トルコリラ円見通し ドル高リラ安による夜への急落をドル円の一段高で切り返す(22/6/7)

トルコリラ円の6月6日は7.97円から7.87円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.95円で先週末終値の7.97円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安による夜への急落をドル円の一段高で切り返す(22/6/7)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安による夜への急落をドル円の一段高で切り返す

〇トルコリラ円、6/6夜ドル高リラ安に押され安値7.87まで下げたが、ドル円急伸により6/7早朝に反騰
〇6/7午前序盤もドル円の高値切り上げが続き、7.98近辺での推移
〇対ドル、6/6は16.60から16.41の取引レンジ、1ドル=16.50リラ超えからもリラ安継続
〇エルドアン大統領、利下げ政策継続を強調、高インフレの中利上げしないことで再びリラ安が加速
〇7.95以上での推移中は上向きとし、8.00を超える場合は8.00台序盤への上昇を想定する
〇7.92割れからは下向きとし、7.90割れからは下げ再開とみて7.80台後半を試すとみる

【概況】

トルコリラ円の6月6日は7.97円から7.87円の取引レンジ、7日早朝の終値は7.95円で先週末終値の7.97円からは0.02円の円高リラ安だった。
5月5日のトルコ4月消費者物価上昇率の上ブレからリラ売りが加速したこと、ドル円の上昇が4月28日と5月9日に二度の131円台をつけたところをダブルトップとして下落に転じたことが重なり、トルコリラ円は4月28日高値8.88円から5月26日安値7.71円まで下落してきたが、ドル円が5月24日夜安値126.35円で下げ止まって127円を挟んだ持ち合いに入り、5月30日に持ち合い上放れから急騰開始となったため、トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されつつも円安に押し上げられて6月4日早朝には7.99円へ上昇して8円に迫った。

6月6日はドル高リラ安が継続したことと131円手前へ上昇したところからドル円の上昇一服となったため、トルコリラ円は8円超えは時期尚早として売られ、ドル高リラ安に押されて6日夜には安値で7.87円まで下げた。しかし深夜にかけてドル円が急伸して7日早朝には132円に到達したことで、トルコリラ円も7.95円まで反騰した。
6月7日午前序盤もドル円の高値切り上げが続いており、7.98円近辺での推移となっている。

【1ドル=16.50リラ超えからもリラ安継続】

ドル/トルコリラの6月6日は16.60リラから16.41リラの取引レンジ、7日早朝の終値は16.57リラで先週末終値の16.41リラからは0.16リラのドル高リラ安となった。米長期債利回りの上昇継続に加えてエルドアン大統領が高インフレにもかかわらず利下げ政策継続を強調する演説を行ったこともリラ売りを誘った。

12月20日に18.36リラへ史上最安値を更新した後、リラ預金保護政策発表から12月23日高値10.06リラへと急伸したが、その後は長期的なリラ安基調は継続とみてリラ安基調再開に入り、1月から2月後半にかけては1ドル14リラを壁として持ち合い、ウクライナ戦争勃発をきっかけとしたリラ安により14リラの壁が突破された後は、3月11日の1ドル15リラが新たな壁となっていた。しかし5月5日の4月トルコ消費者物価上昇率の上ブレをきっかけに15リラの壁も超えてリラ安が一段と加速し、5月24日には16リラも突破、5月26日のトルコ中銀による政策金利現状維持発表と6月3日の5月トルコ消費者物価上昇率が一段と加速したことにより16.50リラを超えるところまでリラ安が進んでいる。
昨年12月暴落時においては、日足の終値ベースで12月17日の16.41リラが史上最安値であったが、6月2日に16.45リラを付けて終値ベースの史上最安値を更新、6月6日もさらに切り下がりとなっている。

【エルドアン大統領の利下げ政策は変わらず】

エルドアン大統領は6月6日の演説で、消費者物価上昇率が前年比で70%を超えている現状でも利下げ政策は継続すると強調した。大統領は金利の低下が生産と輸出及び雇用を促進して経常収支を黒字化し、トルコ経済を強くすることで最終的には通貨リラを安定させて物価上昇を抑制するとの持論を改めて強調した。
大統領はインフレの要因は国民の中で外貨建て預金を保有し続けることによるリラ安であり、輸出企業が好調なために原材料の輸入が拡大していることが原因だとし、「政府は決して利上げをせず、逆に金利を下げ続け、低金利を利用して投資を拡大することを促進する」とした。
主要国がインフレに直面して利上げと金融引き締めに走る中、低成長から脱却できない日本では日銀の金融緩和維持が円安を招いている。トルコは高成長を見せているものの高インフレの中で利上げをしない非常識的な金融政策姿勢を継続していることでリラ暴落を招き、再びリラ安が加速し始めている。
弱い円と弱いリラの綱引きであり、リラ安が加速する局面ではトルコリラ円も売られるが、リラ安よりも円安が加速している場面ではトルコリラ円が上昇するということにもなる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月2日夜に弱気転換目安とした7.88円をいったん割り込んだために6月3日午前時点では6月2日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また7.91円を超えないうちは一段安警戒として7.91円超えからは強気転換注意として6月2日早朝高値試しとした。
6月3日夜の急騰で6月2日早朝高値を超え、その後の急落で6日夜に7.87円まで下落し、再び7.95円超えへ反騰する乱高下となったため、5月27日深夜高値から5日目となる6月3日深夜高値を直近のサイクルトップ、5月31日夕安値から5日目となる6月6日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。トップ形成期は8日夜から10日夜にかけての間と想定するが、乱高下が続いているので7.92円割れからは弱気転換注意として6日夜安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして9日夜から13日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、6月6日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いてきているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落が続いて遅行スパンも悪化し始める場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月2日早朝高値から5日早朝高値への一段高に際して指数のピークが切り上がっているのでまだ弱気逆行が見られないため一段高余地ありとするが、4日早朝高値を超えるところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下落再開注意とし、その後に50へポイントを割り込むところからは30ポイント以下への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.92円を下値支持線、8.00円を上値抵抗線とみる。
(2)7.95円以上での推移中は上向きとし、8.00円手前では売られやすいと注意するが、8.00円を超える場合は8.00円台序盤(8.05円から8.25円)への上昇を想定する。8.25円以上は反落警戒とするが、7.95円以上での推移なら8日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.92円割れからは下向きとし、7.90円割れからは下げ再開とみて7.80円台後半(7.88円から7.85円)を試すとみる。7.85円以下は反騰注意とするが、7.90円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月7日
 23:30 5月 財務省現金残 前月比 (4月 -436.7億リラ)
6月9日
 20:30 週次 外貨準備高 6/3時点 グロス (5/27時点 612.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 6/3時点 ネット (5/27時点 121.9億ドル)
6月10日
 16:00 4月 失業率 (3月 11.5%)
6月13日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -1.8%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 9.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.3%)
 16:00 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 2.5%)
 16:00 4月 経常収支 (3月 -55.54億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -517.7億リラ)
6月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)


注:ポイント要約は編集部

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