トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続くがドル高リラ安は継続(22/6/14)

トルコリラ円の6月13日は7.89円から7.74円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.78円で先週末終値の7.83円からは0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続くがドル高リラ安は継続(22/6/14)

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続くがドル高リラ安は継続

〇トルコリラ円、6/13は7.89から7.74の取引レンジ、リラ安基調継続で戻り高値を切り下げる展開
〇対ドル、6/13は17.20台を中心とした小動きだがリラ安基調継続、6/14午前序盤に安値17.29をつける
〇昨日発表の経済指標、4月経常収支は赤字が続き、4月小売売上高は大幅に伸びる
〇7.73割れからは、7.60台後半(7.70から7.65)を試すとみる
〇7.85超えからは7.90試しとみるが、7.90以上は反落警戒とみる

【概況】

トルコリラ円の6月13日は7.89円から7.74円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.78円で先週末終値の7.83円からは0.05円の円高リラ安だった。
5月26日安値7.71円からの持ち直しで6月4日未明と7日午後に8円到達に挑戦したものの届かずに6月9日夜安値7.73円まで反落したが、6月9日にトルコ財務相が国営企業売上連動型の新型国債を発行してクーポンで最低利回り保証を行うなどのリラ防衛政策を発表したことを受けて6月10日未明に7.98円へ反騰、話題買い一巡で10日午後安値7.74円へ再び急落した後は9日夜安値から10日未明高値までのレンジ内でやや乱調な推移となりつつ持ち合いの様相となっている。
6月13日は米長期債利回り上昇によりドル全面高の様相だったが、ドル円は2002年1月高値を超えてからいったん133円台中盤へ下げるなど上値が重くなり、ドル/トルコリラでは先週末にかけての乱高下が落ち着いた状況となったものの1ドル17リラを超えたリラ安基調が継続したためにトルコリラ円も戻り高値を切り下げる展開だった。

【ドル/トルコリラは先週後半の乱高下落ち着きつくもリラ安基調変わらず】

ドル/トルコリラの6月13日は17.27リラから17.00リラの取引レンジ、14日早朝の終値は17.25リラで先週末終値の17.07リラからは0.18リラのドル高リラ安だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀が政策金利の据え置きにとどめ、エルドアン大統領が利下げ政策の継続を強調したことで1ドル17リラの壁を超えてリラ安が進行してきたが、6月9日に利回り保証付き国営企業収益連動債の発行などを発表したことで政府のリラ防衛策強化が進む可能性が意識されたために6月9日は16.76リラへ反騰、買い一巡から再び17.27ドルまで急落する「往って来い」となり、10日も16.90リラへ反騰してから17リラ台へと下落するなど乱調な展開で先週を終えた。
週明けの6月13日は17.20リラ台を中心とした小動きだったが、9日や10日のようなリラの反騰は見られずにジリ安の推移でリラ安基調の継続感を示した。為替市場が米長期債利回りの大幅上昇によりドル全面高で推移したことと比較すると落ち着いた動きにとどまったといえるが、14日午前序盤には17.29リラをつけてこの間の最安値を更新している。

【原油高騰でトルコの経常赤字は続くが小売売上高が大幅に伸びる】

6月13日に発表されたトルコの4月経常収支は27億4000万ドルの赤字となった。3月の55.54億ドルから赤字幅は改善したが、昨年8月から10月にかけて経常黒字となっていたところから再び構造的な赤字へと逆戻りしている。
リラ安による輸出が拡大して海外からの観光客も戻ってくればエルドアン大統領の目指す経常収支改善によるリラの安定にも寄与するところだが、ウクライナ情勢はまだ混迷したままであり、ロシア制裁の長期化、中国の感染抑制策による景気鈍化、金融引き締めによる米国の景気減速懸念等の問題も抱えている。

トルコリラ円見通し 円安による押し上げ続くがドル高リラ安は継続

4月の小売売上高は前月比2.1%増、前年比では14.7%増と大幅に伸びた。内訳では食品・飲料・たばこの売上高が前年比1.1%減だったが、食品と自動車用燃料を除く売上高は31.3%増、自動車用燃料の売上高は2.8%減、衣料品や靴等の売上高は72.5%増だった。また通信販売とインターネットショッピングが34.8%増だった。
高インフレによる消費低迷が懸念される状況にあるが、トルコ中銀のデータによればトルコの消費者ローン金利は直近で年率30.3%であり、70%を超えているインフレ率を下回っているため、割安なローンを利用して先行きの高騰を回避するための買い急ぎによる消費拡大という側面もありそうだ。

4月の鉱工業生産は前月比変わらずで3月の1.7%減から持ち直しつつあるがプラスには転じられていない。前年比は10.8%増で3月の9.8%を上回り市場予想の7.95%増を上回った。ロシア制裁にトルコは参加していないものの影響を受けており、3月と4月は低調ではあるが、パンデミック以降のウイズコロナ政策による成長回復基調は続いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月9日夜に一段安したところから7.98円へ急伸し、その後に再び急落していたため、6月10日午前時点では6月9日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたものの既に戻り一巡から新たな弱気サイクル入りしているとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定した。
6月10日の乱高下を経てからも戻り高値切り下がり基調にあり6月夜安値割れへの余裕が乏しいため引き続きボトム形成中とみる。強気転換には7.85円を超えて続伸するような展開が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、6月13日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は6月13日夜の下落で30ポイント台へ低下し、その後も50ポイントを下回っての推移のためまだ一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイント以上を維持して高値を伸ばすような上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.73円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とみる。
(2)7.82円から7.85円手前は戻り売りにつかまりやすいところとし、7.73円割れからは7.60円台後半(7.70円から7.65円)を試すとみる。7.80円以下での推移なら15日の日中も安値試しが続くとみる。
(3)7.85円超えからは7.90円試しとみるが、7.90円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -517.7億リラ)
6月16日 週次 外貨準備高 6/10時点 グロス (6/3時点 614.6億ドル)
     週次 外貨準備高 6/10時点 ネット (6/3時点 105.2億ドル)
6月17日
 16:00 トルコ中銀年末消費者物価上昇率予想値 (5月 57.92%)
6月20日
 17:00 5月 観光客数 前年同月比 (4月 225.6%)
 23:30 5月 中央政府債務 (4月 312.5億リラ)
6月22日
 16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 67.6)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)


注:ポイント要約は編集部

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