ドル円見通し 135円台中盤へ続伸、1998年10月以来24年ぶり高値(22/6/15)

ドル円は6月15日早朝に135.58円へ上昇、6月13日午後高値135.17円を上抜き1998年10月以来24年ぶりの高値水準に達した。

ドル円見通し 135円台中盤へ続伸、1998年10月以来24年ぶり高値(22/6/15)

ドル円見通し 135円台中盤へ続伸、1998年10月以来24年ぶり高値

〇ドル円、6/15早朝135.58到達、1998年10月以来24年ぶり高値水準
〇米WSJ紙、FOMCにおける0.75%利上げ可能性報道、米長期債利回り連日大幅上昇
〇米5月PPI前月比0.8%、前月0.4%から伸び加速、原油価格4月後半から上昇再開、3月序盤高値迫る
〇6/16未明FOMC声明、ドル全面高と長期債利回り上昇加速か、材料一巡で一服か注視
〇134円以上での推移中は上昇基調継続とし、136円超えからは137円を目指す上昇を想定する
〇134円割れからは133.58試しとし、底割れからは132円台後半を目指す下落を想定する

【概況】

ドル円は6月15日早朝に135.58円へ上昇、6月13日午後高値135.17円を上抜き1998年10月以来24年ぶりの高値水準に達した。インフレ進行が収まらず米連銀の金融引き締め姿勢が一層強化されるとの見方から米長期債利回りが大幅上昇、為替市場ではドル全面高の様相となる中、6月2日に130円台に到達、6月7日に133円台、8日夜には134円台へ到達、6月10日の日銀・財務省・金融庁による三者共同声明での円安けん制も効かずに6月13日には2002年1月31日高値135.15円を超えた。
6月13日はNYダウの大幅下落とドル全面高がさらに勢い付いたことでクロス円の下落による一時的な円高も見られて133.58円まで下げたが、6月9日夜安値133.17円から10日夕安値133.35円へと底上げしてきた流れを維持し、14日は米PPI発表やWSJ紙による0.75%利上げ可能性報道等をきっかけに一段高となった。
6月16日未明のFOMC声明から米連銀の今後のスタンスを見定めつつ、ドル高がさらに加速するのか、ドル高一服に入るのか試されるところだ。

【WSJ紙報道うけて米長期債利回りは連日の大幅上昇】

米10年債利回りは6月13日には前日比0.21%の上昇で一時3.38%をつけて5月9日の3.20%及び2018年10月の3.26%を超えてパンデミック以降の最高値を更新していたが、14日も流れは変わらず前日比0.11%上昇して3.48%となり2011年4月以来11年ぶり高水準に達した。
30年債利回りは前日比0.08%上昇の3.43%となり2018年11月天井の3.46%へ迫っている。
2年債利回りは前日比0.08%上昇の3.44%となり2007年11月以来の高水準に達した。

米WSJ紙は6月14日の掲載記事で今回のFOMCにおいては0.75%の利上げとなる可能性があると報じた。
米連銀はパウエル議長が昨年11月に再任方針が決定した際にインフレ対策を最重要課題としたバイデン大統領の意向を受けて金融引き締めへ舵を切り、今年3月に0.25%の利上げを決定、5月には通常の倍となる0.50%の利上げを決定して6月と7月にも0.50%ずつの利上げを行う見通しを示した。5月時点では0.75%の超大幅利上げについては検討していないとしたが、その後の米インフレ進行を踏まえれば9月以降の大幅利上げ継続や、今回のFOMCにおける0.75%利上げの可能性もあるのではないかとの見方が徐々に強まり、米長期債利回りが一段高してきている。
6月16日未明のFOMC声明、参加メンバーによる利上げペースや利上げ終点目標に関するドットプロット、パウエル米連銀議長の会見における姿勢を見定めて、ドル全面高と米長期債利回り上昇がエスカレートするのか、いったん材料一巡としてドル高一服と米長期債利回りの調整的な低下へと向かうのか、6月後半への基調を決める重要局面となる。

