南アランド週報:『約4年ぶり高値圏から急反落。来週も下落リスクに要警戒』(6/11朝)

南アランドの対円相場は6/9に記録した約4年ぶり高値8.81円(2018年5月28日以来)をトップに反落に転じると、週末にかけて一時8.43円まで急落しました。

南アランド週報:『約4年ぶり高値圏から急反落。来週も下落リスクに要警戒』(6/11朝)

『約4年ぶり高値圏から急反落。来週も下落リスクに要警戒』

〇今週の南ア円、週明け8.38まで下落するも、円安進行、南ア指標改善に週後半8.81まで急伸
〇週末にかけては、上海ロックダウン再開報道等からの世界的リスク選好の後退に一時8.43まで急落
〇テクニカル、地合いの悪化を印象付けるチャート形状、短期トレンドが上昇から下落に転じる恐れ
〇ファンダメンタルズも南ア円の下落を連想させる材料揃う
〇来週は、週前半は様子見ムードで膠着、週央以降ボラティリティが高まる展開(特にダウンサイド)か
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.25ー8.65

今週のレビュー(6/6−6/10)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.42円で寄り付いた後、早々に週間安値8.38円まで下落しました。しかし、一目均衡表雲上限をバックに下げ渋ると、@黒田日銀総裁によるハト派的な発言(日本と世界の金融政策格差→円独歩安→ドル円は約20年4ヵ月ぶり高値となる134円台半ばへ急上昇→南アランド円連れ高)や、A南ア1ー3月期GDP(結果+3.0%、予想+1.9%、※前年比)の力強い結果、B南ア1ー3月期経常収支(結果1430億ZAR黒字、予想940億ZAR黒字)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.81円(2018年5月28日以来、約4年ぶり高値圏)まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、C南ア4月鉱業生産(結果▲5.4%、予想▲5.0%、※前年同月比)および、D南ア4月製造業生産(結果▲7.8%、予想▲2.6%、※前年同月比)の冴えない結果や、EECB理事会のタカ派的な結果(FRBに続いてECBもタカ派傾斜→過剰流動性相場逆流懸念→株安→リスクオフ)、F中国上海市の一部区域で新型コロナウイルス対策のロックダウンを再開するとの報道(市場心理悪化)、G米5月消費者物価指数の更なる上昇(3月に記録した8.5%を上回り、約40年5ヵ月ぶり高水準となる8.6%へ急上昇)、H上記Gを背景とした米FRBによるタカ派傾斜観測(米FRBが9月以降も大幅利上げを続けるとの見方が再燃→米長期金利急上昇→過剰流動性相場逆流→南アフリカからの資金流出懸念)が重石となり、週末米国時間に一時8.43円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/11午前4時30分現在)では、8.46円前後で推移しております。

来週の見通し(6/13−6/17)

南アランドの対円相場は6/9に記録した約4年ぶり高値8.81円(2018年5月28日以来)をトップに反落に転じると、週末にかけて一時8.43円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線を下抜けした他、強い上昇トレンドを示唆する強気のバンドウォークも消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(週末にかけて2日連続で大陰線が出現→短期トレンドが上昇から下落に転じる恐れ)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的なタカ派スタンスの明確化(米CPIの高止まりで米国が金融引き締めスタンスを長期化させるとの思惑→米長期金利急上昇→過剰流動性相場逆流→新興国から米国への資金流出懸念)や、A南アフリカ経済の先行き懸念(国際通貨基金は6/7、南ア経済成長見通しに対する懸念を示すと共に、雇用・貧困・格差問題に及ぼす影響を不安視。今週発表された第1四半期GDPは好調な結果となったが、4月初旬の大洪水や電力不足の影響を背景に第2四半期GDPは急減速に転じる恐れ)、B南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念(中国上海市によるロックダウン解除を受けても尚、中国経済には当面強い下押し圧力が加わる見込み)、C南ア財政収支の大幅悪化(税免除措置の延長や大規模洪水被害に係る再建費用捻出などの影響で南ア財政事情は悪化傾向)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(南ア中銀による追加利上げ観測がこれまで南アランド買い材料として機能してきましたが、スタグフレーション懸念が燻る中での利上げ実施は経済への逆風となり得ることから、ここから先は「南ア中銀による追加利上げ観測→南アフリカ経済への下押し懸念→南アランド売り」の波及経路に警戒が必要)。尚、来週は6/15に南アランドに影響を及ぼし得る重要イベント(中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、中国5月固定資産投資、南ア4月小売売上高、米FOMC)が集中するため、週前半は様子見ムードで膠着しつつも、週央以降はボラティリティが高まる展開(特にダウンサイド)に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(ZARJPY):8.25ー8.65

『約4年ぶり高値圏から急反落。来週も下落リスクに要警戒』

南アランド円日足

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