ドル円見通し 連騰による130円台到達後の上昇一服で足場固め(22/6/3)

2日夜には129.50円まで下落、その後も130円近辺では上値が重く連騰一服による調整的な動きとなっている。

ドル円見通し 連騰による130円台到達後の上昇一服で足場固め(22/6/3)

ドル円見通し 連騰による130円台到達後の上昇一服で足場固め

〇ドル円、6/2夜129.50まで下落、その後も130円近辺で上値重く、連騰一服による調整的な動き
〇連騰の背景だった米長期債利回りの上昇一服とドル高一服感から、利益確定売りに押される
〇米10年債利回り、ADP民間雇用統計の内容冴えず、休場明けからの連騰一服で上げ渋り
〇NYダウ、5/31と6/1の続落分を解消する反発で戻り高値を更新、ナスダックも大幅上昇
〇129.50以上での推移中は上昇再開へ向かいやすく、130.23超えからは131円台を目指す上昇を想定する
〇129.50割れから128円台後半への下落余地ありとみるが、129円以下は押し目買いされやすいとみる

【概況】

ドル円は5月30日からの連騰で127円を挟んだ持ち合いから上放れに入り6月1日には129円台に到達、2日午前序盤には130.23円まで大幅続伸となったが、連騰の背景だった米長期債利回りの上昇一服とユーロ等の上昇によるドル高一服感から利益確定売りに押されて2日夜には129.50円まで下落、その後も130円近辺では上値が重く連騰一服による調整的な動きとなっている。
日足の終値ベースでは5月30日に0.44円、5月31日に1.11円、6月1日に1.44円のドル高円安での3連騰となり、5月9日高値131.34円から5月24日安値126.35円までの4.99円の下げ幅に対する半値戻し、3分の2戻しを順次クリアし、52日移動平均を下値支持線として支えられてからの反騰入りにより上昇再開の目安となりやすい26日移動平均も上抜いたが、6月3日夜の米雇用統計を控えて5月9日高値超えへ進むのは時期尚早としてポジション調整が入ったところという印象だ。

【米10年債利回り、休場明けから連騰一服】

6月2日の米10年債利回りは前日比変わらずの2.91%で終了した。5月9日に3.20%を付けてパンデミック発生以降の最高値をつけて2018年10月天井の3.26%へ迫ったところから調整安に入っていたが、米国市場休場明けの5月31日に前日比0.11%高、6月1日に0.06%高と連騰し、1日高値では2.95%を付けていた。2日夜は株高債券売りによる利回り上昇圧力の中、ADP民間雇用統計の内容が冴えなかったことから連騰一服で上げ渋りとなり為替市場のドル安反応を招いた。30年債利回りは0.02%高の3.08%、2年債利回りは0.01%低下の2.64%とまちまちの動きだった。

6月2日も米連銀高官の発言報道が相次いだが、ブレイナード副議長は6月と7月のFOMCにおける0.50%ずつの大幅利上げを支持するとし、その後については「利上げの休止を予想するのは難しい」と述べて利上げペースの加速も減速もあり得るとのスタンスを示した。
米クリーブランド連銀のメスター総裁は「今後2会合での0.50%ずつの利上げを支持するが、9月のFOMCまでにインフレ低下を示す納得できる証拠があれば、利上げペースを減速させる可能性がある」としたが、「減速していなければ加速させる必要もあり得る」とも述べた。
5月30日に米連銀のウォラー理事が「インフレ率が目標の2%に近づくまで0.50%ずつの大幅利上げ検討を続ける」と述べたことで6月と7月の0.50%ずつの利上げ後に様子見に入るのではないかとの観測が後退したことが6月1日への米長期債利回り急反発の背景だったが、今後も9月以降の利上げペースがどうなるのか、今晩の米雇用統計を見ながら思惑されてゆくことになる。

