ドル円見通し 133円台到達後に上昇一服するも132円台で確り、高値更新を伺う(22/6/8)

8日朝には132.80円台へ戻して133円超えからの一段高を伺う位置取りとなっている。

ドル円見通し 133円台到達後に上昇一服するも132円台で確り、高値更新を伺う(22/6/8)

ドル円見通し 133円台到達後に上昇一服するも132円台で確り、高値更新を伺う

〇ドル円、6/7午後133円台到達後上昇一服、6/8朝132.80円台へ戻す
〇黒田日銀総裁、為替変動について「安定的円安ならプラス」と発言、金緩和継続姿勢
〇米10年債利回り2.97%、先週からの上昇基調継続感解消、NYダウ前日比264.36ドル高と上昇
〇豪中銀0.50%の大幅利上げ、主要国利上げ姿勢でクロス円全般の円安助長
〇132.32以上での推移中は上向きとし、133円超えからは133円台後半を目指すとみる
〇132.32割れからはいったん調整安に入るとみて、131円台後半を試すとみる

【概況】

ドル円は6月7日早朝に132円台へ到達、さらに7日午後には133.00円をつけて2002年1月31日天井で135.15円をつけた直後の2002年4月以来の133円台到達となった。6月3日からは凡そ3円の急上昇であり、5月24日安値126.35円からは6.65円の大幅上昇となったことで高値警戒感と利益確定売りにやや押されて7日夜には132.32円まで下げたが132円台前半では買われ確りし、8日朝には132.80円台へ戻して133円超えからの一段高を伺う位置取りとなっている。

【黒田日銀総裁、金融引き締めへの転換を全否定】

日銀の黒田総裁は6月6日の講演で「日本経済は資源価格上昇による下押し圧力を受けており金融引き締めを行う状況にはまったくない」とし、為替動向についても「急激な変動ではなく安定的な円安方向であれば経済全体としてはプラスに作用する可能性が高い」と述べた。また物価上昇については「家計の値上げ許容度が高まっている」とも述べたが、この家計に関する発言に批判が高まったことを7日には誤解があったとして陳謝した。
6月7日の参院・財政金融委員会の答弁では「2%の物価目標達成できる状況なら出口戦略議論し市場にも明らかにする」と述べたものの為替変動については「急激な変動でなく安定的円安方向ならプラス」と述べた。日銀の 内田理事も「最近のような短期間の大幅な円安は先行きの不確実性高めて望ましくない」としたが、総裁も理事も積極的に現状の円安に対して歯止めをかけようとする姿勢には欠ける。

消費者物価は4月に前年比2.1%上昇となり8か月連続の上昇で日銀目標の2%を超えて2015年3月以来の水準に達したが、5月の東京区部消費者物価は前年比1.9%であり、日銀の言う持続的な2%というレベルには達していない。また2%を超える状況が続いたとしてもウクライナ情勢などによる原油高騰での一時的なものというとらえ方をすれば出口戦略の議論に入ったとしても金融緩和は継続するのだろうと思われる。

【米10年債利回りは前日上昇分の大半を解消】

6月7日の米10年債利回りは前日比0.07%低下の2.97%となった。6日には前日比0.10%上昇の3.04%となり先週からの上昇基調継続感が強まっていたが、7日は一時3.06%まで上昇したところからいったんポジション調整的な低下へ向かった。今週末に米5月消費者物価上昇率の発表も控えていることでこれまでの上昇に対してやや慎重な動きを見せたと思われる。30年債利回りも0.07%低下の3.13%、2年債利回りは前日と変わらずの2.73%だった。
6月7日夜にかけてドル円の上昇が一服したのも米長期債利回りが低下したことを反映しているが、上昇基調が継続的になればドル円の上昇もまた勢いを増すことになると思われる。

