トルコリラ円見通し ドル円の一段高で底割れを回避して持ち直しを図る(22/6/15)

トルコリラ円の6月14日は7.84円から7.74円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.84円で前日終値の7.78円からは0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段高で底割れを回避して持ち直しを図る(22/6/15)

トルコリラ円見通し ドル円の一段高で底割れを回避して持ち直しを図る

〇トルコリラ円、6/13夜7.74まで下げるが底割れ回避、ドル円一段高で持ち直し継続
〇リラ安防衛策発表で10年債利回り18%台まで一時低下、長期金利抑制に効果
〇対ドル17.30新たな防衛ラインに、安値圏での膠着状態
〇ドル円騰落、短期的にリラ円動静左右しやすい環境
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとし、7.87超えからは7.90円台序盤を試すとみる
〇7.74割れからは7.70前後へ向かう下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の6月14日は7.84円から7.74円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.84円で前日終値の7.78円からは0.06円の円安リラ高だった。
5月26日安値7.71円からの反騰で6月4日未明と7日午後に8円到達に挑戦したものの届かずに6月9日夜に7.73円まで反落したが、6月9日に国営企業売上連動型の新型国債を発行してクーポンで最低利回り保証を行うなどとの財務省方針発表でいったんリラ買いとなり6月10日未明に7.98円へ反騰、買い一巡から6月10日午後と13日夜に7.74円まで下げたものの底割れを回避して三角持ち合い型となっていた。
6月14日はドル/トルコリラが17.30リラを壁として膠着状態となる中、ドル円が6月13日夜安値133.58円からの反騰で15日早朝には135.58円へ上昇して6月13日午前高値135.17円を超える一段高となったため、トルコリラ円は円安効果により底割れ回避からの持ち直しを継続した。

【ドル/トルコリラの新たな壁は1ドル=17.30リラ】

ドル/トルコリラの6月14日は17.29リラから17.19リラの取引レンジ、15日早朝の終値は17.26リラで前日終値の17.25リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。ベンダーによっては17.30リラをつけている。
5月5日の4月CPI発表をきっかけとしてリラ売りが勢い付いて5月9日に1ドル15リラの壁を突破し、5月26日のトルコ中銀による高インフレ下での政策金利据え置き決定、6月3日の5月CPIの上昇、6月6日のエルドアン大統領による利下げ政策維持演説等から1ドル17リラも超えるリラ安進行となってきた。
6月9日に利回り保証付きの新型債発行報道からいったんリラの買い戻しとなり16.76リラへ反騰して6月10日までは乱調な展開だったものの、戻したところは売られて17リラ台序盤の元の水準へと押し返され、週明けの13日からは1ドル17.30リラ前後が新たな壁となって17.20リラ前後では売られ17.30リラ前後で買われる小幅なレンジ相場につかまり始めている。
終値ベースでは12月17日の16.41リラが従来の史上最安値だったが、6月2日に16.45リラを付けて最安値更新に入り、6月14日終値も終値ベースでの最安値更新となった。

【リラ安防衛策を見てドル/トルコリラは安値圏での膠着状態】

6月9日にトルコの財務省は国営企業収益に連動するリラ建て国内債券を発行し、クーポンによる利回り保証を行うと発表した。またトルコ中銀は国内銀行に対して保有する消費者ローンに対する準備率を10%から20%に引き上げ、ローンの満期利率制限を導入するとし、外貨預金についての準備金も3%から10%の範囲で保有を義務付けた。

これら一連の政策発表をきっかけとしてリラ建て国債が買われてトルコ10年債利回りは6月9日に26%台へ上昇していたところから6月14日には一時18%台まで低下しており、リラ安を反映した長期金利上昇の抑制効果を見せている。銀行のリラ保有を増やすことでリラ安防衛に寄与する一方、財務省による利回り保証等は新たな財政支出の拡大となるため、エルドアン政権は補正予算を組むことになるだろうとみられている。
これら一連の動きを見ながら対ドルでは1ドル17.30リラ前後が新たな防衛ライン的な下値支持線として機能し始めているが、これらの政策効果が長続きするのかという点に市場は懐疑的であり、17.30リラを突破してリラ安が進み始めることへの懸念も大きいと思われる。
ひとまず対ドルでのリラが膠着状態に入っていることで、短期的にはドル円の騰落がトルコリラ円の動静を左右しやすい環境と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月9日夜に一段安したところから7.98円へ急伸し、その後に再び急落していたため、6月10日午前時点では6月9日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたものの既に戻り一巡から新たな弱気サイクル入りしているとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定した。
6月13日夜安値からの持ち直しが続いているため、ボトム形成としてはやや日柄が浅いものの6月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしていると仮定して15日の日中から17日早朝にかけての間への上昇を想定する。弱気転換は6月13日夜安値7.74円割れからとし、その際は16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月13日夜からの上昇継続で遅行スパンが好転し、先行スパン突破を試しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開を警戒し、遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月9日夜安値と13日夜の安値がフラットだったところで指数が切り上がる強気逆行を見せて上昇したが70ポイント到達から下落に転じて60ポイントを割り込んでいる。このため60ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.80円を下値支持線、7.87円を上値抵抗線とみる。
(2)7.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.87円超えからは7.90円台序盤(7.90円から7.93円)を試すとみる。7.92円以上は反落警戒とするが、7.85円以上での推移なら16日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.80円割れからは下げ再開を警戒して6月13日夜安値7.74円試しとし、7.74円割れからは7.70円前後へ向かう下落を想定する。7.70円以下は反騰注意とするが、7.75円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -517.7億リラ)
6月16日 週次 外貨準備高 6/10時点 グロス (6/3時点 614.6億ドル)
     週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/3時点 105.2億ドル)
6月17日
 16:00 トルコ中銀年末消費者物価上昇率予想値 (5月 57.92%)
6月20日
 17:00 5月 観光客数 前年同月比 (4月 225.6%)
 23:30 5月 中央政府債務 (4月 312.5億リラ)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 67.6)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)


注:ポイント要約は編集部

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