【NYダウは前日への続落幅を解消する反発】

6月2日のNYダウは前日比435.05ドル高と上昇した。マイクロソフトの業績下方修正やADP民間雇用統計が冴えなかったことで一時300ドルを超える下落となる局面もあったが、5月20日安値からの反騰基調継続とみて5月31日と6月1日の続落分を解消してこの間の戻り高値を更新している。ナスダック総合指数も前日比322.44ポイント高と反発して直前2日分の下げ幅を解消した。

米ADPによる5月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比12万8000人増となり、市場予想の30万人増を大幅に下回り4月の20万2000人増(速報の24万7000人増から下方修正)も下回った。今晩の米労働省雇用統計における非農業部門就業者数についての市場予想は31万人増で4月の42.8万人増から減速するとみられているが、ADPが予想外に低調だったことで労働省統計でも予想を下回るようだと、米連銀による利上げペース加速姿勢がやや鈍化する可能性も考えられるところだ。雇用統計については平均時給の伸びも注目されるが、前年同月比では4月の5.5%から5.2%へと伸びが若干鈍化すると予想されている。

米労働省による新規失業保険申請(季節調整済み)は5月28日までの週間で前週比1万1000件減の20万件となり、2週連続の改善で市場予想の21万件を下回った。失業保険受給者総数は5月21日までの週間で130万9000人で前週比3万4000人減少となり、市場予想の132万5000人を下回った。
米商務省による4月の米製造業受注は前月比0.3%増で7か月連続のプラスとなり、市場予想の0.7%減に反して好調だったが3月の1.8%増からは鈍化した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月24日夜安値以降を127円を挟んだ持ち合いで推移していたところから上抜けたために5月31日午前時点では持ち合いの終点となる5月27日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期を5月31日午前から6月2日午前にかけての間と想定した。
6月2日午前へ続伸したところから2日夜安値129.50円までいったん反落しているので、2日午前高値を直近のサイクルトップとする。5月27日夜安値からはすでに4日を経過しているので反騰注意期とし、6月2日午前高値を超えないうちは3日夜から6日にかけての間への下落余地ありとするが、2日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして7日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6月2日夜への反落で遅行スパンが悪化したが先行スパンを上回る状況は維持している。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンへ潜り込み始める場合はもう一段安へ進みやすくなると注意するが、先行スパンを上回る状況を維持するうちは遅行スパン好転から上昇再開と一段高を目指す流れへ進みやすいと考える。

60分足の相対力指数は6月1日から2日午前にかけての高値更新時に指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せて50ポイント割れへ下げたが、その後は50ポイント台を回復している。60ポイントを超えてからも50ポイント以上での推移を続けるなら上昇再開に入ったとみて70ポイント台へ向かう流れとみるが、50ポイント割れの状況が続き始める場合はもう一段安注意として30ポイント台への下落余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、129.50円を下値支持線、130.23円を上値抵抗線とする。
(2)129.50円以上での推移中は上昇再開へ向かいやすいとみる。130.23円超えからは131円台を目指す上昇を想定する。
(3)129.50円割れからは128円台後半への下落余地ありとみるが、129円以下は押し目買いされやすい水準とし、直前安値から0.70円以上の反発が入るところからは上昇再開の可能性ありとみる。

【当面の主な予定】

6/3(金)
休場、中国、香港、英国
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 32億ユーロ)
16:55 (独) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.8%、予想 5.4%)
21:30 (米) 5月 非農業部門就業者数 前月比 (4月 42.8万人、予想 31.0万人)
21:30 (米) 5月 失業率 (4月 3.6%、予想 3.6%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前年同月比 (4月 5.5%、予想 5.2%)

22:45 (米) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 53.5)
22:45 (米) 5月 総合PMI改定値 (速報 53.8)
23:00 (米) 5月 ISMサービス業景況指数 (4月 57.1、予想 56.0)
23:30 (米) ブレイナード米連銀副議長、講演


注:ポイント要約は編集部

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