ドル円見通し 130円台回復、米長期債利回り連騰で上昇再開から一段高を伺う(22/6/2)

ドル円は米長期債利回りの連騰を背景に6月1日夜には130円台に到達した。

ドル円見通し 130円台回復、米長期債利回り連騰で上昇再開から一段高を伺う(22/6/2)

130円台回復、米長期債利回り連騰で上昇再開から一段高を伺う

〇ドル円、米長期債利回りの連騰を背景に6/1夜に130円台に到達
〇為替市場はドル全面高へと潮目を変え、ドル円も日米金利差拡大による大上昇の再開に入る
〇NYダウは前日比176.89ドル安で31日から続落、戻り一巡で上値重い
〇130.25超えからは131円台回復を目指す上昇を想定、130.75以上は反落注意
〇129.70割れを弱気転換注意とし、129.50割れからは129円前後への下落を想定

【概況】

ドル円は米長期債利回りの連騰を背景に6月1日夜には130円台に到達した。先週までは米長期債利回りの大上昇一巡による調整的な低下基調が続いたことと131円台まで大上昇したことによる高値警戒感とポジション調整にドル円は大幅下落してきたが、5月24日夜に126.35円まで下げて5月9日高値131.34円からの下げ幅を4.99円としたところで下げ止まり、30日午前にかけては127円を挟んだ下げ渋りの持ち合いで推移していた。しかし5月30日の米国市場休場を挟んで米連銀高官による利上げペース加速への支持発言が相次ぐ中で米長期債利回りが5月31日、6月1日と連騰で上昇したことにより為替市場はドル全面高へと潮目を変え、ドル円も日米金利差拡大による大上昇の再開に入っている印象だ。
6月2日午前序盤も130円台を維持しており、4月28日高値131.24円と5月9日高値131.34円による二度の131円台でのダブルトップ超えを試しに入ってきた流れと思われる。

【米10年債利回り、休場明けから連騰】

6月1日の米長期債利回りは米経済指標の堅調さと米連銀高官による利上げペース加速支持発言が相次いだことで前日から連騰した。米10年債利回りは前日比0.06%高の2.91%となり、5月31日の先週末比0.11%高に続く連騰となった。米10年債利回りは5月9日に3.20%を付けてパンデミック発生以降の最高値を更新して2018年10月の3.26%に迫ったところで大上昇一服として丸3週の調整局面入りとなってきたが、5月27日に2.70%まで下げたところで下落一巡となり休場明けの31日から反騰開始している。
米30年債利回りも5月31日の0.08%高に続いて0.01%高と小幅ながら上昇して3.06%としたが一時は3.10%を付けている。利上げに敏感な2年債利回りは5月31日の0.08%高から1日も0.09%高と連騰して2.65%へ上昇した。

【米連銀高官による積極利上げ支持発言相次ぐ】

5月30日に米連銀のウォラー理事が「インフレ率が目標の2%に近づくまで0.50%ずつの大幅利上げ検討を続ける」と述べたことで、5月の0.50%利上げに続いて6月と7月も0.50%ずつの利上げをした後には様子見に入るのではないかとの見方から、それ以降もインフレの高止まりないしは進行により利上げペースが加速した状況が続くのではないかとの見方が強まり始めている。ウォラー理事は「今後の数会合において通常の倍となる0.50%の利上げ実施を支持する」「必要なら市場が予想する2.50%を超える利上げもあり得る」との姿勢も示した。

6月1日は米セントルイス連銀のブラード総裁がFOMC毎に0.50%の大幅利上げを実施する方針について「良い道筋」とし、「政策金利の水準を3.50%とすることがインフレを押し下げる上で良いベンチマークになる」と述べた。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も「政策金利を中立的な水準まで速やかに引き上げ、年末までに2.50%まで上げるべき」とした。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は「6月と7月にそれぞれ0.50%の追加利上げに踏み切る方針を完全に支持する」とし、「秋になればインフレのペースについてもっと多くの情報が得られる」、「経済がより強ければ金融引き締めを一層行う」と述べた。

