トルコリラ円見通し ドル円の連騰に押し上げられ7.94円台へ戻す(22/6/2)

トルコリラ円の6月1日は7.94円から7.85円の取引レンジ、2日早朝の終値は7.93円で前日終値の7.83円から0.10円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル円の連騰に押し上げられ7.94円台へ戻す(22/6/2)

ドル円の連騰に押し上げられ7.94円台へ戻す

〇トルコリラ円、ドル円急伸で押し上げられ7.94円台へ戻す
〇ドル/トルコリラは16.50を目先の下値支持線として安値圏での推移が続く
〇1日夕刻発表のイスタンブール5月製造業PMIは49.2で4月と変わらず
〇3日に5月物価上昇率発表、市場予想は76.55%、一部では80%に達するとの予想も
〇7.88以上での推移中は上昇余地あり、7.95超えからは7.98前後への上昇を想定
〇7.90割れを弱気転換注意とし、7.88割れからは下落再開、7.80台前半を目指す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の6月1日は7.94円から7.85円の取引レンジ、2日早朝の終値は7.93円で前日終値の7.83円から0.10円の円安リラ高となった。
ドル/トルコリラでは1ドル16.50リラを目先の下値支持線として安値圏での推移が続いているものの、ドル円が月末から急伸に入ったことでトルコリラ円は円安に大きく押し上げられる形で5月26日安値7.71円以降の戻り高値を切り上げている。
6月1日は午後高値で7.89円へ一段高したところからいったん調整安に入って夜安値7.85円まで下げたが、深夜にドル円が130円台到達へ急伸したところで7.94円へさらに一段高となった。
6月2日午前序盤はドル円の上昇一服もあり7.92円を割り込んで反落気味の推移となっている。

【1ドル=16.50リラの壁はまだ突破せず】

ドル/トルコリラの6月1日は16.46リラから16.38リラの取引レンジ、6月2日早朝の終値は16.38リラで前日終値の16.37リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
5月5日のトルコ4月CPIが予想を上回ったことでリラ安が勢い付き、5月9日に1ドル15リラの壁を突破して連騰に入り、5月26日のトルコ中銀金融政策発表前に16.45リラへ下落した。中銀による政策金利現状維持を見てイベント通過によりいったん16.18リラまで戻したもののリラの買い戻しは続かず30日午前に16.45リラを再び付け、その後は新たな安値更新を回避しつつ16.40リラを挟んだ安値圏にとどまっていた。
6月1日は米連銀高官による利上げペース加速支持発言が相次いだことで米長期債利回りが5月31日からの連騰で上昇したためにドルストレートではドル全面高となり、トルコリラも夜安値で16.46リラを付けてわずかにこの間の安値を更新し、その後も最安値圏での推移を続けている。

【イスタンブール製造業PMIは低調】

6月1日夕刻発表のイスタンブール5月製造業PMIは49.2で4月と変わらずだった。
同指数はパンデミック発生直後の2020年4月に33.4まで急低下してから2021年1月に54.4まで回復し、その後は2021年5月に49.3を付けて50を割り込んだものの6月以降は50以上を維持してきた。しかしウクライナ戦争勃発により今年3月に49.4へ低下、4月と5月も50を回復できずに低迷している。
エルドアン大統領はリラ安が製造業と輸出に貢献するとしているが、ウクライナ戦争の長期化により黒海における物流支障に陥っており、製造業のパフォーマンスはパンデミック後の回復状態を維持しているものの高インフレによる悪影響もあるため、現況及び先行きの景況感が大きく改善できない状況が続いている印象だ。

【トルコの電気ガス料金大幅値上げ】

トルコ国営エネルギー輸入会社であるBOTASは6月1日に家庭用及び産業・発電用の天然ガス価格を引き上げ、家庭用については30%、産業用については10%から40%、発電用は16.3%の値上げとなると通告した。BOTASとは別に同日、トルコのエネルギー市場規制当局であるEPKDが電気料金を15〜25%引き上げると官報に掲載した。
6月3日には5月のトルコ物価上昇率の発表がある。消費者物価上昇率の前年比は4月に69.97%へ上昇したが、5月についての市場予想は76.55%で、80%に達するのではないかとの予想も一部には見られる。原油価格高騰が続いていること、ロシア制裁によるモノ不足もあり、トルコリラの対ドル相場も3月時点から4月、5月と下落しているために通貨インフレによる物価上昇という側面も再び強まっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月26日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとし、高値形成期を5月27日の日中から30日の日中にかけての間と想定したが、31日午前時点では底上げ基調を維持していたため31日の日中から6月1日にかけての間へ高値形成期が伸びる可能性があるとした。
6月1日深夜へ一段高したところから反落しているため、5月26日夜安値から3日目となる5月31日夕安値を直近のサイクルボトムと改め、27日深夜高値を基準として高値形成期を1日夜から3日深夜にかけての間へと延長する。その上で、既に反落注意期にあるとみて7.88円割れからは弱気サイクル入りとして3日午後から7日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、5月31日午前の上昇で先行スパンを上抜き、その後に遅行スパンが好転し、両スパンそろっての好転が維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。5月26日夜安値を起点とした上昇一巡による下落期入りの目安は先行スパン転落からとする。

60分足の相対力指数は70ポイント台後半へ上昇したところから60ポイント近辺へ低下している。50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えから上昇再開とするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は弱気転換注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.88円を下値支持線、7.95円を上値抵抗線とみる。
(2)7.88円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.95円超えからは7.98円前後への上昇を想定する。7.97円以上は反落警戒とし、その後に7.90円を割り込むところからは下げ再開に入るとみるが、7.90円以上を維持しての推移なら3日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.90円割れを弱気転換注意とし、7.88円割れからは下落再開とみて7.80円台前半(7.85円から7.80円)を目指す下落を想定する。7.82円以下は反騰注意とするが、7.88円を割り込んでの推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6月2日
 20:00 トルコ中銀 金融政策委員会議事要旨
 20;30 週次 外貨準備高 グロス 5/27時点 (5/20時点 600.1億ドル)
 20;30 週次 外貨準備高 ネット 5/27時点 (5/20時点 95.6億ドル)
6月3日
 16:00 5月 消費者物価 前月比 (4月 7.25%、予想 4.80%)
 16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 69.97%、予想 76.55%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 4.5%)
 16:00 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 52.4%)
 16:00 5月 生産者物価 前月比 (4月 7.67%)
 16:00 5月 消費者物価 前年同月比 (4月 121.82%)

注:ポイント要約は編集部

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