トルコリラ円見通し ドル円の連騰一服で反落、対ドルでの下落基調続く
〇トルコリラ円、ドル円が6/2午前に130円台序盤に到達したことを受け、7.94まで戻り高値を切り上げる
〇しかし6/2夜のドル円の下落局面で、この日の安値となる7.86まで失速
〇対ドル、16.50手前での攻防が続いており、6/3未明に16.49をつけたが16.50を突破できず
〇本日トルコ5月消費者物価上昇率の発表を控え、ドル安リラ高へ進めなかった印象
〇昨日発表のトルコ外貨準備高は増加するも、減少トレンドの範囲にとどまる
〇7.90以下での推移中は下向きとし、7.86割れからは7.80台序盤への下落を想定する
〇7.90から7.91にかけては戻り売りにつかまりやすく、7.91超えからは7.94前後への反騰を想定する
【概況】
トルコリラ円の6月2日は7.94円から7.86円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.88円で前日終値の7.93円からは0.05円の円高リラ安だった。
ドル円が5月24日夜安値で126.35円まで下げた後下げ渋り持ち合いに入り、5月30日から6月1日まで3連騰の大上昇で6月2日午前には130円台序盤に到達したため、トルコリラ円も5月26日安値7.71円から反発に入り、6月2日早朝には7.94円まで戻り高値を切り上げてきた。
しかしドル円は、連騰を支えてきた米長期債利回りが2連騰一服で上げ渋ったこととユーロ等の反騰を見て利益確定売りに押されて6月2日夜には129.50円までいったん下げた。また対ドルでの1ドル=16.50リラ突破を試すリラ安基調も継続したため、トルコリラ円は6月2日夜のドル円の下落局面でこの日の安値となる7.86円まで失速した。
ドル円は129.50円まで下げた後は確りしており、上昇再開に入る場合はトルコリラ円も円安効果で再び戻り高値切り上げへ向かう可能性もあるところだが、今晩の米雇用統計から円高反応になる場合や、ドル高リラ安が勢い付く場合には5月26日からのリバウンド一巡による下落期入りとなる可能性もあると注意したい。
【1ドル=16.50リラの壁突破の攻防続く】
ドル/トルコリラの6月2日は16.49リラから16.38リラの取引レンジ、6月3日早朝の終値は16.48リラで前日終値の16.38リラからは0.10リラのドル高リラ安となった。
5月5日の4月トルコ消費者物価上昇率が予想を上回ったことをきっかけとしてドル高リラ安が進行し、5月9日に3月11日安値15リラを超えてリラ安が加速、5月26日のトルコ中銀による政策金利据え置き発表のあった5月26日には16.45リラまで続落してきた。その後は16.50リラをトルコ中銀によるリラ安への防衛ラインではないかとの市場の警戒感もあって16.50リラ手前での攻防が続いており、3日未明には16.49リラをつけているが16.50リラを突破できずにいる。
6月2日は前日まで連騰していた米長期債利回り上昇が一服したことでユーロや豪ドル等が上昇したが、トルコリラは6月3日夕刻に5月の消費者物価上昇率発表も控えてドル安リラ高へは進めなかった印象だ。
【今夕、トルコ5月消費者物価上昇率の発表】
6月3日16時、トルコの5月物価上昇率の発表がある。市場予想を見ると、消費者物価上昇率は前月比で4月の7.25%から5月は4.8%へと伸びが鈍化するものの依然として高い上昇率であり、前年同月比は4月の69.97%から76.55%へと20年ぶり高値水準をさらに超える予想となっている。
生産者物価上昇率については大手通信社の予想集計はないものの、前月比が4月の7.67%から4%台序盤へと伸びが鈍化するものの、前年同期比では4月の121.8%から122%台へとさらに上昇するとみられる。
コモディティ全般を示すCRB指数で見れば5月末の316.54は4月末の308.27から2.7%程度の上昇にとどまっていることはインフレの加速についてはやや落ち着いていることを反映しているともいえるが、対ドルのリラ相場で見れば、5月末時点の20日移動平均が15.68リラで4月末時点の14.70リラからは6.7%の上昇であり、月末終値ベースでは5月末の16.37リラは4月末時点の14.84リラから10.3%の上昇で通貨インフレによる押し上げも依然として大きい状況にある。
【トルコの外貨準備高は増加】
6月2日夜に発表された週次の外貨準備高は、5月27日時点のグロスで612.9億ドルとなり5月20日時点の600.1億ドルから増加した。ネットでは121.9億ドルとなり5月20日時点の95.6億ドルから大幅増加した。
ネットの外貨準備高は5月20日時点で95.6億ドルまで減少したところで今年1月の75.5億ドル以来の低水準となっていたため、最近のリラ安に対するトルコ中銀による防衛的なドル売りリラ買いによる減少が顕著となっていたのではないかと推察されていたため、今回の発表での増加はややサプライズ感がある動きだ。しかし外貨準備高減少傾向に歯止めがかかったとまでは言えない程度の増加であり、グロスでは昨年11月に付けたピーク時の879.2億ドルからの減少トレンドの範囲にとどまっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、6月2日午前時点では5月26日夜安値から3日目となる5月31日夕安値を直近のサイクルボトムと改めて、27日深夜高値を基準として高値形成期を1日夜から3日深夜にかけての間へとした。また既に反落注意期にあるとみて7.88円割れからは弱気サイクル入りとして3日午後から7日夕にかけての間への下落を想定するとした。
6月2日夜に7.88円をいったん割り込んだため、6月2日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。7.91円を超えないうちは一段安警戒とし、7.91円超えからは強気転換注意として6月2日早朝高値試しとする。
60分足の一目均衡表では、6月2日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンへ潜り込んできているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開に入る可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替えるが、その後に遅行スパンが悪化する場合は下げ再開を疑う。
60分足の相対力指数は6月2日早朝への上昇時に70ポイントを超えたが2日夜に40ポイント割れへ失速し、その後も50ポイント割れの水準にとどまっている。50ポイントを一時的に超えても維持できないうちは40ポイント割れから20ポイント台への低下へ向かうとみる。強気転換には60ポイントを超える上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.86円を下値支持線、7.91円を上値抵抗線とみる。
(2)7.90円以下での推移中は下向きとし、7.86円割れからは7.80円台序盤(7.83円から7.80円)への下落を想定する。7.80円以下は反騰注意とするが夕刻のトルコ消費者物価や夜の米雇用統計等をきっかけに下げ足が早まる場合は7.80円割れへ向かう可能性があるとみる。また7.86円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.90円から7.91円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.91円超えからは7.94円前後への反騰を想定する。7.94円以上は反落注意とするが、7.91円を超えての推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性ありとみる。
【当面の主な予定】
6月3日
16:00 5月 消費者物価 前月比 (4月 7.25%、予想 4.80%)
16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 69.97%、予想 76.55%)
16:00 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 4.5%)
16:00 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 52.4%)
16:00 5月 生産者物価 前月比 (4月 7.67%)
16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 121.82%)
注:ポイント要約は編集部
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