【米経済指標堅調だが金融引き締め感再び強まりNYダウは続落】

6月1日のNYダウは前日比176.89ドル安と下落、31日の222.84ドル安からの続落となった。年初に史上最高値を付けてから下落基調に転じ、先々週までは週足で8週連続の下落となったところから先週は9週ぶりの反騰だったが、戻り一巡で上値が重くなっている。ナスダック総合指数も同86.93ポイント安で31日の49.74ポイント安からの続落となった。米経済指標は総じて強かったものの、それ以上に金融引き締めによる圧迫感が勝ったようだ。
米サプライ管理協会ISMによる5月の米製造業景況指数は56.1で4月の55.4から上昇、市場予想の54.5を上回り、景気拡大目安の50を24か月連続で上回った。

労働省による4月の雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門求人数が1140万件となり前月から減少したが高水準を維持しており、レイオフと解雇件数は過去最低で労働需給のひっ迫感が続いていることを示した。
米地区連銀の景況報告(ベージュブック)では、多くの地区でわずかか小幅な拡大が続いているとし、4月時点における「緩やかな拡大」から判断を引き下げた。4地区が「緩やかな拡大」で4地区が前回からの鈍化となり景気拡大ペースに差が出ているが、好調な状況は維持している印象だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月24日夜安値以降を127円を挟んだ持ち合いで推移していたところから上抜けたために5月31日午前時点では持ち合いの終点となる5月27日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期を31日午前から6月2日午前にかけての間と想定した。
6月2日午前序盤へ大幅続伸しているので引き続きサイクルトップ形成中とするが、5月24日夜安値から5日目となる5月31日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りである可能性も検討され、その場合は高値形成期が6月3日午前から7日の日中にかけての間へ延びる可能性がある。弱気転換には直前高値から1円を超える反落が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では持ち合い上放れにより遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は6月1日夕刻の上昇時に80ポイントを超えたがその後の一段高では指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるために反落注意とし、65ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、60ポイント割れからはいったん下げに入るとみて50ポイント割れを試す下落を想定する。ただしその場合も50ポイント前後で確りして60ポイント超えへ切り返す場合は上昇再開と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、129.70円を下値支持線、130.25円を上値抵抗線とする。
(2)130円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、130.25円超えからは131円台回復を目指す上昇を想定する。130.75円以上は反落注意とするが、130円台を維持しての推移なら3日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)129.70円割れを弱気転換注意とし、129.50円割れからは129円前後への下落を想定する。129.20円以下は反発注意とするが、129.50円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/2(木)
休場、英国
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 93.14億豪ドル、予想 93.00億豪ドル)
18:00 (欧) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 5.3%、予想 2.3%)
18:00 (欧) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 36.8%、予想 38.5%)
21:15 (米) 5月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (4月 24.7万人、予想 30.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 -7.5%、予想 -7.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 134.6万人、予想 132.5万人)
23:00 (米) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 2.2%、予想 0.7%)
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (米) ローガン・ニューヨーク連銀副総裁(ダラス連銀次期総裁予定)、挨拶
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

6/3(金)
休場、中国、香港、英国
15:00 (独) 4月 貿易収支 (3月 32億ユーロ)
16:55 (独) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 56.3、予想 56.3)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前月比 (3月 -0.4%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 0.8%、予想 5.4%)
21:30 (米) 5月 非農業部門就業者数 前月比 (4月 42.8万人、予想 31.0万人)
21:30 (米) 5月 失業率 (4月 3.6%、予想 3.6%)

21:30 (米) 5月 平均時給 前月比 (4月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 平均時給 前年同月比 (4月 5.5%、予想 5.2%)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI改定値 (速報 53.5)
22:45 (米) 5月 総合PMI改定値 (速報 53.8)
23:00 (米) 5月 ISMサービス業景況指数 (4月 57.1、予想 56.0)
23:30 (米) ブレイナード米連銀副議長、講演

注:ポイント要約は編集部

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