【NYダウは5日続落、ナスダックは反発】

6月14日のNYダウは前日比151.91ドル安と下落して6月8日から5営業日続落となった。一時は30144.23ドルをつけて1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の最安値を更新したが、FOMC声明発表の前日ということでいったん買い戻しも見られた。しかし5月20日からの戻り一巡による一段安ですでに昨年1年分の上昇幅を解消しているため、FOMC後に売られるようだと米国株式市場の調整局面が長期化する弱気感も拡大しやすいと思われる。ナスダック総合指数は前日比19.12ポイント高で5日ぶりに小反発したが、昨年11月22日高値16212.23ポイント以降の安値を更新しており、下落率ではITバブル崩壊後の下落率には及ばないものの高値からの下落幅としては過去最大級となっている。

6月14日に発表された5月の米PPIは前月比0.8%で予想と一致したが、4月の0.4%から伸びが加速した。前年同月比は10.8%で予想及び4月の10.9%を若干下回ったものの高止まりの様相だ。コア指数の前月比は0.5%で予想の0.6%を下回ったものの4月の0.2%から伸びが回復した。前年同月比は8.3%で予想の8.5%及び4月の8.8%を下回った。
原油価格は3月序盤の急騰からいったん調整に入っていたが4月後半から上昇再開に入っており日足の終値ベースでは3月序盤高値に迫る状況にある。昨年までのインフレはパンデミックからの景気回復途上における人手不足とモノ不足によるインフレ進行だったが、今年2月以降はウクライナ戦争によるインフレ深刻化であり、仮に金融引き締めで景気が鈍化してもエネルギーや食料品需要が激減することにならないために景気後退とインフレが並走するスタグフレーション型でのインフレ継続の可能性も懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月8日夜に134円台に到達して以降も1円を超える反落を消化しつつ高値を切り上げる展開が続いているため、6月13日午前高値135.17円を直近のサイクルトップ、13日夜の反落時安値133.58円を同サイクルボトムとした強気サイクルにおける上昇期と考える。高値形成期は16日午前から20日午前にかけての間と想定するが、FOMC反応次第では6月13日夜安値割れから弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月14日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、6月13日夜安値を割り込む場合は上昇一服による調整局面入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月13日から15日早朝への一段高に際しては指数のピークがほぼフラットとなっているが、50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは80ポイント超えへ上昇する可能性を維持していると思われる。50ポイント割れから続落に入る場合はいったん仕切り直しの調整局面入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、134円を下値支持線、136円を上値抵抗線とする。
(2)134円以上での推移中か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇基調の継続とし、136円超えからは137円を目指す上昇を想定する。137円以上は反落注意とするが135円以上での推移なら16日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)134円割れからは6月13日夜安値133.58円試しとし、底割れからは132円台後半を目指す下落を想定する。133円以下は反発注意圏とするが、134円を割り込んでの推移なら16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/15(水)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -11.1%、予想 -7.1%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -2.9%、予想 -1.0%)
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 1.3%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -1.8%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -0.8%、予想 -1.1%)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調済 (3月 -176億ユーロ、予想 -145億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調前 (3月 -164億ユーロ)

20:00 (米) MBA住宅ローン申請指数 前週比 (前週 -6.5%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.6%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (5月 -11.6、予想 4.5)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.0%、予想 1.2%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.6%、予想 1.3%)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 2.0%、予想 1.2%)
23:00 (米) 6月 NAHB住宅市場指数 (5月 69、予想 68)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
27:00 (米) 米連銀(FOMC) 政策金利 (現行 0.75-1.00%、予想 1.25-1.50%)
27:30 (米) パウエル米連銀議長、記者会見

6/16(木)
休場、南ア
日銀・金融政策決定会合初日
07:45 (NZ) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 3.0%、予想 0.5%)
07:45 (NZ) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 3.1%、予想 2.3%)
08:50 (日) 5月 通関貿易収支・季調前 (4月 -8392億円、予想 -2兆638億円)
08:50 (日) 5月 通関貿易収支・季調済 (4月 -1兆6189億円、予想 -1兆7045億円)
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 0.40万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 3.9%、予想 3.8%)
17:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.25%)

21:30 (米) 5月 住宅着工件数・年率換算件数 (4月 172.4万件、予想 170.7万件)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数 前月比 (4月 -0.2%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 5月 建設許可件数・年率換算件数 (4月 181.9万件、予想 178.7万件)
21:30 (米) 5月 建設許可件数 前月比 (4月 -3.2%、予想 -2.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 130.6万人、予想 130.1万人)
21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 2.6、予想 5.5)
21:45 (米) パウエル米連銀議長、米連銀主催会議開会挨拶


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