安も継続の場合は下げ足が早まると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、6月15日午前高値からの反落で16日早朝には6月13日夜安値をわずかに割り込んで6月日安値に並んだため、16日午前時点では6月9日夜安値を割り込む場合は6月15日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定するとした。
6月16日夜に底割れから大幅下落したが、16日深夜安値からは0.05円以上の反発となっているため、16日夜安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて16日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は20日午前から22日午前にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあると注意し、16日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして21日夜から23日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月16日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているが、16日深夜からの反騰により遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。このため遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇も勢い付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月16日深夜に20ポイント割れへ低下してから40ポイント台へ戻している。40ポイント以上での推移中は60ポイント前後を目指す上昇を想定するが、35ポイント割れからは下げ再開とみて再び20ポイント前後へ低下するとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.59円を下値支持線、7.70円を上値抵抗線とみる。
(2)7.70円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.70円を超える場合は7.73円から7.75円への上昇を想定する。7.75円前後は反落警戒とし、その後に7.65円を割り込む場合は下げ再開とみるが、7.65円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.59円割れからは7.50円台前半(7.55円から7.50円)への下落を想定する。7.52円以下は反騰注意とするが、7.59円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月16日 
 週次 外貨準備高 6/10時点 グロス (6/3時点 614.6億ドル、結果 607.9億ドル)
 週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/3時点 105.2億ドル、結果 81.5億ドル)

6月17日
 16:00 トルコ中銀年末消費者物価上昇率予想値 (5月 57.92%)
6月20日
 17:00 5月 観光客数 前年同月比 (4月 225.6%)
 23:30 5月 中央政府債務 (4月 312.5億リラ)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 67.6)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)

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