トルコリラ円見通し ドル/トルコリラが膠着状態の中、FOMC通過後の円高で下落(22/6/16)

トルコリラ円の6月15日は7.86円から7.73円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.75円で前日終値の7.84円からは0.09円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル/トルコリラが膠着状態の中、FOMC通過後の円高で下落(22/6/16)

ドル/トルコリラが膠着状態の中、FOMC通過後の円高で下落

〇トルコリラ円、ドル円での円高を見て15日朝高値7.86から16日早朝安値7.73まで下落
〇ドル/トルコリラは16日早朝終値17.26で前日終値の17.26リラと変わらず
〇利上げできない日銀と大統領の利下げ政策に支配されたトルコ中銀が通貨の弱さを競っている状況
〇7.73割れからは7.60台後半への下落を想定、7.67以下は反騰注意
〇7.83を超える場合は7.85から7.87への上昇を想定、7.85以上は反落警戒圏

【概況】

トルコリラ円の6月15日は7.86円から7.73円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.75円で前日終値の7.84円からは0.09円の円高リラ安となった。
5月26日安値7.71円からの反騰で6月4日未明と7日午後に8円を試したものの届かずに6月9日夜に7.73円へ下落し、9日にトルコ財務省が国営企業売上連動型の新型国債を発行してクーポンで最低利回り保証を行うなどのリラ防衛策を発表したことをきっかけとしていったんリラ買いとなり6月10日未明に7.98円へ反騰し、その後は買い一巡で戻り高値を切り下げつつ元の水準まで押し返されたが、新たな安値更新を回避して持ち合いに入った。

6月15日はドル/トルコリラが17.30リラ前後を支持線として膠着状態に入る中でドル円が午前高値で135.58円を付けて昨年1月底以降の最高値を更新してから16日未明のFOMCによる利上げ発表後に当面のドル買い材料消化として133.49円まで下げたため、トルコリラ円は円高を見て15日朝高値7.86円から16日早朝安値7.73円まで下落した。6月9日安値と同値としたところでひとまず下げ渋っているところだが、米連銀の超大幅利上げを材料一巡としてドル円の下落が数日続くのか、ポジション調整終了でドル高基調を回復してゆくのか16日夜にかけての動きで見定める必要があると思われる。

【ドル/トルコリラは1ドル=17.30リラを壁とした小動き続く】

ドル/トルコリラの6月15日は17.30リラから17.05リラの取引レンジ、16日早朝の終値は17.26リラで前日終値の17.26リラと変わらずだった。
高インフレが収まらない中でトルコ中銀が利上げを行わずに政策金利据え置きを続け、6月6日にはエルドアン大統領が利下げ政策は継続すると強調する演説を行ったこと等でリラ売りが加速して1ドル17リラを超えるリラ安が進行してきたが、6月9日にトルコ財務省によるいくつかのリラ防衛策発表をきっかけにいったん16.76リラへ反発してから再び17リラ台序盤へと下落するなど乱高下を見せ、6月13日からは17.30リラ前後を新たな壁として17.20リラ以下では戻り売りにつかまる持ち合いに入った。
6月15日は16日未明のFOMCへ向けて全般ドル高基調での推移となる中、15日夜に17.30リラ(ベンダーによっては17.31リラ)へと安値を切り下げたが、FOMC通過後にドル高一巡でユーロ等が戻しに入ったことで対ドルでのリラもやや買い戻し優勢となった。16日午前は17.24リラを挟む水準で方向感を探る動きとなっている。

【主要国での利上げが加速する中、金融緩和継続による円安とリラ安の弱さ比べ】

6月16日未明の米FOMCにおいて0.75%の利上げが決定された。インフレ進行への対処として昨年11月から引き締め姿勢へと転換し、今年3月に0.25%の利上げを決定、5月には通常の倍となる0.50%の大幅利上げを決定して6月と7月も0.50%ずつの大幅利上げを継続する姿勢を示していたが、その後もインフレの深刻化が収まらないとして今回は異例の0.75%利上げという超大幅利上げを決定した。また7月についても0.50%ないし0.75%の利上げをする意向も示した。6月14日時点でWSJ紙が0.75%利上げがあり得るとの報道をしたこともあり発表後はイベント通過でドル安反応へ向かったが米連銀による利上げはしばらく継続してゆく。

6月16日は英中銀の金融政策決定会合があり政策金利は現行の1.00%から1.25%へと引き上げられる公算であり、先のECB理事会においても7月からの利上げ開始方針が示されている。豪中銀やNZ中銀、新興国の主要中銀も利上げを継続しており、昨年までのパンデミック対策としての金融緩和による景気押し上げからインフレが進行し過ぎているとしての金融引き締めへと主要国のスタンスは変わっている。
感染拡大による影響から脱却できていない中国、低成長にとどまり日米金利差拡大による円安が加速しても金融緩和から抜け出せない日銀と共にトルコ中銀も利上げを拒絶する姿勢が続いている状況だが、感染対策のための規制を緩和し始めれば一挙に景気拡大へと向かう地力のある中国は別格として、利上げできない日銀とエルドアン大統領による利下げ政策に支配されたトルコ中銀は、ある意味で通貨の弱さを競っている状況にあるといえる。6月17日には日銀金融政策発表もあり、円の弱さとリラの弱さの綱引きが暫く続きそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月13日夜の下落で6月9日夜安値割れを回避して戻したため、6月15日午前時点では6月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。
6月15日午前へ戻り高値を切り上げたところから下落に転じて16日早朝に6月13日夜安値をわずかに割り込んで6月9日夜安値に並んだところのため、6月9日夜安値を割り込む場合は6月15日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換は6月15日午前高値を上抜き返すところからとする。

60分足の一目均衡表では、6月16日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落している。早朝からはやや戻しているが先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月16日早朝に30ポイント台へ低下したところから50ポイント台へ戻している。55ポイントを超えて続伸に入れば60ポイント台中盤への上昇を想定するが、50ポイント台を維持できずに40ポイントを割り込むところからは下落再開とみて20ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.73円を下値支持線、7.83円を上値抵抗線とみる。
(2)7.80円から7.83円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいところとし、7.73円割れからは7.60円台後半(7.70円から7.65円)への下落を想定する。7.67円以下は反騰注意とするが、7.75円以下での推移なら17日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.83円を超える場合は7.85円から7.87円への上昇を想定する。7.85円以上は反落警戒圏とみるが、7.80円以上での推移なら17日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月16日 週次 外貨準備高 6/10時点 グロス (6/3時点 614.6億ドル)
        週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/3時点 105.2億ドル)
6月17日
 16:00 トルコ中銀年末消費者物価上昇率予想値 (5月 57.92%)
6月20日
 17:00 5月 観光客数 前年同月比 (4月 225.6%)
 23:30 5月 中央政府債務 (4月 312.5億リラ)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 67.6)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)


注:ポイント要約は編集部

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