ドル、週内に02年高値135.20円トライも
〇先週のドル円、大幅続伸し一時134円半ばまで値を上げ年初来高値を再び更新
〇週明けからドル高円安の動きが活発化、週間通し政府要人による円安けん制発言相次ぐ
〇ドル円の週足は2週続けての陽線引け、2002年高値135.20が現実的な上値メド
〇今週FOMC開催、市場では0.5%の利上げがほぼ織り込み済み
〇今週のドル/円予想レンジは、132.50-136.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが大幅続伸。一時134円半ばまで値を上げ、年初来高値を再び更新する局面も観測されていた。
前週末は、ウクライナにおける戦闘をめぐり複数要人からコメントが聞かれるも、結果としてまだしばらく続くことが再確認された格好に。また、週末5日に北朝鮮が弾道ミサイルと思しき飛翔体を再び発射したとして、一部で話題となっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は130.80円レベルで寄り付いたのち、緩やかな右肩上がり。それまでのドル高値131.35円をアッサリ超えるとさらに続伸し、9日には週間高値の134.55円を示現している。そのレベルでは上げ渋りとなるも底堅く、週末にかけては133-134円台を中心とした一進一退をたどるなか、週末NYは週間を通したドルの高値圏である134.40円レベルで取引を終え越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「円安けん制発言と為替政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、週明けからドル高・円安の動きが活発化したこともあり、週間を通して政府要人による円安けん制発言が相次ぐ格好となった。たとえば、鈴木財務相は「為替の急速な変動は望ましくない」と述べたうえで、米国などの通貨当局と密接な意思疎通を図っている旨のコメントも発していた。また松野官房長官は「為替の安定は重要」、内田日銀理事「最近の短期間で大幅な円安進行は望ましくない」、黒田日銀総裁も「短期間での大幅な円安進行は経済にマイナス作用」とコメント。さらに週末には財務省と金融庁、日銀による3者会合が実施され「円安憂慮」の声明も発表されている。しかし、その一方で、IMFの対日審査団長を務めるサルガド氏が、「最近の大幅な円安はファンダメンタルズを反映しているとの見方を示した」と報じられるなど、日本と海外の見解の乖離も明らかに。
対して後者は、戦闘に関してウクライナ大統領府長官顧問から「武器の蓄えを勘案すれば戦闘は2-6ヵ月続く」との発言が聞かれるなど長期化の公算が取り沙汰されるなか、州を制圧するなどロシア軍有利に進んでいる報道がやや目に付いた。そうしたなかウクライナの州知事が「ロシアは黒海沿岸の大規模穀物倉庫を破壊」したと発表するなど、世界的な穀物不足が新たな懸念として急浮上。ロシアとトルコの外相会談が実施され、トルコ外相から「穀物輸出回廊の設置は理にかなっている」といったコメントも発せられていたが、そののちペスコフ大統領報道官からは「ウクライナ産穀物をトルコに売却する合意はまだまとまっていない」との発言が聞かれるなど、具体的な進展はとくに聞かれていなかった。
<< 今週の見通し >>
価格か時間という話はさておき、一時期調整色の強かったドル/円が再び騰勢を強めている。実際、ドル/円の週足は2週続けての陽線引けで、その間の上昇は7円を超えてきた。テクニカルには2002年4月高値の133.84円を超えただけでなく、2002年高値である135.20円がすでに現実的な上値メドとして意識されていることは間違いない。そして、そのレベルを超えるとすれば2000年代初の140円台が薄っすらとだが視界内に捉えられそうだ。ドルのさらなる続伸にも一応要注意。
米FRBやECBなどによる金融引き締め政策が世界の潮流となるなか、日本は黒田日銀総裁が先週改めて「強力な金融緩和を粘り強く続ける」と発言するなど、独自路線を歩んでいる。ともかく、単純な金利差からすると、円は対ドルだけでなくユーロやポンド、豪ドルなどに対しての売り基調はまだ当面続いても不思議はない。さらには、発表された米為替報告書で、日本の為替介入にクギを刺されるなど、日本の当局が取りうる手段も多くないだけに、投機筋などに足もとを見られるようだと、円売りがさらに進行する可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は引き続きドル高方向へのリスクが高いことは間違いない。時間足など短期ベースでは、少なくとも3度上げ渋った134円半ばの攻防にまずは注目。しっかり超えればいよいよ135円台。2002年高値である135.20円がターゲットとなりそうだ。
しかし、ここ2週間で7円を超える上昇をたどっており、スピード的にはさすがに早過ぎることはやや気掛かり。価格そして日柄の両面から、短期的には調整が先行することにも注意しておきたい。
今週は、5月の生産者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表されるなか、注目のFOMCが開催される。ちなみに、市場では0.5%の利上げがほぼ織り込み済みとなっている。また、それに続き日銀も週末に金融政策を発表する予定で、一応注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、132.50-136.00円。ドル高・円安については先週示現した高値134.55円をめぐる攻防にまずは注目。上抜けると135.20円がターゲット。それも超えると再び軽い青天井に。
対してドル安・円高方向は9日安値の133.18円が最初のサポート。割り込むようだと132円台突入も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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