豪中銀は6月7日の理事会で政策金利を0.50%引き上げて0.85%とした。市場は0.25%の追加利上げを予想していたためにサプライズだったが、0.50%の大幅利上げは2000年2月以来22年ぶりであり、インフレ抑制への強い姿勢が示された。NZ中銀の5会合連続利上げや、英中銀の利上げ継続など、主要国の利上げが日銀の金融緩和継続姿勢との対比を鮮明にしており、クロス円全般の円安を助長している。
6月9日はECB理事会があり、政策金利は据え置き予想だが量的緩和の終了と7月の0.50%利上げ姿勢が示されるのではないかとみられており、日銀の出遅れ感が一層目立つことになりそうだ。

6月7日のNYダウは前日比264.36ドル高と上昇、ナスダック総合指数は同113.86ポイント高だった。米小売大手のターゲットが営業利益率の低下見通しを発表したことで消費関連が売られたためにダウは一時270ドルを超える下落だったが、米長期債利回り低下を見て買い戻された。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月24日夜安値からの持ち合い終点となった5月27日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして5月31日午前から6月2日午前にかけての間への上昇を想定してきたが、6月2日夜安値へいったん反落したために6月3日午前時点では6月2日午前高値を直近のサイクルトップとして高値更新からは新たな強気サイクル入りとし、6月3日夜に一段高したために6月7日午前時点では6月2日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクルの上昇期として高値形成期を6月7日の日中から9日午前にかけての間とした。また弱気転換には直前高値から1円を超える規模の反落が必要とした。

6月7日午後続伸してから小反落したものの8日午前には騰勢を回復しつつあるので引き続きサイクルトップ形成中とみるが、6月7日夜の小反落時の安値を直近のサイクルボトムとして既に新たな強気サイクル入りとなっている可能性もあると注意する。ただし、6月7日夜安値132.32円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして8日の日中から9日夜にかけての間への下落を想定するが、その後はまた上昇基調を回復するのではないかとみる。

60分足の一目均衡表では6月3日夜への上昇で遅行スパンが好転し、その後も好転を維持して先行スパンを上抜いた状況も継続しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。6月7日夜安値を割り込む場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、その後に遅行スパンが好転し直すところからは上昇再開とする。5月末からの上昇基調が崩れるには先行スパンから転落するような下落が必要と思われる。

60分足の相対力指数は6月2日深夜、3日深夜、6日深夜、7日午後の高値形成時に80ポイントを繰り返しつけているが、50ポイント前後へ突っ込んだところから反騰する騰落を繰り返している。このため50ポイント割れからさらに続落するような下落が発生しないうちは多少の突っ込みも買い拾われやすい状況と思われ、70ポイント超えからは再び80ポイントを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月7日夜安値132.32円を下値支持線、133.00円を上値抵抗線とする。
(2)132.32円以上での推移中は上向きとし、133円超えからは133円台後半(133.50円から134.00円)を目指すとみる。133.70円以上では売られやすいとみるが、132.32円以上での推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)132.32円割れからはいったん調整安に入るとみて131円台後半(132.00円から131.50円)を試すとみるが、131.70円以下は押し目買いされやすい水準と考える。

【当面の主な予定】

6/8(水)
OECD経済見通し、OECD閣僚理事会(6/10まで)
ロシア外相、トルコ訪問
14:00 (日) 5月 景気ウオッチャー現状判断DI (4月 50.4、予想 52.0)
14:00 (日) 5月 景気ウオッチャー先行判断DI (4月 50.3、予想 51.5)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -3.9%、予想 1.0%)
15:00 (独) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -3.5%、予想 -2.4%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 5.1%、予想 5.1%)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 1.7%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省10年債入札

6/9(木)
未 定 (中) 5月 貿易収支・米ドル建て (4月 511.2億ドル、予想 590.0億ドル)
未 定 (中) 5月 貿易収支・人民元建て (4月 3250.8億元)
08:01 (英) 5月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 (4月 80、予想 76)
08:50 (日) 5月 マネーストックM2 前年同月比 (4月 3.6%、予想 3.6%)
20:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、定例会見
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.0万件、予想 20.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 130.9万人、予想 130.5万人)
26:00 (米) 財務省30年債入札


注:ポイント要約は編集部

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