欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(22/6/10)

2022年6月8日・9日会合分

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欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(22/6/10)

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表

昨日ECB金融政策会合後に要旨の記者発表がありました。政策金利に関しては事前の予想通り、全て据え置きになりました。そして、現状のインフレ状況が変わらない限り、次回7月会合で25ベーシスの利上げ、その後も状況を査定し利上げ継続を明記しています。
市場はECB公表前に1.0722付近で推移していましたが、据え置きに1.0688まで緩み、その後、次回会合での利上げ明記で1.0774まで反発しました。その後は利上げ継続になるも緩やかであり、米国ほどの上げ幅でないことから、ユーロは1.0611まで売られ、安値圏の1.0617で引けました。
以下は昨日の金融政策に関する記者発表要旨です。

(記者発表要旨)

高インフレは私たち全員に対し主要課題です。運営審議会はインフレ率が中期目標の2%に戻ることを必ず行うつもりである。

5月にインフレは再び著しく上昇した。主にエネルギーや食品の上昇が挙げられる。これには戦争による影響が含まれる。しかし、インフレ圧力は拡大し強まっている。多くの商品やサービス価格が非常に上昇していることによる。ユーロ圏のスタッフはベースラインのインフレ見通しを大幅に上方修正した。これらの見通しはインフレが暫くの間、望ましくないほどに上がることを指摘している。しかしながら、エネルギーコストの緩和、パンデミックに関連した供給混乱の緩和、金融政策の正常化がインフレ低下に繋がると予想されている。スタッフの新しい見通しは2022年のインフレが年率6.8%であり、2023年には3.5%、2024年には2.1%に下がると見通している。これらは3月予想よりも高い。これは予想期間の終わりに総合インフレが運営審議会の目標よりも僅かに高いことを意味している。エネルギーや食品を除くインフレは2022年3.3%、2023年に2.8%、2024年に2.3%―そしてこれも3月予想より高いが−になると見通している。

ロシアのウクライナへの不当な侵略はヨーロッパ内外の経済に重石となっている。混乱する交易は物資不足に繋がり、エネルギーや商品価格高になっている。特に短期的に、これらの要因が信頼感を圧迫し、成長を阻害し続けている。しかしながら、進行中の経済再開、強い労働市場、財政支援、パンデミック中に積み上がった貯蓄により、経済が成長を続けるための条件が整っている。ひとたびこの逆風が弱まれば、活動は再び持ち直すと予想される。この予想はスタッフ見通しに幅広く反映されている。その見通しは年率GDPが2022年2.8%、2023年2.1%、2024年2.1%である。3月予想と比較すると、2022年、2023年は著しく下方修正されたが、一方で、2024年は上方修正された。

直近の査定に基づき、運営審議会は金政政策の正常化に向けて一層の措置を採ることを決定した。このプロセスを通じて、運営審議会は選択性、データに基づくもの、金融政策導入に関して斬進性や柔軟性を維持する。

資産購入プログラム(APP)とパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)

運営審議会はAPP下での純資産購入を2022年7月1日で終了することを決定した。運営審議会は元本の全額再投資は継続する意向である(以下一部略)。
PEPPは少なくとも2024年末まで、プログラム下で購入された満期証券からの元本は再投資する意向である。(以下一部略)

ECB主要金利

運営審議会はフォワードガイダンスに従い、主要ECB金利の引き上げを開始する前に、満たされるべき条件を慎重に見直しをした。この査定の結果、運営審議会はこれらの条件が満たされていると結論付けた。

従って、運営審議会の政策序列に沿って、運営審議会は主要ECB金利を7月会合で25ベーシスずつ引き上げる意向である。それまでは、運営審議会は、主要政策金利、限界貸付金利、(中銀への)預金金利、をそれぞれ0.00%、0.25%、▼0.50%に据え置くことを決定した。

更に先を見ると、運営審議会は主要ECB金利を9月に再び上げると予想している。この利上げの幅は直近の中期インフレ見通しに依存する。もし中期インフレ見通しが持続していたり、悪化した場合、より大きな上昇幅が9月会合では適切になるだろう。

9月以降、現状の査定に基づき、運営審議会は、緩やかながら持続的で、更なる利上げの道筋が適切であると予想している。運営審議会が約束している中期2%目標に沿って、運営審議会が金融政策を調整するペースは入手するデータとインフレが中期でどの様に進展していくかの査定に依存する。

(リファイナンス業務の項目は略)

運営審議会は、正当化されれば柔軟性を組み込み、インフレが中期2%目標に安定することを確保するため、あらゆる手立てを調整する準備がある。ストレスが掛かる状況下、パンデミックは、資産購入の設計や実施の柔軟性が金融政策の伝達に障害をもたらすものに対抗でき、目標達成に向けた達成運営審議会の努力がより効果的になる様にしたことを示している。ECBの使命内で、ストレス掛かる状況下、金融政策伝達に対する脅威が物価安定の到達を危険に晒す場合はいつの時でも、この柔軟性が金融政策の要素である。
(以上)


(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

昨日の金融政策予想内で添付した週足チャートは結局Cの抵抗線(=1.0790)で止められ、昨日までで丸坊主に近い陰線になっています。下値は2手前十字線の下限で止まっていますが、今日このまま終われば、来週以降のユーロは弱含みになり、横サポートD(=1.0530)に向けたトライになりそうです。一方、2手前十字線実体部分が1.0710付近でしたので、今日のNY終値で1.07台を回復してくれれば、週足は2週連続の十字線で、気迷い横流れとなり、1.0600〜1.0790レンジで次の1手となりそうです。


(2022年6月10日13:40、1ユーロ=1.0632ドル)

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