トルコリラ円見通し ドル高リラ安が勢い付く、円安に勝るリラ安の様相(22/6/8)

トルコリラ円の6月7日は7.99円から7.87円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.90円で前日終値の7.95円からは0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安が勢い付く、円安に勝るリラ安の様相(22/6/8)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安が勢い付く、円安に勝るリラ安の様相

〇トルコリラ円、6/8早朝終値7.90、ドル高リラ安で乱調な展開、底上げ基調崩れやすい状況
〇対ドル、6/8午前16.86へ下落、終値ベースで史上最安値更新
〇エルドアン大統領、低金利によるインフレ抑制を演説、次回6/23中銀会合での利下げ可能性あり
〇7.87割れからは7.80円台序盤への下落を想定する
〇7.93超えからは7.97前後への上昇を想定するが、7.97以上は反落警戒とする

【概況】

トルコリラ円の6月7日は7.99円から7.87円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.90円で前日終値の7.95円からは0.05円の円高リラ安となった。
ドル円が7日午後に133円に到達する一段高となったところでは円安による押し上げでこの日の高値となる7.99円をつけて8円に迫ったものの届かず、その後はドル円の上昇が一服する中で対ドルでのリラ安が進行したことに圧迫されて7.90円を割り込む反落となり、前日からの続落となった。
5月26日安値で7.71円まで下げたところからはドル円の大上昇に押し上げられてきたが、一方ではドル/トルコリラでは1ドル16.50リラの壁を超えてリラ安進行感が強まっているため、円安に押し上げられた後にリラ安で売られるやや乱調な展開で推移しており、高値切り上げ後の反落では底上げ基調を維持しているが、6月8日早朝への下落では6月6日夜安値に迫っており、底上げ基調が崩れやすい状況にあると注意したい。

【1ドル=16.80リラ超えへリラ安加速、終値ベースの史上最安値更新】

ドル/トルコリラの6月7日は16.77リラから16.53リラの取引レンジ、8日早朝の終値は16.74リラで前日終値の16.57リラからは0.17リラのドル高リラ安となった。
5月9日に1ドル15リラの壁を超えてリラ安が勢い付き、5月末から6月2日にかけては16.50リラを壁として下げ渋りも見られたものの、6月3日の5月トルコ消費者物価上昇率が前年同月比で4月の69.97%から73.5%へと加速したことで16.50リラの壁が突破されてリラ売りに拍車がかかった。
6月6日にはエルドアン大統領が高インフレにもかかわらず利下げ政策の継続を強調する演説を行ったことから16.60リラへと下落、7日もさらにリラ売りが進み、8日午前には16.86リラへと安値を切り下げている。
12月20日に18.36リラの史上最安値をつけているが、終値ベースでは12月17日の16.41リラが史上最安値だったところ、6月2日に16.45リラをつけて最安値更新に入り、6月6日、7日とさらに終値ベースの史上最安値更新を続けている。

【エルドアン大統領演説からリラ売りがさらに勢い付く】

エルドアン大統領は6月6日に「金利の低下が生産と輸出及び雇用を促進して経常収支を黒字化し、トルコ経済を強くすることで最終的には通貨リラを安定させて物価上昇を抑制する」とし、「インフレは国民の中で外貨建て預金を保有し続けていることと、原材料の高騰が原因だ」とし、「政府は決して利上げをせず、逆に金利を下げ続け、低金利を利用して投資を拡大することを促進する」と演説した。
トルコ中銀は5月26日に政策金利の週間レポレートを14.0%にとどめて5会合連続の据え置きとしたが、エルドアン大統領演説により、次回の6月23日に予定されているトルコ中銀MPC(金融政策委員会)では利下げの可能性も出てきたと市場は受け止めている。

エルドアン政権は昨年9月から12月まで4会合連続の利下げにより政策金利を19%から14%へと大幅に引き下げたが、その結果はリラ安と通貨インフレによる消費者物価の大上昇であった。一時的に改善していた経常収支も再び悪化している。そこにウクライナ戦争勃発とロシア制裁の発生で世界規模のインフレが加速しており、トルコ独自の努力ではインフレを抑制できない状況にある。
昨年12月のリラ暴落時にはリラ預金の為替差損を財務省が補填するという奇策を打ち、年明けには付加価値税を8%から1%へ大幅に引き下げ、最低賃金の引き上げ等も行っているが、高インフレによる国民の不満も高まる中で新たな奇策が飛び出す可能性や、トルコ中銀による強硬的な市場介入、さらに為替取引規制強化などに出る可能性についても注意が必要になってくるかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月3日夜の急騰で6月2日早朝高値を超え、その後の急落で6日夜に7.87円まで下落してから再び7.95円超えへ反騰したため、6月7日午前時点では5月31日夕安値から5日目となる6月6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は8日夜から10日夜にかけての間と想定したが、乱高下が続いているので7.92円割れからは弱気転換注意として6日夜安値試しとした。
6月8日朝安値で6日夜安値に迫っているので既に弱気サイクル入りしている可能性があるが、底割れ回避のうちは乱高下による反騰の可能性が残るとみる。底割れからは弱気サイクル入りとして9日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月8日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、先行スパンを超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は6月4日早朝高値から7日午後へ高値を切り上げた際に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて8日早朝に30ポイント台へ低下しているので7日午後高値をピークとして下落期に入っている可能性が高い印象だ。上昇再開は55ポイント超えからとし、55ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.87円を下値支持線、7.93円を上値抵抗線とみる。
(2)7.90円から7.93円手前は戻り売りにつかまりやすいところとし、7.87円割れからは7.80円台序盤(7.83円から7.80円)への下落を想定する。7.80円以下は反騰注意とするが7.87円以下での推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)乱高下が続いているので、7.93円超えからは7.97円前後への上昇を想定するが、7.97円以上は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

6月9日
 20:30 週次 外貨準備高 6/3時点 グロス (5/27時点 612.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/3時点 ネット (5/27時点 121.9億ドル)
6月10日
 16:00 4月 失業率 (3月 11.5%)
6月13日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -1.8%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 9.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.3%)
 16:00 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 2.5%)
 16:00 4月 経常収支 (3月 -55.54億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -517.7億リラ)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)


注:ポイント要約は編集部

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